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酒の味の表現

日ごろ飲んだ日本酒の味を忘れないようにメモをとっているんだけど、どうにも味に関するボキャブラリーが貧困で最終的には「うまかった」「まあまあだった」「不味かった」とかに集約されてしまうこのバカっぽさ。これじゃ後日味を思い出そうにも思い出せない。そこで、よそ様の日本酒ブログなどを参考にしながら味の表現に使われる単語(主に形容詞)を列挙してみることに。これを見ながらならもうちょっとマシなメモがとれるかも。


■華やか系
華やか
フルーティ
フローラル
芳醇
ジューシー
フレッシュ感

■穏やか系
滑らか
メロウ
安定感
バランス
ほっこり
穏やか
静かな
まとまっている
伸びのある
柔らかな
優しい
深みのある
丸みのある

■ガッツリ系
濃醇
濃密
重厚
厚み
ボリューミー
膨らみ
まろやか
幅の広い
奥行き
力強い
押しが強い
グラマー
乱暴

■クリア系
キレイな
クリアな
さっぱりした
軽快な
すっきりした
青々とした
シャープな
引き締まった
凛々しい
若い
硬い
清涼感
線が細い
あっさりした
きめ細かい

■その他
やんちゃ
シンプル
複雑
ザラつき
さらさら
パウダリー
ミネラリー
発泡感
収斂
ぼやけた
くっきりした
凝縮感
抜けがいい
とろっとした

 

これらを「アタック」「甘み」「辛み」「旨み」「酸味」「苦み」「雑味」「質感」「熟成感」「ガス感」「余韻」「変化」などのトピックごとに擬音をうまく絡めて使えばだいぶ表現できるようになりそう。似たような単語が並んでいるが、それぞれ微妙にニュアンスは違う上、文脈次第でチョイスも変わる。あとはセンスのみですね。

MIS(most impressive sake)アワード 2016

備忘録かねて今年飲んだ中で心に残った酒を記録しておきます。80点くらいの充分に旨い酒はたくさんありましたが、それを全部拾っていくと膨大になるので、特に印象に残った酒に厳選しました。そうなるとどうしてもインパクトの強い変態酒が多くなるのはご容赦を。

個人的な好みの傾向としては「濃醇」「香り控えめ」「キレよし」「程よい熟成感」「アルコール感控えめ」といったところになります。日本酒飲み始めのころは無濾過生原酒とか濃醇甘酸系ばかりに引っかかってましたが、最近では日本酒度がプラスに振り切ってるいわゆる辛口のおっさん臭いのでも旨いな~と思うようになってきました。ただし、濃いのに限りますが。旨みが薄い淡麗なのは甘辛問わずイマイチ好きになれないです。あと辛口を謳ってる酒は基本、燗にして飲んでますが、この手で冷酒のほうがうまいと思えたのはまだ多くないので、来年はこのあたりの「冷酒でも旨い辛口」がディグのテーマになりそう。

ところで、ここまで何年か飲み進めてきて感じるのは、同じ酒であっても様々な要因でガラッとインプレッションが変わるということ。経験値、体調、前後に飲んだ酒、合わせる料理、店の管理、酒器の形など、 いろいろありますが、もっとも大きく影響するのは口開けしてからの日数と飲む際の温度かなと思っています。 口開け至上主義みたいな人が結構いますが、必ずしも開けたてが最もおいしいとは限りません。このへんは酒にもよりますが、確かに大吟醸みたいな香りが強めだったりキレイで繊細なタイプは時間が経つと比較的崩れやすい傾向にあります。反対に燗上がりしそうな骨太純米系は時間が経つにつれ味乗りしてきます。生と火入れでも変化の差は大きいですね。ここらへんを全く考慮しないで飲むとまともな評価は難しいです。

いずれにしろ、以前飲んだ時は旨かったのに今日はイマイチなんて、もうしょっちゅう。もちろんその逆も。なので、1回飲み屋で適当に半合飲んだ程度でウマイとかマズイとか断言するのは難しいです。飲み屋なら期間をあけて2回以上飲んで、それぞれの状況を鑑みながら総合的に判断してはじめてその酒を理解できるのかなと。

