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2017年4月に飲んだ日本酒

4月は★★★の酒に出会えませんでした。ただ、白木久や風が吹くといった、今まであまり飲んだことのないタイプの面白いのはありましたね。あと、松の司は非常によく出来てて、もうちょっと深堀していきたいところだけど、近所で扱ってる居酒屋も酒屋もないんだよなあ。通販はあんまり気乗りしないし。まあ、ぼちぼちやっていきますか。

 

三千櫻 地酒SP 直汲 生(普通酒)★★
初日は冷酒が一番いい。常温以上だと鼻に抜けるアルコール感がちょっと気になる。かすかな甘さが微発泡感を伴ってスムーズに入ってくるが、すぐ旨みにバトンタッチ。その旨みがそのまま増幅して再び甘みが顔を出す。最後は軽い苦みとともに捌けていく。酸は主張しないが確かに存在している。アル添によるごく薄いベールは終始感じるが、悪い方向には作用していない。二日目、初日とは全く違う酒に!液性に丸みが出て甘みが明らかに増大。含んだ時点からそこそこ強い甘さを感じるが酸がちゃんと無駄な広がりを抑える。中盤以降の流れは初日と変わらないが、全体的にまとまりが出た。初日に感じた浮いたアルコール感もあるにはるが、全体のバランスの変化によってそれほど気にならなくなってる。こりゃうまいわ。普通酒とかアル添を敬遠する人にこそぜひ飲んでほしい逸品。

Takachiyo59 AIMACHI★☆
愛山&雄町ブレンドという珍しいスペック。わかりやすいフルーティ系。パイナップルを思わせる強い立ち香。飲み口は柔らかい。 ややとろみのある酒質でスルリと入ってくる。 平仮名のたかちよほどではないが結構甘い。甘みはそのまま口の中で膨らむが程よい酸が広がりすぎるのを抑える。愛山と雄町らしいコクと複雑さもそれなりに感じることができた。ただ、量を飲む気にはなれんな。

居谷里 山廃 純米 火入れ原酒70 27BY(緑ラベル)★★
実に濃醇でインパクト充分ながら、骨太過ぎないのでついつい杯を重ねてしまう。山廃らしい酸はそこまで明確に感じないが、全体のバランスをとる舵取り役として確かに機能している。極小レベルながら終盤に熟味が感じられ、それがこの酒の奥深さにつながっている。非常によくまとまったいい酒。

ソガペールエフィス サケ・エロティック ヌメロ・アン★☆
美山錦55%の1号酵母。香りはほとんど感じない。アタックから酸が強く主張して旨みもしっかり。甘みは抑えめなので濃醇というほどではないが芯の強さを感じる。エンベロープは割と単調なので「雄東正宗 しぼりたて生 五百万石」を思い出した。あれをもう少しスリムかつバランスよくした感じかな。

松の司 純米吟醸azolla 27BY ★★☆
柑橘っぽい微かな立ち香。含むと透明感のある優しい甘み。そこから旨みが増幅。後口で多少カーっとくるアルコール感と旨みの余韻。雑味や苦味はない。非常にバランスが整っている。よく聞く言葉で「造りが上手い」というのがあるが、正直いまだ何をもってそう言うのかよくわからない。ただ、この酒のバランスの良さと中盤からの力強さ、輪郭のかっちりしたダレない感じ、もしかしてこれが「造りが上手い」ってやつなのか?とにかく甘口フルーティなお子ちゃま酒とは対極にある大人っぽい酒。ちなみに1年熟成だが熟成感は全くない。相当酒質が強い感じはある。

飛良泉 山廃純米 まる飛 no.77 限定生酒★☆
日本酒度-20の酸度4.0と数値的にはかなりのエクストリーム系。立ち香はほとんどなし。含むと甘さよりも乳酸ぽいニュアンスが先に来てそこから丸みのある酸がぐっと主張してくる。嚥下でその酸はより存在感を増して爽やかに切れる。少しとろみのある液性で全体的に甘みと旨みがしっかりあるので、酸だけが悪目立ちするということはない。 温度は冷酒でも常温でも燗でもそれほど印象は変わらない。まあ、この手の甘酸っぱい酒はわりとそういう傾向にあるね。

