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入院記

入院記

前ブログを格納していたクソロリポがHDDを飛ばしたためホームページやら前ブログやらが見られなくなりました。(HPは復旧済み)

そりゃバックアップしてないこっちも悪いんだけど、ここ、RAIDも組んでないらしく、安いのには安いなりのわけがあるんだねえと思いました。ロリポ借りてる皆さんは毎日バックアップとりましょうね。

さて、全消失したとはいえ、幸いインターネットアーカイブgoogleキャッシュに残っていたものをかき集めて、最悪の事態は免れたんですが、とりあえず去年書いた入院記はwebに残しておきたいと思っているので、はてダのほうに転載することにします。

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初日 10/3

#発覚

前日より気になっていた胸の違和感。ちょっとぜえぜえする。喘息?ま、寝冷えでもして気管支炎か何かになったか、くらいの考えだった。しかし、ちょっと思い当たるふしがある。そう、気胸である。母親が過去数回にわたり気胸を発症していることや、自分の体型(長身痩せ型若くて素敵な男性に多い)、息切れ、わき腹や背中の痛みなど、気胸の典型的な症状にあてはまる点も少なくない。これはまさか…

とにもかくにも医者である。簡単に自己判断できるような病気じゃない。そんなわけで、近所の小さなかかりつけ医院へ。レントゲンを撮った結果、あっさり「これは明らかに気胸ですねえ」とのこと。ああ、やっぱり。「すぐ入院です。だいたい1〜2週間。」いやいやちょっと待って。あなたそう簡単に言いますけどね、あたしゃ明日誕生日なんですよ!ケーキをたらふく食わなきゃいけないんです!というのは冗談だが、しかしそれでも家族のことやら詰まった予定やら何やかやで、2週間も入院するなんて考えられない。ライブだって12日にあるんだし。

なんかこう、ちょいちょいっと処置して2-3日の入院で終わるようなことにはならんですかね?とにやけながら言ったら、センセったら「あなたね、このままほっとくと緊張性気胸という状態に移行して生命さえ危ぶまれる可能性もあるんですよ。いいからすぐ大きい病院行って処置して入院!」なんてちょっと怖い顔でおっしゃる。これはもう仕方がないと半ばあきらめムードで自宅へ。(本当はその足でまっすぐ病院へ行けとの指示だったんですが、さすがに連絡やら準備やら必要だってば)


#わき腹に穴

自宅で必要各所に連絡しつつ、入院グッズの準備をし、タクシーで都立病院へ向かう。タクシーの運ちゃんに愚痴を聞いてもらってるうちに病院到着。救急受付で軽く手続きを済ました後、先生の診察。まあ、わかっていたとおりの結果。右肺に穴が開いてしまい風船がしぼむようにぺちゃんこになっていた。

処置としては、わき腹に穴をあけてチューブを差込み機械で空気を抜く。これによって胸腔内の気圧を下げ、しぼんだ肺が膨らむ手助けをする。通常はその状態を保つうちに開いた穴が自然にふさがるので、そしたら治療完了。ただ、この場合再発率が4割ほどもあるという。再発率を下げるには内視鏡を使用した手術を行い、穴を直接修繕するという選択肢もある。自然治癒の場合は人によって期間が異なるため、入院期間が計算できない。その点、手術の場合は施術後4-5日で退院できるという。これは大きなメリット。

そんなわけで、これを書いている10/4夜段階では手術の方向に気持ちが傾いている。もちろん、未経験なことへの不安や痛みに対する恐怖もあるし、費用が高くつくこともあり、メリット一色ではないのだが。

話を戻そう。処置の話を先生に一通りされたあと、もう一回だけ粘ってみた。なんとか入院せずに済む方法はないもんかと。専門の先生と相談すること15分ほど、答えはやはり同じ。さすがに観念し、処置へ移ってもらうことにする。