とはいえ、現実的にはそう何度も同じ酒に出会えることはありません。季節ものなんかは少なくとも1年待たないと飲めないですし、同じ銘柄で同じスペックであっても年度が変わったら全く違う仕上がりになっているなんてこともよくあります。つまり、これから挙げる酒の多くは一回飲み屋で飲んだだけなので、次に飲んだら全然うまくねえ!となっている可能性もあるということです。更には、個人の好みという最大の不確定要素も加わるので、これを読んでるあなたが旨いと感じるかは全くわからんよ、と。

さて、前置きが長くなりました。ようやく本題です。吟醸大吟醸が極端に少ないあたり、如実に趣味が表れてますね。


▼甘酸濃醇部門
最近は骨太純米燗酒系にシフトしてきているとはいえ、残草蓬莱 四六式と三諸杉 菩提酛が日本酒にはまるきっかけとなった酒なので、どうしてもこのへんの重厚甘酸っぱワールドから抜け出すことができないんです。やっぱり原体験だからね。

早瀬浦 本生純米吟醸
そこそこ華やかな香りでめっちゃ甘酸フルーティ。そして無濾過生原酒なので当然濃い。非常にわかりやすい味。音楽で言うならEDM。火入れのほうは少し物足りなさを感じた。

白玉香 特別純米 無濾過生原酒
これも甘酸で、さらに旨みが乗ってるのでボディが太い。いい意味で雑味もあってとにかくファーストインパクトが強い。無濾過生原酒らしい重さはあるんだけど、酸が効いてるからジューシーでクドさはない。この酸の強い感じは熟成もいけるんじゃないかと踏んでいるがどうだろう。

秋鹿 純米 多酸生原酒
名は体を表す。日本酒度-11、酸度3.6。数値的にかなりヤバイ(特に酸度)が、味も完全に甘酸エクストリーム系。ただ、舞美人みたいなひたすら酸っぱい感じはなくて、甘みも強いのでちゃんとバランスが取れてる。やはり秋鹿は間違いない。

都美人 Miracle Rose 山廃純米原
アルコール度数10%の低アル原酒。そして日本酒度-40というこれまたエクストリーム系。店のマスターのアイデアで、凍らせたのを崩してシャーベット状になったものが提供された(みぞれ酒)。低温のせいか甘さはそこまで感じず、山廃らしい酸と相まって素晴らしいヨーグルト感。10度くらいまで温度を上げてみると、それはそれで悪くないが不思議とパンチ感は減った気がする。この酒はシャーベットがベストだった。

ソガペールエフィス ル・サケ・ナチュレル90
頒布会に入った人しか手に入らない非売品。現代の生もとともちょっとだけ違う製法の「古典生酛」で醸した、精米歩合90%の変態実験酒。 ヨーグルトっぽさもあり、とにかく濃くてインパクトすげえ。常温だとそれなりに感じた雑味も燗にするとすっぱりとなくなる。明らかに燗上がりする酒質だが、ぬる燗以上ならどの温度帯でも味の印象が変わらない不思議さ。これだけ濃いと飲み疲れしそうなもんだけど、これまた不思議と全く飽きずにグイグイいけてしまう。まあそこは俺の好みにハマったからなのかもしれないが。とりあえず、人生でこれまでに飲んだ中では5指に入る酒。

昇龍蓬莱 酵母無添加生もと 古式一段仕込み
精米歩合:93% 日本酒度:-44 酸度:3.8という変態スペック。めちゃめちゃ濃い。でもしっかりキレる。大人のカルピス(エロい)とも例えられる乳酸飲料っぽさは菩提酛にも通じる。ていうか、古式造りってもしかして菩提酛のことなのかな?濃いので割り水して燗つけしても美味かった。

