パティスリー・タァイ

お久しぶりです。音楽のことは他でつぶやいているので、特に日記にまとめて書くこともなく、スイーツの話題はと言えばここ1ヶ月くらい筋トレにはまっていたため当然我慢で、結果的にここは開店休業状態だったわけです。

ただ、ダイエットについていろいろ勉強してるうちに、これまでやってきたようなキツめのカロリー制限は不要、いやむしろ害悪であることがわかってきたんですね。で、お菓子もほどほどに解禁することにしました。

というわけで、早速下北沢のパティスリー・タァイに。実はこのあと下北沢でイベントがありますので、テイクアウトが難しい状況だったんですね。そうなると当然イートインしかないわけですが、何を隠そうシャイな私はこれまでの人生で一度もイートインでケーキを食ったことがないのでした。ただ、ここでイートイン・バージンを捨てることができれば、今後のケーキライフに素晴らしい広がりを持たせられるでしょう。俺、がんばる。

秘めた決意を胸にゆっくりと入り口のドアを押し開け、店内に目を配る。意外に広い喫茶スペース。そして、客は俺一人。いける!この状況ならイートインできる!

高鳴る心臓の鼓動。しかしそんなことは一切感じさせぬ、いかにも最近増殖しているスイーツ系男子ですよといった風情でさらりと、あくまでさらりと「あ、イートインいいすか?」と言い放つ。

しかし滑舌が悪かったのか、店員に「え?」と聞き直される。しまった!失敗した。ここで間を置いてはいけない。素人だと思われたら負けだ。プロはこういうときどうするんだ。もう一度はっきりした口調で言い直すか?それともこの店ではイートインという言い方はしないのか?だとしたらなんていうんだ、非持ち帰りか?じゃあ「持ち帰りじゃないやついいすか?」と言えばいいのか。いや、それじゃわけがわからん。やはりイートインだ。おしゃれなフランス菓子店は横文字を採用してるに決まってる。

一瞬の逡巡の間も店員は変わらぬ笑顔を俺に向けていた。俺は少し息を吸い込んでもう一度言った。「いーと、いん、お願いします」「ああ、はい、かしこまりました」通じた!俺の強い意志が通じたんだ!大事なのは気持ちだ、人と人とのコミュニケーションにおいては、最後まで伝えたいという気持ちが大切なんだ。

そして、あくまで手際よくショーケースのケーキを選んでいく。ひとつめ、ふたつめ、ここまでは何事もない。三つめ、四つめ、このあたりから店員の返事のテンションが下がっていったように思えた。まさか、俺のことを変人だと思っているのか。いや、それとも何かの間違いだと思っているのか。そりゃ、普通一人じゃそんなに食わないよな。いや待て、最近はスイーツブームでこのくらい食うやつだって特に珍しくないだろう。スイーツ好きを集めたテレビ番組では、みんな異常な量を食ってたぞ。本当のところ俺はもう一つ食いたいんだ。だが、これを頼んだらむしろ俺の体のことを心配されたりするかもしれない。血糖値がおかしなことになりますよ、死ぬよ!やめて、無茶しないで!大丈夫、俺は死なない。あんたのケーキで死んだなんて、そんなことにはならない。俺は生きる!

俺は覚悟を決めて最後のオーダーをした。都合5つのケーキを選び終わった時点で店員は笑顔だった。そうかい、笑顔で俺を送り出してくれるんだね。俺はあんたを裏切らない、あんたの気持ちに応えてみせる。

こうして、俺の初イートインのオーダーは幕を閉じた。あとは座って待つだけだ。もう、何も、怖くない。

そして12-3分後(遅い!)ようやく来たケーキはこちら。

左上からフロマージュクリュ、抹茶、フランボワーズのムースの何とか、ハベリノ(キャラメル系)、ムランググロゼーユ。

総評としては、普通。充分おいしいのだが、あまり特徴らしい特徴は感じられず。抹茶あたりはちょっと洗練されてない味だった。ただ、ムランググロゼーユは気に入った。食べたことのないケーキで、軽くてさわやか。

おみやげに買ったマカロンは、自分が作るものに味が似ていた。多分同じ製法。バタークリームが多めでくちどけが良く、生地も空洞がなく好みのタイプ。