2018年9月に飲んだ日本酒

以前も書いたけど、最近は旨みがスリムだけど薄っぺらくない、酸味がしっかりとして凝縮感のあるミネラリーでクリスタルな酒を求めてるんですよ。一見冗談みたいな条件指定の細かさだけど、実際こういう酒は少なからず存在しています。澤屋まつもととか蒼空とか。
で、この辺の条件をクリアする酒ってなるとどうしても純米より純米大吟醸に寄っちゃうんだよね。ただ、純米大吟醸は高いし、バーとかにもあんまり置いてないから気軽にいろいろ試せない。結果、機会損失を起こしている。
俺の個人的な好みは置いといたとしても、日本酒をちゃんと知ろうという意欲のある人って同じような悩み持ってたりしないですかね?実際、ハイクラスな酒の場合、当たるとべらぼうに美味いのが多いのも事実(高くてもダメなのはダメですが)。値段のせいでそれを知らずにいるのってすごくもったいないと思うんだよね。なんとかならんかな。え?どうにもならないって?…よしわかった。俺が何とかする。ちょっと待ってろみんな。
 
 
飛良泉 大吟醸 槽場選り抜き★★
純米大吟醸の責めとアル添大吟醸ブレンド。甘やかでフルーティな立ち香。アタックは柔らかく優美な甘さ。その甘さの余韻が長く、控えめな旨みと相まってまろやかさを象る。ともすると甘くてフルーティなだけの薄っぺらい酒になりそうなところだが、軽めの酸とほんのりアフターで感じる苦味がバランスをとっている。飛良泉は比較的安っぽい味わいの酒が多い印象だったが、これは上品でかなり良い。
 
雪の茅舎 山廃純米 28BY★★
雪の茅舎を代表する標準的なスペックを押し入れで1年常温熟成したらどうなるか実験。乳酸系の立ち香。軽めで柔らかい甘み。まとまりのある旨みがふわっと広がる。そしてあとから柔らかい酸が全体を締める。ぬる燗でさらに全体に一体感が出る。やっぱこのへんの定番は伊達に定番化してないっていうか。これ、もう2年くらい寝かせても全然いけるな。
 
東鶴 純米吟醸 白麹仕込★★☆
白麹、やや乳酸立ち香。甘み強め酸しっかり超ジューシー。旨みキレイで雑味もない。超ジュース。ポップ&キャッチー。
 
蒼空 純米酒 29BY試験醸造酒 美山錦9号酵母ちょい辛★★☆
安定の蒼空、書いてある通りの立ち位置で、定番の純米より確かに日本酒度が高くてドライ感がある。立ち香は優しいカプロン。甘みそこそこ、乳酸ぽさもありつつ、旨みはキレイ、水のように透明感あるアフターで軽い苦味。ミネラルもきっちり。蒼空らしいスッキリ感は抑え目でややふくよかかな。
 
あべ 僕たちの酒 vol.1 生酛造り★★
あえて杜氏を外して蔵人だけで作ったという。立ち香は弱い。思いの外甘い。酸が弱い分甘さが目立つ。砂糖系のフラットな甘み。ただ嫌味はない。三千櫻のさくら濁りに似てるかな。生酛っぽさはまるでない。んー、まあ後半確かに生酛的な複雑さも若干あるか。面白い酒。
 
花の香 純米大吟醸 和水★★
カプロン系。ドライで上品な甘み、そこそこ厚みある酸。ブドウ的な含み香。あっさりして派手さはなく特徴もあまりないが、非常にキレイなのは充分アドバンテージ。ごく軽い苦味でフィニッシュ。
 
長珍 禄 純米大吟醸★★☆
アルコール感ある立ち香。洗練された柔らかい甘みからバランスよく出過ぎない旨みへ。ただ、常温だと終始アルコール感が気になる。冷やすとイソアミルが立ち上がってくる。温度違いで香りにもここまで変化が出るものなのか。あー、これはもう間違いなく常温じゃなくて冷酒推奨の酒。冷やすことで嫌なアルコール感が消えて雑味が全くなくなりクリアな味わいに。急にグレードが上がる。といいつつ燗も試してみたらこれがまた映えること。冷酒とは全く別の種類の酒になる。面白いなあ。甘みは控えめで旨みも弱いが、ちゃんと芯があるというか、凝縮感があるというか。1週間常温放置。クリアネスは失われ、やや旨みが育ち半端に野暮な酒に。開栓後1年冷蔵放置したのを酒屋に飲ませてもらったのは、すごく良かったのに…保管温度のせいなのか?ただ、この状態でも燗をつけると一気にレベルが上がる。旨みが柔らかくなりまとまりが。うーん、面白い酒だ。
 
毎年飲んでますが、さすが安定の丹沢山。柔らかくまろやかなアタック、かすかにフルーティな含みからふくよかな旨みへ。最後、わずかな渋みと苦味が全体を引き締める。燗にすると酸が立ちあがって輪郭ができる。ぬる燗より50度くらいまで上げたほうが食事には合うかも。文句なし。
 
酉与右衛門 秋桜 純米吟醸★★
含みからフルーティで軽いため意表を突かれる。でも落ち着きはあって、ちゃんとひやおろしらしい。旨みは柔らかいがやや控えめですっとキレてゆき個人的にはすごく好きなタイプ。軽くてわずかにミネラリーで柔らかくふくよか。ある種、相反する要素が同居している。燗も大きく印象は変わらないが、やや酸が立って文句なしにうまい。
 