風の森 純米しぼり華 80 雄町
このフレッシュ感とキレ、言われなければとても磨きが80%とは思えない。微発泡なのもフレッシュ感を助長してて素晴らしい。そのうえでちゃんとジューシーでボリューム感も同居していて見事。硬水由来のミネラルっぽさは風の森の特徴だが、それがこのキレにつながってるのかな。スペック的にはマニアックだけど日本酒初心者でもすいすいいけちゃう感じ。

奥 夢山水十割 低温熟成 25BY
結構トロみがあって濃くてジューシー。エッジがとれてて丸みがあるというか。ぽっちゃりした印象。ちなみに自分が飲んだのは二年半低温熟成したものだが、熟成感はほとんど感じなかった。ノーマルのほうはまだ飲んでないのでいつか飲みたい。

鷹長 菩提酛 純米 生原酒
「風の森」を醸す油長酒造の別ブランド。 菩提酛 は個人的な日本酒原体験のひとつとなっていることもあり、現在リリースされている銘柄は全てコンプリートしてやろうと目論んでいるのだが、とりあえずこれまで飲んだ中ではこれが一番好き。最も濃醇で甘酸っぱかった。日本酒度-25、酸度3.2。はい変態酒。

長陽福娘 山廃純米 無濾過生原酒 山田錦
純米吟醸雄町もなかなかだったが、磨きが少ないこっちのほうがより好み。甘旨系で酸は弱めだが変なもたつきは皆無。山廃にありがちな野性味というかガツっとした感じは全くなく、非常に端正。わりと生っぽさが強いので燗は微妙かなと思ったが、これも全然いける。ぬる燗くらいで雑味が消えてまとまりが良くなる。こうなると他のスペックも飲みたくなるな。特に速醸の山田60が気になる。
 
民宿とおののどぶろく 水酛仕込み
どぶろくそのものをそんなに飲んだことがないので基準がわからないが、まあこれはほんとうまいです。甘酸系で当然濃いけど微発泡でフレッシュ感あるから嫌味は全くない。これ飲んじゃうとやっぱり水酛(菩提酛)には何かあると思わざるを得ない。

▼バランス系部門
ガツンとくるインパクトはそれほどではないものの、なぜか心に深く刻まれた田中六五を載せたいがために無理やり設けた部門。

田中六五 生
極端な酒ばかり紹介しているがその中にあって正統派のバランス酒。甘み、酸味、苦み、旨み、全ての要素がちょうどいい。ちょうどいい酒なんていっぱいあるけど、そのちょうどよさが半端ない。うまく表現できないが。どこかエレガントさも感じさせるあたりがネオクラシカルと言われる所以か。キレイで程よい旨みと弱い香りでエレガントとという意味では新政No.6と同じ方向性かも。生と火入れがあるが個人的には生のほうが好み。火入れは旨みが少し物足りないかな。

御前酒 菩提酛 雄町
同じ蔵の9(nine)の菩提酛は夏酒っぽい感じで正直物足りなかったが、こっちは全然違った。さすがは雄町のボリューム感。甘酸ではあるけど、それもほどほどの域に納まっていることから、あえてバランス系とした。菩提酛っていうとどうしても極端な味になるものが多い中、この程よい仕上がりってのは非常に造りがテクニカルなんだろうな。蔵人じゃないからよくわからんけど。

新政 日本酒古典技法大全 九割四分磨き精米
頒布会限定なので飲めるとは思ってなかったが案外置いてある居酒屋あるのね。ソガペールの90%と昇竜蓬莱の93%よりずっとすっきりした味わい。94%って食米より低精白なのに、やり方次第でこんなにもバランスのいい酒ができるんだな。立ち香はほとんどないが、なぜか含み香は結構あって、それなりの複雑味とボディの強さを持ちながらも、甘すぎずほどよいキレ。一言で言うとすげえうまい、それに尽きる。ちなみに燗上がりはしなかった。冷酒のほうがうまい。経験則からして、この手は間違いなく燗がいけるはずだったのにな。そこもまた不思議な酒。

