Do you remember? 制作記(1)モチベーションの復活
昨年秋から取り組んできたシンガーであるBettyさんとのプロジェクトの作品がようやく完成した。曲名は「Do you remember? 」。
Bettyさんはこれまで主にAirBlueというユニットで活動されてきた方で、いろいろあって音楽活動は休止していたんだけど、再開時のパートナーとして私を指名してくれたのだった。
実はこのプロジェクトの計画自体はさらに1年以上前、2021年の秋ごろから始まっていた。そこから考えたらずいぶんじっくりやったなあと。
彼女が歌および作詞・作曲。
俺が編曲、トラック制作、ミックス・マスタリングを担当。
当初は、ただのコラボでしょ?と軽く考えていた。しかし、彼女は自分の感覚に妥協しない人だった。それゆえ、こちらが気を抜くとすかさず違和感を訴えてくる。
仮アレンジ、歌の処理、コード付け、トラックのアレンジ、ミキシング、マスタリング、全ての段階で一度たりともスムーズには行かないんだよね。
要望を伝える語調そのものはソフトで遠慮がちではあるんだけど、そこには「お前はそんなもんか?もっとできるだろ!」という叱咤が潜んでいるように勝手に感じていた。
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自分の制作に関して、ここ数年はモチベーションが上がらず、ある意味惰性で作っていたところがある。よく言えば肩の力が抜けているんだけど、結局は細部を詰めきれておらず魂を込められてなかったのよね。
画竜点睛を欠くじゃないが、どこか中身がスカスカした印象を拭えなかった。
プロになることは諦めた、だから気楽にやろう。作りたいときに作る、よくも悪くも適当でOK、根詰めると疲れるじゃん。ここ数年はそんなスタンスで制作をしてきた。
確かにそれであれば気持ちは楽。実際、変にリスナーを意識せずに好きなことを好きなようにやれている実感はあった。でも、どこか自分でも納得できないモヤモヤが残っていたのも事実。のめりこめないゆえの不完全燃焼とでもいおうか。
しかし今回は違った。思いつく限りのあらゆるパターンを試し、その上で最善と思われる選択をする。Bettyさんと話し合いを重ね、両者が納得いく形を最後まで探る。
これ、めちゃくちゃ時間がかかるし、疲れる。でも、その結果出てきたものは少なくとも現時点の自分が出来うる最高のものになったと自負してます。(リスナーがそれをどう評価するかはまた別の話だけど)。
自分一人の制作では決してここまで到達できなかっただろう。俺は自分に甘い人間だからいつも「こんなもんでいいか」と妥協してしまう。
ただ、今回は自分の作品というよりも、依頼をいただいた仕事。誰かのために、というだけで全くモチベーションが違うんだよね。
まあ、依頼された仕事と言ってもドライにミッションをこなすだけではない。当然そこには思い入れもできてくるし、自分の意匠も込めたくなる。というか、そもそもの依頼内容として「Ginger does'em allらしさ」も求められていたんだけどね。
(続く)