2017年11月に飲んだ日本酒

最近、いい日本酒専門の飲み屋を見つけましてね。店主がやたら偏屈でネットに情報上げたら殺す、みたいな人なので詳細は言えないんですが、つまみは何食っても美味いし、日本酒のチョイスは絶妙だし、狭くて居心地いいし、安いし、店主と音楽の趣味も合うしで最高なんですよ。ただ、あまりに偏屈すぎるゆえに客が来なくて潰れるんじゃないかと心配でなりません。
 
 
菊姫 先一杯★★
菊姫はいろいろ飲んできているが、こいつは初めて。常温。立ち香はごくわずかにバナナで含むとどこかフルーティさも想起させる優しい甘みとスムーズな旨み、しっかりめの酸。それでいてこの落ち着きはさすが菊姫と言いたくなる。アフターで軽い苦みがあるがこのバランスだと嫌味がない。全体的に寝かせの妙を感じさせるどっしりした味わいだが、その中でもふっと抜ける軽さが同居している。46度の燗。一気にまろやかになって旨みが増す。苦味弱まる。少し酸が乖離する感じもあるが、ここは燗のつけ方次第な気も。いずれにしても、明らかに燗のほうがうまい。
 
仙禽 ナチュール deux★★
ドメーヌさくら亀の尾90%磨き。ザッツ変態酒だが一応コンセプトは古式生もとで蔵付き酵母を使用し無添加、自然派とかいう非常に面倒くさい感じ。さて、肝心の味はどうか。甘酸っぱい立ち香。とろみのある液性。含むと意外に甘みは弱いが、すぐ濃醇な乳酸系の旨みが強めの酸とともにやってくる。この酸のおかげでキレも出ている。甘さを抑えているためか、この手の濃醇酒にしては量が飲める。まあ、味わいとしてはだいたい予想の範囲内だったかな。
 
廣戸川 純米吟醸 無濾過生原酒★★
わかりやすい派手めなフルーティ酒。立ち香はフローラルで結構香る割に味わいはそこそこ落ち着きがある。柔らかな甘みに上品な旨み。やや乳酸っぽさも探すことができる。アフターで鼻に抜ける若干のアルコール感があるが、まあ許せる範囲。
 
篠峯 雄町 純米吟醸 凛々 無濾過生原酒★★
立ち香はほんのりカプロンで、含むと軽いガス感。やや硬質だが豊かな甘みとフルーティな含み香。旨みは分厚くソリッドでミネラリー。しっかりした外骨格で立体感のある酒。紛う事なき篠峯の味わい。
 
若駒 ひやおろし 雄町70 瓶火入れ無濾過原酒★★
イソアミルの立ち香。甘みは軽い。ほんのり熟成感と乳酸。あとからしっかり酸が引き取る。キレはまずまず。ほわっとした余韻が残る。典型的なひやおろしの味わいでバランスがいい。
 
乳酸系の立ち香。甘みと旨みがほぼ同じタイミングでやってくる。旨みはふくらみがあり、ひやおろしらしく程よく熟している。若干の酸がきて、最後に軽い苦み。ふわりとした余韻がある。悪く言えば中庸なひやおろしだが、バランスがよく濃いめなので割と好み。
 
扶桑鶴 純米酒 高津川★★
五百万石/祭晴使用の70%磨き。ぬる燗でいただく。まだ少し硬いか。 とはいえ、開栓後4日でこの程度なら、ここから年単位で置かないといい感じには育たないかな。米の使用割合は不明だが、五百万石にしてはかなり味が出ている印象。旨みは申し分なくキレもいいが、ごく弱い渋みがある。山陰酒のゴツさはないが、平均的な晩酌用の燗酒として充分うまい。
 
益荒男 山廃純米 極 熟成原酒★★
農口杜氏が在籍した最後の年の醸造とのこと。その後5年間タンクで低温熟成。ミーハー根性丸出しですが、なかなか飲めるものではないので。甘やかな熟成香。甘みはそこそこで柔らかくほんのり渋みを感じる。旨みはふくよかで熟味も強い。ゴツめの酸でスパっとキレるが、多少アルコール感もあるか。
 