信濃鶴 純米★★
優しい甘み。乳酸感あるコクが大変好み。そこまで太くはなく、案外すっきりしている。

山陰東郷 生酛 純米生原酒 玉栄60% 27BY★★
日本酒度-13.5/酸度2.2。1年の生熟。今年も出ました山陰東郷の甘口。立ち香から確かに熟成を感じる。含むと強い甘み、ただ熟成から来る馴染みのいい酸も同居しているため全くクドさはない。山陰東郷らしく終始力強さがあるが少し野暮ったくもある。熟味は浮いておらず、酸と同様全体に馴染んでいる。生ではあるが生らしいムレた感じはないため燗もいけると判断→俺の感覚は正しかった。印象そのものは大きく変わらないが、全体のまとまりがさらに増す。

菊鷹 Hummingbird 純米無濾過生★☆
雄山錦70%。うすにごり。柑橘系の立ち香。そこそこの甘みからガスを感じ、しっかりした酸と旨みが顔を出す。余韻が長くキレはそこまででもないが旨みが心地よいので問題なし。全体的に濃いめではある。

風が吹く<金>山廃純米吟醸生酒うすにごり(中取り)★★
この酒はとにかく酸の存在を感じさせないのが面白い。酸度自体は1.7なので普通だが、舌に感じるのはツルっとした甘みと旨みで山廃にありがちな酸はほぼわからない。だからといってボケてるわけではなくちゃんと立体的な構造はあるし、それなりに輪郭もわかる(この辺に酸度1.7の意味が隠れているのか)。明らかにモダン山廃の一つの方向性を指し示している。

千代緑SP 純米大吟醸 甕口生原酒★☆
さけこまち。こまち酵母スペシャル。やさしく軽い口当たりで、そのままきれいに旨みが広がる。若干淡麗に感じるところもあるが悪くはない。

千代緑No.12 純米大吟醸 無加圧甕口★★
一日目、常温。大吟醸らしいフルーティ(バナナ)な香り。微発泡とともに品のいい甘み。そのまま程よい旨みに移行し、ごくわずかな苦味を伴ってキレる。非常に優等生的な、わかりやすくうまい大吟醸。SPよりはややすっきりの印象。4日後、思ったほどとろみは増してこないが、味わいは全体的に少し濃くなっている。まだ発泡感も残っている。

千代緑 純米吟醸 無加圧甕口★☆
基本的には12と同じ方向性のフルーティ吟醸。甘みはそれほどないが旨みは12に比べて濃い。アフターの印象はかなり12と似ているが、結局精米歩合の違いがそのまま味に出た印象。冷酒のほうが余計な苦味や雑味を感じなくてよい。

裏鍋島 隠し酒★★☆
荒責ブレンド。一部では味が落ちたと囁かれる鍋島だが、いやいや充分うまいじゃないですか。立ち香はほとんどなく、シルキーな甘みからきれいな曲線を描いて旨みに移行、酸もしっかりで美しく着地。エンベロープも味わい自体もスタンダードな感じなんだけど、なんというか、いちいちクオリティの高さを感じる。恐らく甘みが優しく雑味がないことが上品さにつながっているためだろう。

白木久 Brilliant 純米吟醸 無濾過 生原酒★★
なんとコシヒカリを使用。食米とは思えないフルーティな立ち香。ふわっとした口当たりから幾分ジューシーさが出てきてキレるが終始やさしくエアリーな印象。だからといって旨みが足りてないわけではない。基本的には甘酸系と言っていいと思うが、味の密度が濃すぎないことと、酸を感じるタイミングの面白さがこの酒の醍醐味だろう。

 

東鶴 特別純米雄町中汲み★★
口開けはややチグハグ、ただ日を追うごとに全く違う酒と言えるほどにまとまってくる。柔らかめのアタックからじんわりとした甘み、この時点での酸は弱い。そして甘みはスムーズに程よい旨みに移行、東鶴らしいコクとややフルーティな含み香を残して消えていく。美味い。燗はやや酸が立ってきて、なんだかまとまりを欠く。というわけで常温が一番かな。

ソガペールエフィス サケ・ナチュレル 70 27BY
番外編。実験レポートです。昨年の生酒を室温で1年熟成させてみました。ソガペは酒質強いっぽいのでいけるかなと思ったが、結論から言うと失敗。酸が目立ってすごいことになった。飲めなくはないが正直バランスが悪くなっていてまったく美味くはない。熟味も結構あってクセが強い。生の重い感じと熟味が同居してるんだけど一体感はなく、家庭内別居といった風情。とにかくいろいろチグハグで変な感じ。温度帯は日向燗くらいが一番マシだった。実は昨年の3号酵母の生がまだ眠ってるんだけど、こうなったらこっちはもう2年くらい寝かせてみようと思います。