上半身裸になり手術台に横たわる。右腕を上げ、わき腹をさらす。消毒と麻酔をされたあと、なにやらグイグイと器具を押し込まれる。ほとんど痛みはないが、なにか無茶なことをされているという違和感は、歯医者で虫歯を強引に抜かれる感覚に似ている。しかし、そんなことよりも術中ずっとちんこが痒くて痒くて。もじもじすることすらできないから、これは厳しかったですよ。

さて、手際よく処置は終了し、車椅子に移り入院手続きの書類を書く。しかしここで異変が。やたらと咳がでるのだ。異物を挿入された直後なわけで、これは仕方ないことのようだ。しかし、この咳をするたびに右脇に走る激痛は耐え難いことこの上ない。とはいっても咳は俺の意思などおかまいなし。実に辛い時間だった。そうこうするうちに、今度は気分が悪くなり吐き気をもよおし、アホみたいに発汗、そして視界がチカチカしてきた。いてえし、ぐわんぐわんするし、汗だくだし。意味わかんねえ。このときは本当に死ぬかと思った。

どうやら、手術の緊張から開放されたことや、痛みなどによって引き起こされた低血圧症状だったらしいが、こんな状況下で入院書類なんかかけるわけねえ!!バカじゃねえの!!書いたけど。

ひとつ不思議だったのは、この低血圧のさなかで、異常なほどの便意をもよおしたこと。あれはなんだったんだろうか。あそこで漏らせという笑いの神からのお達しだったのだろうか。神様、それは無理です。勘弁してください。いずれにしろ、どんなに大変な状況下であっても、きっちりシモネタがおりてくる俺ってナイスガイだなと思った。

病室へ移送後、しばらくはいろんなことを考え、ぼーっとしていた。不安感や違和感はほとんどなく、すんなりと自室に馴染むことができた。施設が新しくてきれいなのも良い方向に影響したのだろう。その後、看護婦さんから入院における種々の説明を受け、夕食をとっていなかっため売店へ車椅子で連れて行ってもらいサンドイッチなどを買う。


#座薬上手

普段は朝方に寝る習慣の人間がいきなり消灯時間の22時になんか寝られるわけもなく、iPodで音楽を聴きながらゲームなどをして過ごす。

日付が変わり、悶々としているうちに、麻酔が切れて先ほどの術創が痛みはじめた。自分でもどこまで我慢すべきなのか、こんなんでナースコールしたら迷惑じゃなかろうか、など考えていたが、どうにも耐えられなくなり痛み止めを処方してもらうことに。これがね、座薬なわけですよ。

いや、看護婦さんは慣れててなんとも思わないだろうし、そもそも病院においてそういう性的な考えを持つこと自体がバカであることはわかってるんです。わかってるんですけど、そりゃ恥ずかしいって!!俺より若い女の子に肛門さらすなんて!!しかし、そんなことを考えてる間もなく「はい、横向いてー。はいズボン下ろしてねー。グイっグググ。(アッーーー!)はいズボン上げてくださーい」さすが手馴れたもんである。まな板の上の鯉とはこのことだ。むしろ、ズボンを下ろした時点から、もうどうにでもしてぇという気分になった。こっちもそのうち慣れてきて、特に痛くもないのに座薬を挿入してほしいあまりにナースコールを押してしまう外道に成り下がってしまうのだろうか。恐るべきアナル・ドラッグの魔力である。

さて、座薬のおかげで、じっとしていれば特に痛みを感じない程度には落ち着いた。しかし、寝返りを打とうと体に少し力を入れるだけで激痛が襲う。まるでぎっくり腰のときのようだ。結局朝まで同じ体勢で固まっていたわけだが、そんなんで寝れるわけがない。