梅の宿 奈良流五段仕込 露葉風 純米吟醸★★
生もあるらしいが今回は火入れタイプ。純米吟醸(60%磨き)とは思えない濃醇さ。これは5段仕込みならではか。乳酸系の立ち香。柔らかなアタックを持つ甘みかすぐにジューシーな酸が。旨みは軽い乳酸系ながら突出しすぎてないのがいい。基本的には濃醇甘酸系の典型的な味わいだが、なかでも酸が強い。後半やや雑になるが案外キレはいい。燗にするとアタックがより果実味が出てジューシーになり、中盤以降は柔らかくまとまる。これはこれでいい感じ。
 
雅山影の伝説 純米無濾過原酒 五年熟成★★
山田錦。イソアミル系のフローラルな立ち香。含むと優しく柔らかな甘みがじんわりひろがり、上品な旨みに移行する。酸はあまり感じず、弱い苦みがある。-5度下での熟成だったためか、いわゆる熟味はほとんどなく上品で5年熟成ということを考えるとむしろ軽ささえ感じる。ただ、全体の柔らかさやまとまりは熟成ならではのもの。常温だと若干粗が目立ち香味がくどくなってくる。燗もまずまずだが冷酒が一番すっきりしていいかな。
 
井乃頭 純米大吟醸★★
美山錦。香りも華やかで分かりやすい純米大吟醸。悪くないけど面白味はないね。(メモ紛失につき感想が適当)
 
能登の白菊 特別純米原酒 八反錦 27BY★★
そこそこマイルド、食中酒としてバランス良し。思いのほかすっきりしてた。(メモ紛失につき感想が適当)
 
辰泉 純米吟醸 京の華1号 生★★☆
埃っぽいような枯れた立ち香。甘みはそこそこでヨーグリーナ的な透明感のある乳酸ぽい酸と旨みがすぐにくる。そのままじんわり酸が退けて旨みが残る。ごく弱い苦みとともにキレ。甘酸系といえばそうなのだが、独特過ぎてうまく表現できないな。コーラスウォーターとかアンバサとかにも通ずるものがある。
 
木曽檜 本醸造★★
長野のお土産でもらった田舎酒。一杯目は正直美味くも不味くもなく、あー田舎の本醸造ってこんなだよね、という感じだったんだが、なぜか飲み進めていくうちに旨みが乗ってきて(温度か?)気づけば数種類あった酒のうち一番消費が早かった。つまみも何にでもあうんだよね。出来のいい本醸造でよくあるんだけど、なんでしょうね、この感じ。燗つけると丸みがでて旨みがぐっと前に。悔しいけどこれ旨いわ。
 
ル・サケ・ナチュレル 2016★★☆
マイ・フェイバリットの一つであるソガ・ペール・エフィスの小布施ワイナリー産ですね。頒布会で買った90%磨きの変態酒がなぜか実家の冷蔵庫に眠っていた。今年春のリリースなので半年強寝かせたことになるが、もともと旨みの塊のような酒なこともあり、生だが熟成による変化は大きくないと思われる。立ち香は濃醇さを予想させる乳酸系で、含むと骨太な甘みと酸がやってくる。ただ、不思議と甘すぎない。蜂蜜のような凝縮した旨みがやってきて余韻を残しながら切れていく。やっぱすげえ酒だわ。
 
雪の茅舎 荒走 生★★
軽めの立ち香、ほんわりした甘み、程よい酸。フレッシュさはそこまで感じないが、ごく軽い苦味を伴った複雑な味わいはあらばしりならではか。
 
コンビニでも売っているメジャーな酒で、それだけにこれまでは食指が動かなかったが今回200mlのカップを見つけたのでお試しで買ってみた次第。実際、飲んでみてもアル添の嫌な感じはずいぶんあるし、いわゆる安酒の域は出ていない。驚くような旨さは求めるべくもない。ただ、なぜか嫌いになれない味わい。基本、すっきり系淡麗で酸が立っており食中酒としては悪くない。で、燗をつけてみてわかった。軽さの中にも柔らかでしっかりした旨みが備わっており、キレが素晴らしい。この落ち着きと安定感はすごい。結局おっさんがこのあたりの酒に落ち着くのはわかる気がする。
 