山陰東郷 純米大吟醸
濃くて太くて燗上がりする大好きな銘柄。基本的にバリバリ完全発酵系の辛口燗酒を造る蔵なんだけど、25BYから強力を使った造りで日本酒度-14という(表面上は)これまでとは真逆の方向性を打ち出している。で、俺が最初に飲んだのは26BYの強力なんだけど、これがまた甘くて太くて最高で。以来、基本路線の辛口も含めてずっとファンなのだが、大吟醸は初めて飲んだ。40%磨きの生酛で山田錦。まず上立香。ほとんどない。よっしゃ、期待通り。一口含んでみる。これはすごい。間違いなく山陰東郷の味で、アルコール感がなくてバランスのとれた甘みと酸味が超好み。しかしこれが大吟醸かってくらい太いし香りはないし(褒めてる)。若干雑味が少なめでクリアな感じが大吟醸らしさなのか。新政の94%は、この磨きでこのクリアさ!という驚きだったけど、これは真逆。考えようによっては、普通の純米と味が変わらないならわざわざ価格が高い大吟醸を飲む意味もなかろうと思うが、それも野暮な考えか。燗をつけなかったのが悔やまれる。

開運 ひやおろし
開運は静岡酒の中ではもっとも好きな銘柄でいつどのスペックのを飲んでも外さない安定感がある。このひやおろしも例に漏れず。静岡酵母独特の口当たりの柔らかさと酢酸イソアミル由来のメロン的立ち香はそのままに程よい熟成感が足されていて、面白うまかった。燗をすると優しい甘みがやや前に出てくるが、あまり大きく印象は変わらない。

新政 立春朝搾り
生まれてはじめて飲んだ朝搾りがこいつなんだけど、それはもうフレッシュで発泡感あってすいすい行けちゃううまさ。どっしりした酒が好きな私もさすがにやられた。ちなみに別の機会に天青の本醸造の搾って二日目くらいのを飲んだんだけど、それもかなりうまかったので、新政だから最高!という話ではないのかもしれない。

船中八策 純米超辛口
超辛口と謳っているが、アタックは甘めで丸い。リリースで辛口らしくドライさが顔を出してバシっとキレる。燗はぬるから人肌くらいがちょうどいい具合に甘みが強調される。ただ、この酒に関しては燗よりも常温のほうが好みかな。低い温度のときに感じられる硬さが個人的に好み。辛口おっさん酒に開眼したての今の自分にはとてもうまい酒なんだけど、おっさん酒界隈ではアベレージクラスなのかもしれない。来年以降また経験値を増した後にどう感じるかが楽しみ。

▼燗酒部門
燗あがりする酒ってのは、燗をした時点で不思議とどれも及第点以上になるんだけど、逆に言うと割とみんな似たようなキャラクターになってしまい突出した銘柄に出会いづらい。その中にあってなお印象に残った6酒を。

神亀 ひやおろし 山廃純米 24BY
これは本当に旨い。旨みの嵐。レギュラーの神亀をさらにぶっとくして熟成感もプラスした欲張りさん。友人いわく、旨すぎて隙がないんだよなあ、と。つまり何かちょっと足りないところがあって、そこをアテで補完するのが食中酒の醍醐味とすれば、この酒は存在感が強すぎると。なるほど、そういう考えもあるな…。でもまあ、そこは合わせる肴次第かなという気もする。ちなみに言うまでもなく燗以外はあり得ない。50度くらいから分離していた熟成感が渾然一体となる。

安芸虎 蔵燗
船中八策に続き高知産。これもまたアタックが丸い。燗を謳ってはいるが冷酒も悪くない。旨み濃厚だが枯れた味わいも。冷酒だと甘みはほどほど、酸は弱めだが、それがかえって適度な力の抜け具合につながっているというか。甘み旨みが強い上に酸が強いとどうしても力強さが強調されちゃって肩が凝るからね。燗をつけると若干甘みが増すので膨らみが出てほっとする味に。