朝方、看護婦さんが「あらー、寝れなかったの?え?痛いー?キャハハ」なんて事あるごとにケラケラ笑いやがる。てめえ、人が痛みと必死で戦ってるのに笑ってんじゃねえぞ、この座薬挿入上手め!というのはまあ冗談で、なんというか、たいしたことないわよって感じで笑い飛ばされるのは、案外悪い気分じゃないのだな、と思った次第。これも看護テクニックのひとつなのだろうか。そういえば、この人に限らずどの看護婦さんも、わりとそういう雰囲気を持っているように感じた。患者は基本的に何かと心細いし、寂しい思いをしているものだ。そういうときに、仮に作り笑顔であってもにこやかな表情を見ると、なぜか安心するんだな。

二日目 10/4

#暇な誕生日

朝飯を7時に食べ、11時ごろまでうとうとしたり、本を読んだり。そうこうしているうちに検査の時間だ。CTスキャンとレントゲン。まだ痛みで満足に歩けないため、看護婦さんに車椅子を押してもらう。検査後に昼食。あんまり美味しくないが、出されたものを残すことはできない性格なので我慢して食う。ここからはもう何もやることがない。仕方ないのでうたたねしたり、音楽聴いたり。さすがに持て余してきたので、近所に住むニートの友人を電話で呼び出し、ノートPCや必要なものを持ってきてもらう。いやあ、ニートがいて本当に良かった。ニート万歳。ニートありがとう。しばらくバカ話などしたあと、彼は帰宅。

そして、またうたたね、ニート差し入れのマンガなどを読む。こういう生活がヘタしたらあと2週間も続くなんて発狂しそうだ。

18時ごろに夕食。誕生日ということで、小さな小さなケーキ(2層のムースの上に生クリームが絞ってあるもの)をいただいた。ささやかだけど案外美味しかったし、うれしかった。ありがとうございます。でも、それはそれ、シャバに出たら絶対エーグル・ドゥースのケーキを腹いせに食いまくってやるんだから。覚えてらっしゃい!

その後は食堂に移動し、ノートPCを起動、この文章を書くに至る。病室ではパソコン使用禁止らしい。ちょっと面倒だがルールはルール。仕方ない。さて、もうすぐ消灯だ。今日は寝られるだろうか。昨日ほとんど寝てないとはいえ、日中に何度もうたたねしちゃったからな。おやすみ。


三日目 10/5

#入院生活への慣れ

昨晩もやはり痛みで満足には寝られなかった。毎食後の内服の痛み止めだけでは限界がある。日中は順調に痛みが引いてきていたのでいけると思ったんだが、やはりそう簡単ではないか。寝る前に座薬をもらうんだった。

朝食後、うとうとしたりテレビを見たりしてるうちに11時。時間のつぶし方が上手くなっているんだろうか。12日のライブについて相談するためにレーベル代表に電話。早く退院できたとしても恐らく10日ごろ。ここにPCはあるから準備はできるが、体力的にやはり厳しいか。出れたら出る、などという虫のいいことはできないので、ここは素直に諦めよう。代役はカン タカヒコ君になるっぽいが、がんばってくれ!あーあ、珍しい試みのイベントだったから楽しみだったんだけどなあ。まあ、仕方ないか。

その後、入院してから初めてのシャワー。丸二日も同じ下着をつけているとさすがに気分が悪い。いや、それよりも頭だ。頭臭いよ。痒いよ。2日ぶりの洗髪はさすがに恐ろしい量の抜け毛。放射線治療受けたんだっけ?と思うほど。今後は毎日入ろう。このままじゃハゲまっしぐらだ。ベッドにいる時間はなるべく短くしたいしね。

昼食後、うとうとしていると静岡の実家から親父が来た。重病でもないんだから、わざわざ日帰りで来なくてもいいのに。そういえば親父と会うのは去年の正月以来だから、1年10ヶ月ぶりになるのか。それを考えたらいい機会だったのかな。お変わりないようで、むしろ俺が安心してたりして。