辰泉 純米山廃仕込み★★
ほんのり甘やかで乳酸の先読みもできる立ち香。含むと甘さは控えめでしっかりした酸と幅のある旨み。ほんの少しだけフルーティな余韻。燗にすると丸みがでて旨みがぐっと前に出る。開栓直後よりも2日目、3日目と時間が経つにつれどんどん良くなっていく。地味ながらじんわりいい酒。
 
豊国 本醸造 生★★
某ブログで絶賛されていたためずっと気になっていた銘柄。店で純米吟醸と純米を試飲した限りだと、どちらもちょっと甘みが濃厚で重たかったので、フレッシュな酸とほどよい軽さがある本醸造をチョイス。立ち香は軽くフローラルな芳香。ゆっくりしたアタックから柔らかな甘み。そこから酸と同化した凝縮性のある旨みに。そこそこの苦みを伴って潔くキレ。アル添らしい軽快さと生のフレッシュ感を併せ持っているためスイスイ飲んでしまうがアルコール度は18なので割と危険物。ぬる燗で甘みがぐっと前に出るうえ角が取れ苦味も軽減、全体の調和が増す。抜群に燗上がりするというわけではないが、冷酒とともにそれぞれ良さがある。
 
ワンカップ大関 純米にごり★★
これ、なかなか売ってないんだよね。初めて飲みます。蓋を取るとまず酸を感じる立ち香。重たい口当たり、そこそこ濃厚な甘みからふくよかな旨みに。ほどほどにフルーティさを感じる酸もある。雑味は全くなくきれいにキレていく。安酒にありがちなぼってりしたクセのある重さもないし、これは正直悪くない。アルコール度数が11~12度というのもいい。それほど味わいに変化はないが、燗も悪くない。
 
小夜衣 特別純米 誉富士★★
白隠正宗と杉錦に並ぶ、静岡だけど静岡酒らしからぬ骨太系の銘柄。常温。乳酸の先読みがある立ち香。含むとそこそこの甘みとともにすぐにキュートな酸。じわーっと広がる豊かな旨み。そのままゆっくり余韻を残しながらキレていく。思ったほど骨太すぎず、ほどよい爽やかさをもっていて良いバランス。ここまででも充分旨かったけどぬる燗でさらに化けた。乳酸感のある立ち香が強調され、含むと丸みのある甘み。そのまま旨みが広がりグっと下降曲線を描いてキレる。これは燗映えするわ。旨い。
 
会津娘 特別本醸造★★
香りはほぼない。甘みも非常に弱くてドライ。そこそこの旨みと若干のアル添ぽさ。正直、地味すぎるくらい地味な酒だが異常にバランスがいい。なぜか杯が進んでしまう。食い物と合わせたら甘みがでてきてさらに進んだ。なんだろうこれ。ここでもまた出来の良い本醸造マジックか。
 
天明 中取り零号★★
瑞穂黄金という聞いたことない米を使用した新酒。わかりやすくうまい酒で初心者にも上級者にもおすすめできる。立ち香は軽いイソアミル。すっきりとした甘み、程よい酸と旨み。キレも良い。特徴らしい特徴はないが、フレッシュで非常に飲みやすくレベルが高い酒と言える。
 
山本 深蒼 Midnight Blue 純米吟醸生原酒★★
これもまたフレッシュでわかりやすく旨い酒。しぼりたての生酒なので当然ではあるけど、まあ山本は外しませんよね。ピリピリした発泡感とそこそこの甘み、旨みもバランスよく出ている。ジューシーでキレ良し。肩肘張らずにこういうマニアックじゃない分かりやすい酒を素直に楽しめるようになってきた。
 
澤屋まつもと 純米 2014BY★★
山田錦。かなり独特な3年熟成。立ち香はタンス?結構クセがあるので好みがわかれるところか。店主はグリーン系?と言っていたがなんとなくわかる。発泡感もまだ残っており程よい甘みからどっしりした旨みに。そのまま余韻が残る。奥行きが深い。熟成感自体はない。今まであまり飲んだことのないタイプ。温度が上がるとまろやかになってくる。