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パティスリー ミツワ ギンザ

sweets

東京スイーツのメッカといえば自由が丘か銀座かってことになるんだろうけど、実はそのどちらもろくに行ったことがなかったりする。言うなれば音楽好きのくせにビートルズは聴いたことない、みたいな片手落ち感。

で、先日たまたま銀座に行く用事があり、ようやく手をつけることができた。
有楽町駅にほど近い、このミツワ ギンザさんは和素材との融合で有名なところ。

店に入ってショーケースを眺め、店員さんにイートインの旨を告げてケーキを選ぶ。5種類選び終わったところで「お持ち帰り…ですか?」と聞かれる。さっきイートインって言ったはずなのに、また俺がボソボソしゃべったから聞き取ってもらえなかったんだ…と恥じ入ったものの、もはやイートインバージンは捨てている俺にとっては大したことではなかった。そう、もう一度はっきり言えばいいだけだ。「イート、イン、で」

「ああ、失礼しました」と席に案内され、2分程度ですぐにケーキが運ばれてきた。お茶は700円とか800円とかするので頼まない。水で充分だ。

左奥から、ムース豆ショコラ、まっ茶シュークリーム、銀座ちーず、禅、丹波

まず、ムース豆ショコラ。これは美味い。豆の風味がきいた全体的にやさしい味わいながら、上にかかったソースの酸味がアクセントになっている。

次、丹波。きな粉、黒豆、黒糖ということで何となく味の想像がついたが、残念ながらその想像以上のものではなく、少しクドさを感じた。黒豆が若干しつこいかも。

次、銀座ちーず。これは好きだ。レアとベイクドの二層になってて楽しい。結局俺はどこかに酸味のアクセントがあるケーキが好きなんだな。

次、禅。モンブランがなかったので代わりの栗系ということで頼んだのだが、ちょっとがっかり。ノーコメント。

最後、まっ茶シュークリーム。小ぶりで食べやすく、抹茶とあんこをフレンチ的発想で大胆にぶつけたといったところか。下から出てくるわらびもちの食感が面白い反面、ここでは邪魔になっているとも感じた。悪くはないが、シューにする意味をあまり感じられず。個人的にはあんこを少なめにしてクリームを増やして欲しかった。

まだ正午前だったこともあり、それほど腹も減っておらず正直全て食べるのはきつかったが、頼んだものを残すことは個人的ポリシーに反するため何とか胃に押し込む。

一息ついて会計に向かうと店員のお姉さんに話しかけられる。
「完食ありがとうございます」
はあ、そんなこと言われたのは初めてだ。
「いつもこのくらい召し上がるんですか?」
ああ、わかった。5個食ったのが気持ち悪かったんだな、こいつめ。
「そうですね、このくらい食わないとその店の味がわからないし」
あああ、なにをスカした答えしてんだ俺。いや、事実だけど、銀座ははじめてなんでつい調子に乗っちゃったんですってのが正しい答えだろうが!ていうか、もうお腹いっぱいでかなり厳しいし、何余裕ぶっこいちゃってんの俺!
「今までで初めてですよ」
え、こんなに気持ち悪いおっさんを見たのが?ひどい!
「これまで3個という方はいましたけど、5個はいなかったですね」
ああ、そっちか。ウソだ!だってここ銀座でしょ!スイーツなんちゃらみたいなバカがいっぱい来るでしょ!そいつら絶対俺よりたくさん食うだろ!そんなウソまでついて何が欲しいの?俺?俺が欲しいのか!
「やっぱりいろいろなケーキ屋さん行かれたりするんですか?」
「ええ、まあ」
あああ、またスカしちゃった。いや、行くよ。結構行ってる。でもね、銀座は初めてなの!あなたが初めてだったの!許して!…あ、いや、そんなことわざわざ言う必要ないか。大体なにを許してもらうんだ。俺が何したってんだ。急に「すいません、許してください」なんて言ったら気持ち悪いにもほどがあるだろ。

もうダメだ、糖分と脂肪分のとりすぎで思考がおかしくなったんだ。俺はそのまま逃げるように店を出て築地方面へ去っていった。