親父が帰ってから食堂に向かい、PCでライブ用のソフトを使い練習などしてみる。もう出ないんだから無意味といえば無意味だが、別にいいんだ。このソフトをいじくること自体が楽しいので。何より、本やマンガ、テレビなど一方通行のインプットばかりではバランスが悪いというものだ。こうして文章を書くなり、音楽を作るなりしてアウトプットを行うことは、こういった生活において実に重要だ。

考えてみれば、何かの勉強をしたり、普段時間がなくてできないクリエイティブな活動をしたり、この有り余る時間を有意義に使わない手はないんじゃないか。ほかの入院患者もせめて日記くらいつけたら、少しは気もまぎれるのではないだろうか。もちろん、それすらできない状況の人は気の毒というほかないが。

夕食後、お笑いの特番などを見て22時にはもう眠気。なんてことだ。早くも22時就寝の生活リズムに順応してしまったようだ。


四日目 10/6

#診察と見通し

昨夜は痛みがほとんどなく、これまでで最も寝られた気がする。それでも5時には目が覚めてしまったのだが。22時就寝の5時起床なんて、どこの老人か。昼間ほとんど動かず、しかもところどころでうたたねをしてるんだから、夜に8時間も寝れるわけないんだよな。とりあえずやることがないので、音楽を聴きながら一度読んだマンガをもう一度読むなどする。苦痛。

そのうちに、検温、朝食、回診と毎朝定例のコース。しかしこの回診てのはよくわからんね。ぞろぞろと5、6人の医師が連れ立って各患者を診て回る。診るというよりは、医師同士への説明というか確認に近い。だって、俺の場合なんて、医師A「はい、失礼しまーす。」医師B「ええと、この方は気胸?」医師C「そうですね」医師B「初発か」医師C「そうですね」医師B「ん、わかりました」医師A「はい、失礼しまーす」これだけ!たったこれだけ!なんなの!多人数で寝てる患者を取り囲みやがって、なんか威圧感あって怖いし。ていうか、俺はどういう状況にあって、今後どういう見通しなのか教えてほしいんですけど。

このあとに看護婦さんが来て血圧やらを測ってもらったので、今後について聞いてみたが、夕方くらいに主治医が来て先日のCTの結果などを検討するとのこと。ほんとかしら…また何も説明を受けないまま放置されそうな気がしてならない。結局このまま手術を頼むタイミングが訪れなければ、当初考えていたメリットのひとつ「手術したほうが日数が計算できるので、場合によっては早く退院できる」という点がなくなるんじゃないか。どうやら、とりあえず自然にふさがるのを待って、その後手術するかどうかを考える方針じゃないかという気がしてきた。だとしたら、ここまでの放置プレイは納得できる。できるけど、なんかムカつくな。

その後午前中にレントゲン撮影、売店で雑誌、石鹸、お菓子など購入、で、シャワー、うたたね、昼食。

現在4人部屋に収容されているのだが、俺ともう一人のおっさんだけであったところに、さらに一人おっさんが放り込まれた。仕方ないけど、人が増えるのはあんまり嬉しくない。俺以外の生活音が倍になるわけだから。というわけで、今後さらに食堂で過ごすことが多くなりそうだ。

夕食後、主治医より今後についてお話。やっと来たか。検査の結果、明確に穴の開いてる箇所を特定することはできなかったものの、疑わしいところはあって、それが恐らくサイドではなく中央の胸椎寄りの場所にあるらしい。つまり脇腹から遠いところにあるわけで、それだと内視鏡を使えなくなる可能性があるとのこと。そうなると、メスで胸を開くことになる。うーん、それはちょっと抵抗あるなあ…。怖いし。肋骨をノミで叩き折ったりするんでしょ?