萩の鶴 純米★★
萩の鶴自体は何度も飲んでいるが意外にもこの定番スペックは初めて。もともと軽くてすっきりした味わいが特徴なので、濃醇系が好きだったころはどうにも好みじゃなかったんだが、今は真逆に行っているので以前とは全く異なる評価になりそう。さて、立ち香から。ややアルコールが入ってほんのりフルーティ。悪くない。含むと甘さは弱くドライ、旨みに芯と深みがありつつもすっきり。酸が強めでサクッとキレる。安定感とバランスの良さはピカイチ。冷やすと物足りない。常温~ぬる燗のほうが味が出て明らかにいい。
 
瑞冠 純米きもと生原酒 2016BY★★
1年ちょっとの生熟。アルコール度数が19~20度とかなりハードパンチャー。強い乳酸立ち香。甘酸っぱい生感、当然アルコール感も。辛みはあるが+13とは思えないまとまり。生原酒の力強さ。かなり濃醇。
 
千徳 純米★★
宮崎県で唯一の日本酒蔵。ほどほどの甘やかな立ち香。甘みそこそこだが柔らかい。酸もそれなりで旨み広がり過ぎず日常酒としては悪くない。
 
七冠馬 山廃 純米★★
乳酸立ち香。埃っぽさ。甘みそこそこでアタックは柔らかい。広がりのある酸。旨みのバランス良い。キレも良い。これは好き。
 
福祝 純米吟醸 無濾過生原酒★★
播州愛山。フルーティーな立ち香。甘みそこそこ、バランス系。それなりに濃醇だが飲みやすい。凝縮感あり。この銘柄は安定感あるなあ。
 
山形正宗 生もと純米酒 赤磐雄町1898★★
いまでやオリジナル。弱めの立ち香。酸がジューシーで甘みはそこそこ。ややミネラリーで輪郭がありながら雄町の濃さもある。
 
春心 本醸造★★☆
ラベルには書いてないが山廃で2年熟成。ほんのり甘やかで乳酸を含んだ立ち香。熟成感を伴った甘みとファットな旨み。舌の奥に滑り込んでくるまとまりのある酸がいい。オールドスタイルながら非常に出来のいい酒。そして案の定というか、当然のごとく燗上がりが素晴らしい。結局最後はこういう酒に落ち着いていくんだろうか。
 
仙介 特別純米 白麹 無濾過生酒原酒★★☆
フルーティな立ち香。含むとガス、軽いがしっかりした甘みとジューシーな酸。この酸はさすがに白麹だね。旨みのエンベロープもキレイで広がり過ぎない。低アルの軽さの中にもしっかり凝縮感があっていい。二日目、液性にとろみが出てほんのり蜂蜜のようなコクも。マスカットのような後味。仙介は旨み部分がもさっとしててあまり得意じゃないんだけど、これは全然違う方向性で好き。
 
松嶺の富士 家紋シリーズ ver.1 another edition★★
アル添だが全くその感じはしない。立ち香は心地よくフルーティー。甘みそこそこで凝縮感あってキレもある。悪くない。
 
ごく一部で思いのほか出来がいいと話題になったワンカップ大関のにごりを常温で1年弱放置してみた。結論から言うと全然いける!ややアルコールと熟成を感じる立ち香。含むと丸くて強い甘み、ほんのり軽い熟成感が鼻から抜ける。低アルらしく軽い飲み口。そりゃあ値段なりの安っぽさは否めないけど、それでも十分楽しめる。
 
昨年飲んでかなり良かったので今年もチャレンジ。シャープなカプロン。甘み軽くてスリムなボディ。酸しっかり。軽いが凝縮感あってキレ良い。全体的な柔らかさはひやおろしならではだが、フレッシュさも内包している。さすがです。
 
花泉 限定醸造ブレンド 三年熟成★★☆
いまでやオリジナル。花泉なので当然のように四段仕込み。精米歩合麹・掛・45%、四段米:60%とのこと。まあブレンドなので正確なスペックはよくわからんが。甘みはふんわり、流れスムーズでさらり、雑味なくキレイ。熟成感はあまりないがまとまりはかなりいい。弱いハチミツ的なコクも。これは素晴らしい。ロ万よりは太くてメリハリあるね。
 
亀齢 check 白 純米無濾過原酒★★☆
80%磨きの低精白ながら雑味やもったりした感じはない。香り弱く甘味も控えめで含みのインパクトはないが後からじわじわくる。やさしく余韻の長い甘味。酸がしっかりなのでジューシーささえ感じる。キレも素晴らしい。温度上がるとややもったりしてくるか。食中酒として何と合わせても最高だった。
 
梅乃宿 鉄楽人★★☆
日本酒度+18ということで、この手の辛口に振り切った酒は旨みの出方が野暮ったいのが多いからなあと構えてたけど良い意味で裏切ってくれました。まず香りは無し、甘みはほどほど、酸強め、旨み強め。ここまでの要素としてはまあ予想通り。ただ、全体の流れがスムーズでシームレスなんだよね。いわゆる辛口にありがちな旨みだけが浮いた嫌味は全くない。これはうまいわ。梅乃宿のことナメてましたすいません。
 
百楽門 純米大吟醸 ひやおろし★★★
でました3つ星。これはマジですごい。この蔵お得意の雄町だが案外香りは弱い。甘みほどほどで大吟醸らしいスムーズさを感じた後、しっかりした酸で立体的なテクスチュアが姿を現す。アタックはまろやかでまとまりあるあたりが冷やおろしらしい。燗も悪くない。ほら、やっぱりホームラン打つのは大吟醸なんだよ。