入院期間も穴開けるだけの手術に比べたら延びるだろうし。今のところ経過は順調のようなので、早く退院したいならこのまま自然治癒の方向か。うまくいけば今週末には退院できる。もちろん、再発のリスクを考えたら、この機会に手術してしまったほうがいいんだろうけど、何が嫌って入院期間が延びるのが一番嫌なんだよ。

実は暇な生活自体はだいぶ慣れてきている。というか、むしろこののんびりした時間の流れが好きになってきている。つまり、逆に入院期間が延びれば延びるほど、社会復帰できなくなりそうなのが怖いのだ。ああー、治ったらいっそインドに逃亡したい!

とかなんとか考えてると、仕事の同僚が二人見舞いに来てくれる。マンガやDS Liteなどを差し入れ。いやはや、これはありがたい。二人とも仕事上がりで疲れてるだろうに、わざわざすまんなあ。しかもDS持って来てくれたほうなんて、わざわざ一旦帰宅してDSをとってきてくれたってんだから泣かせるねえ。

相変わらず、自分からバカ話をふって自滅しつつ(笑うと術創に激痛が走る)20分ほど過ごす。彼らを見送った後、早速DSのスイッチを入れ、どうぶつの森を2時間ほどプレイ。しかし、この日はなんだか眠れず、差し入れのマンガを読んでるうちに1時。無理やり寝た。


五日目 10/7

#スルー

なぜか5時に目が覚める。別に痛みがあったわけでもないのだが。まあいいや、あんまり気にせずいつもと同じスケジュールで朝の時間がすぎていく。「ピンポーン 回診の時間です。各自の病室で待機してください」はいはい。どうせまた一瞬で終わるんでしょう。待ちますよ。早く来てね、このあとシャワー浴びるんだから。

…で、来ないんですが。待てど暮らせど来ない。

いや、正確には「来たけどスルーされた」ということになろうか。同室の別の患者さんのところには来ていたのだ。しかし、俺のところだけは立ち寄らずスルー。なんじゃこれ。この回診って病状把握のために医師同士でコンセンサスをとるためのものなのかしら?いや、今回は手術しないって昨日の時点で伝えたし、経過も至って良好だからスルーでも全然かまわないんだけどさ。なんか釈然としないよな。

と、このことを後で来た看護婦さんに伝えると「そ、それはおかしいな…申し訳ありません」と恐縮していた。やっぱり忘れられていたのか。レストランでよくあるシチュエーションだな。

その後、シャワーおよび初の洗濯。ここでの洗濯はコインランドリー。えーと、なになに洗濯は一回150円…?ボケェ!50円玉なんかないわよ!というわけで、財布をもって売店へ。適当にプリンとか菓子パンとか買ってから100円玉を50円玉2枚に両替。ようやく洗濯開始。

入院してからというもの、ゆったりしたパジャマで過ごしていたが、今日は洗濯のため、ここに来るときに着てきた普段着を着用。患者はみんなパジャマなので普段着はむしろ浮いてしまうんだが、それでも日中はやはり普段着でいようかしら。基本的に、ちょっと無理をしてでも元気なふりをしていたいというか、病室のベッドでずっと同じパジャマを着て寝転がってばかりだと、回復するものも回復しないんじゃないかという気になるのだ。普段着を着ることでメリハリがつくというか、若干の緊張感を持たせられる。パジャマはみっともない、とまで言うつもりはないが、やはり自分の中では、こういう状況にあっても他人に寝巻姿を見せることに少し違和感があるのだ。病人然としていたくないんだろうな。いや、病人なんだけどさ。

洗濯物を乾燥機にかけている途中で、レーベルのI山さんが見舞いに来てくれる。待ちに待ったCDのサンプルを持ってきてくれた!うん、わりと良い出来。音楽業界の暗い話やお約束の看護婦関係のエロ話などを30分ほど。ああ、こういうエロ話って実にオヤジっぽいなあ。いやむしろ小学生なのか。

I山さんが帰った後、洗濯物を乾燥機から出すが、かなり湿ってる!1時間も乾燥機かけたのに…これ以上かけるのもなんとなく嫌だったので、仕方なくベッドの手すりなどに干す。まあ、一晩あれば問題なく乾くだろ。

夜は差し入れのマンガを一気に読み干し、23時半ごろ就寝。


六日目 10/8

#発売日

今日はアルバムの発売日だ。あれだけ待ち望んでいた日のはずなのに、いざ迎えてみるともうどうでもいい気分。これは別に入院してるからってわけじゃなく、毎回そうなのだ。この発売日を皮切りにメディアにバンバン取り上げられて、毎日追加発注が来て、みたいなお祭りが始まるんならテンションも上がるが、そういうことは特にありませんから。

もう自分の手を離れてて、俺がこのタイミングでいくらがんばっても売り上げには影響しないし。それこそ、外にいればネットで告知とか、せめて知人やファンの人たち相手にはテンションも上げられたでしょうけど、ここにいたら本当に手も足も出ないからね。淡々としたもんですわ。

さて、朝。昨夜は今まで一番熟睡できたんじゃなかろうか。一方向だけだが、痛みなく寝返りを打てるようになったのが大きい。8時前に朝食が運ばれてくるまでまったく起きなかった。

朝食後は回診。今日はちゃんと来た。午前にレントゲンをとり、午後に胸腔からの脱気を止めるとのこと。胸腔の気圧を下げずとも肺が縮まなければ、それはすなわち肺の穴がふさがったということだ。この状態で二日ほど様子を見て、問題なければ退院。無事最短コースで行けば11日の午前にはこの生活とさよならだ。

しかし、それを考えると一気に憂鬱な気分になった。あれ?俺はここから出たくないのか?いや、ここから出ることは確かに望んでいる。しかしあのせわしない日常に戻るのが憂鬱なのだ。そう考えると、あえて手術をせず、再発のリスクを残しておいて良かったのかもしれない。だって、再発したらまた合法的に長期休暇をとれるんだから!

午後はいつものように食堂でPC。やけに眠くて全然はかどらない。

夕食後、主治医がきて脱気を止める措置を行う。ようやくこの邪魔くさい機械とおさらばできる!と思ったらチューブをクリップでぎゅっと止めただけだった。えー、なんか接続ポイントみたいのあるじゃん!ここではずして栓をするとかないのかよー。などと心の中でブツクサ不満をもらしているとニート登場。

また衣類などを持ってきてくれたのだ。ありがたいありがたい。ついでに近所の古本屋で横山光輝の「殷周伝説」を買ってきてもらった。20巻セット!これは読み応えありますよー。と思っていたら、寝るまでの数時間で約半分をむさぼり読んでしまった。ああ、20巻なんてあっという間なのね…5000円もしたのに。


七日目 10/9

#チューブ取り外し

今朝は7時ごろに起床。朝食のあとレントゲン。部屋に戻るとお隣さんが退院のしたくをしていた。2ヶ月に及んだ幽閉生活からようやく開放されるそうで、よかったですね。実は二日前にもう一人患者が増えており、四人部屋は満杯になっていたのだが、最初からいたこのお隣さんが退院し、つられるように後から来た別の二人もこの日の午後に退院していった。おー、俺一人だ!といっても、カーテンで仕切られていさえすれば、そんなに気にならなかったんだけどね。どちらかといえば、こっちが出す物音のほうに気を使っていた感じ。いずれにしても、相部屋より一人のほうが気が楽なことは確かだけど。

昼前にシャワーを浴びていると、館内呼び出しが聞こえる。「ぴんぽーん 3A病棟の(俺の本名)様 病棟へお戻りください」ぶっ!俺かよ!つうか、ちゃんと病棟にいるっての。呼び出しする前に、トイレとか浴室とかチェックしろよ。シャワーに入るときは外のホワイトボードに自分の名前を書く決まりになっているんだから、すぐわかるだろうに。

で、そそくさとシャワーを終え、ナースステーションに顔を出す。すると案の定(もう、この困ったちゃん。勝手にふらふらしてちゃだめよ、という雰囲気で)「あー、いたいた!せんせー、いましたよー」なんて会話。このやろう…やっぱり問題児扱いか。それとも痴呆の徘徊老人扱いか!もしくは俺がひとりで気にしすぎか!

ともかく、これからチューブを抜く処置をするとのこと。午後になると先生はオペがあるので午前中にやってしまいたかったんだってさ。知らんがな。それなら先にスケジュールを伝えといてくれっての。それとなく嫌味を言ってみたが普通にスルーされました。別にいいけど。

それから上半身裸になり、脇腹に突き刺さったチューブをアンインストールする措置を開始。これが痛いの痛くないのって。最初にチューブぶち込んだときのほうが全然マシでしたね。チューブは皮膚に糸で縫いつけてあるんですが、それをクイクイひっぱり「んー、どういう結び方してんだー?」とか言いながら、糸をほどいていくわけです。もうね、先生の一挙手一投足がすべて痛いの。頼むから触らないで処置して!と無茶なことを心の中で叫ぶ。しかし、願いもむなしく痛い処置は淡々と進む。そりゃそうだ。

糸抜くだけでこれだけ痛いんだから、チューブ抜くときは麻酔するよね。と思いつつも、なぜか直接聞けない俺は、精一杯苦痛にゆがんだ顔をして麻酔懇願アピールをしたものの、悪い予感は見事的中。

「はい、じゃあチューブ抜くからね。息を吸って吐いて、もう一回思い切り吸ってえ、止める!腹筋に力入れて!はい抜くよ。」あああ、やっぱり麻酔なしなんですね。もうね、この間の記憶は本気で曖昧です。痛すぎて。普通に涙流してたもの。痛すぎて。で、このあと軽く縫ったんだろうか。よくわからないまま、ギリギリと奥歯を噛みしめて痛みの余韻に耐えているうちに措置は終わった。いやー、もう一度言うけどね。ほんっとに痛かったんだから。これをもう一度やれっていわれたら、断固拒否する。絶対麻酔してもらうんだから。くっそー。

ともあれ、あの忌々しい脱気マシンとおさらばできたことは非常に喜ばしい。一気に身軽になったね。なんせ、ずっとDJのレコードバッグくらいの機械をキャリーカートに乗せてゴロゴロと引いてたんだから。トイレに行くのはもちろんベッドの反対側に手を伸ばすことでさえも難儀したもんなあ。

こう身軽になると、心だけは一気に外の世界へ羽ばたいていく。それこそ昼間のうちに病院の外に出て普通にブラブラしたい気分。出入りの監視はかなりゆるいので、検査とか診療がすべて済んでいればまったく問題なくできそうだな。つうか、脇腹の傷跡が若干痛むくらいで、自分はすっかり健康だと思い込んでるんですが、なんとか明日で退院させてくれないかしら。

18時過ぎに仕事の同僚二人(先日のとは別の人)が来てくれる。俺が仮面ライダーキバを欠かさず見ていることを知っていたので、差し入れに「てれびくん11月号」を持ってきてくれた。かんぜんに、いひょうをつかれて、びょうしつで、ばくしょうしてしまいました。とてもたのしいじかんをありがとうございます。

夕食後、サッカーやバラエティなどテレビを3時間ほど見て、マンガなど読みつつ就寝。


八日目 10/10

#はやる気持ち

朝食後に先生が来てくれたので、もう家に帰りたいよーと言ってみるもやはり却下。チューブを抜いてから肺が再びしぼんでしまうケースもまれにあるから、もう一日様子を見ましょう、だってさ。むーん、なんか納得いかないような気もするが、たてついても仕方ないし、まあ素直に従うことにする。

レントゲンを撮ってから部屋に戻ると、新たな入居者が一挙三人。大部屋貸切状態は一日のみだったか…。

しかし経過観察のための入院というのは辛い。とにかく退院に向けて気がはやるばかり。マンガに本にTVにPCにゲーム、退屈しのぎの道具はあるが、もはやそういう問題ではなく、ただただ外へ出たい気持ちばかりが先に立つ。

明日退院したら何をしよう。まずは見舞いに来てくれた人たちへのお礼返しと、迷惑かけてしまった人たちへの挨拶の品を買いに行こう。そうそう、俺のケーキも買わなきゃ。あ、そうだ!お礼返しは洋菓子にしよう。焼き菓子の詰め合わせとか、エーグルドゥースにあるよな。うひひ、夢の洋菓子大人買いだー!

つうか、その前にもっと大事なことがあったっけ。入院費の清算。いくらになるんだろう…全然想像つかないけどトータルで8万くらいかなあ。という話を看護婦さんにしたら、概算を出してくれるとのことで待つこと数分、なんと約10万円だって…高いのか安いのか妥当なのか全然わからないけど、いずれにしろ懐から10万円がなくなるということだけは確かなわけで、そりゃ厳しいに決まってる!ああああ。個人的金融危機

18時過ぎに最後の夕食。中華丼など。とろみがまったくない…味は食えないほどじゃないんだけど、このびしゃびしゃなのはちょっとなあ。そういえば、ここでの食事についてはあまり書いてなかった。当然、基本は薄味だが、食えないほどまずいということは決してない。ものによっては充分美味しい。ただし、煮物に関してはどれも薄すぎてまずい。それよりも一番気になるのがご飯とおかずのバランス。とにかくご飯が多くて、最後に必ず余ってしまい白飯のみでかきこむはめになる。今日の中華丼にしてもそう。ふりかけでも買って常備しておくんだった。

しかし、これが本来のバランスの良い食事ってことなんだよな。炭水化物ってこんなにとってもよかったのね。俺の普段の食事って、ダイエットを意識してることもあって、野菜を異常にたくさんとって、ご飯はほんの少しなので、ちょっとしたギャップを感じました。

まあでも、なんだかんだ文句をいいつつも、最後の夕食だと思うとちょっと寂しくもある。退院したくて仕方なかったくせに、まったく勝手なもんだね。


九日目 10/11

#退院

待ちに待った退院の日の朝!昨夜はあまり眠れず、朝5時に目が覚めてしまった。遠足のときの子供みたいなものか。まだ他の人は寝ているので、静かにゲームなどして過ごす。朝食のあと、看護婦さんがこの後の段取りについて説明してくれる。とりあえず、経理の人が10時ごろ直接来てくれるらしいので、これを書きながら待機中。早くこねえかなあ。

昨夜の段階では、ちょっと寂しい気もする、なんて書いていたが今はほとんどそんな気持ちはない。嬉しい気持ちがはるかに勝っている。ただ、日常に戻ることへの不安感や憂鬱さも同じくらいあるんだけどね。こういう不安感やストレスは、普段ならワーッとプールで泳いで肉体をいじめることで解消をしてるところなんだけど、しばらくはそれも叶わない。

主治医いわく、息が切れるほどの激しいものは3週間くらい控えたほうが良いとのことだった。要するに肺の傷がふさがったばかりで激しい運動をしたらまた傷が開きかねないよと。なるほど。そしたらジョギングはおろか肺に圧力がかかる水泳なんかもってのほかだよな。くそう。体がなまるぜ。

予定から1時間遅れの11時にようやく経理の人が請求書を持ってきた。遅いよ!早くここから出せ!ちなみに、金額は83.000円ほどでした。概算よりも安かったな。会計をカードで済まし、一旦病棟へ戻り忘れ物チェックを看護婦さんにしてもらい、晴れて自由の身!

あー、しめて八泊九日か。長かったような短かったような。ちょっとした旅行に行っていたような気もする。変な1週間だった。よっしゃ、ケーキ食うぞ、ケーキ!