車坂 ON THE ROCK -SECOND RELEASE-
この酒のせいで熟成酒の深遠な世界へ足を踏み入れることになった。蔵としては氷を入れてのオンザロックを推奨しているが、断然常温か燗のほうがうまい。このクセは苦手な人も多いと思うが、味が濃いので俺は問題なし。むしろ、どストライクでした。ちなみにROCK3も同じくらいおすすめ。

カネナカ 山田錦 生もと 25BY
骨太燗酒界隈において、カネナカはまさにフラッグシップ。それが二年熟成っていうんだから飲まないわけにはいかないでしょう。当然燗つけてもらった。普段燗はやらない店なんだけど無理言ってやってもらった甲斐があった。深いコクとほどよい熟成香がたまらない。これが4年熟成とかになったらちょっと熟香が強すぎてバランスが崩れそうな気もする。まあ飲んでないからわからんが。

Nogne O(ヌグネ・オー) 裸島 山廃仕込 無濾過 純米酒 24BY
ノルウェー産の日本酒ってことで雑誌なんかでたまに紹介されてて存在は知っていたが、ふと居酒屋のメニューに載っていたので迷わず注文。期待通りのフルボディ。24BYということだったが熟成感は思ったほど感じない。いい意味で雑味があって面白い。とろっとして日本酒度-1の割には甘みが強い。完全に好みの甘酸っぱ系だ。ちなみに 酸度は2.5。 で、なんとなく燗つけてみたらこれが大正解。一旦45度くらいまで上げてからの燗冷ましが最高だった。

生酛のどぶ
にごりといえば新酒の時期のうすにごりとかのフレッシュなイメージがあったので、まさかそれを燗にするなんて、まるで味の想像がつかなかったがこれがまた絶品。 口中をマイルドな旨みが完全支配する。香りはほとんどなく、いわゆる完全発酵の骨太純米系なのでめっちゃ燗上がりするんだね。 究極の食中にごり燗酒。もちろん冷やでも悪くないんだけど、これは絶対に燗。しかも飛び切り燗かそれ以上でも。ちょっと普通の日本酒とは別の飲み物と考えたほうがいいかもね。言うなればスープとかお吸い物に近いんじゃないか。個人的にはトマトリゾットとの相性が最高だった。ピザとかも間違いなくいけるなこれは。他にもいろんな食材とのマリアージュを試したい。

▼アル添部門
アル添を否定する人は多い。確かに純米に比べたら旨い酒に当たる確率は圧倒的に低いしね。アルコール添加をすることで、どうしても淡麗すっきり(俺からしたら「薄い」と感じるんだけど)の方向に行きがちで、濃くて重い酒が好きな人間にとってはなおさら難しいカテゴリーではある。ただ、それでも旨いアル添酒というのは存在するのですよ。

笹祝 普通酒
燗で本領を発揮するが冷や(常温)でも◎。柔らかいアタックから穏やかに旨みが広がり、心地よい酸で切れる。普通酒にありがちな嫌なアルコールっぽさも、アル添にありがちな薄さもない。 かといって純米と間違えるというようなことも決してなく、あくまで普通酒として美味しい。純米に慣れた舌からすると新しいベクトルの酒だなあと。 なんというか「薄い」んじゃなくて「軽い」んだよね。そのおかげでいくらでも飲めてしまう。

夢心 普通酒
奈良萬を醸す夢心酒造の福島県内向け銘柄。印象としては笹祝の普通酒と割と似てる。 奈良萬の純米よりこっちのが好きかも…。

辰泉 本醸造 山廃 生 こだま別誂 26BY
このややこしいスペック!見ただけで心躍るわ。通常、辰泉の山廃本醸造は加水&火入れらしいが、大塚の地酒屋こだま特注で生原酒にしてもらったのがコイツらしい。まず飛び込んでくるのは1年熟成によるカドがとれた丸みとほどよい甘さ。しかし本醸造にありがちな線の細さは感じず、旨みが膨らみながらも最後はアル添ならではの軽さで締める。これは本当に旨い。旨すぎる上に、こういうタイプって経験がないので、なんだか脳がついていけない感じがあった。ちなみにぬる燗も良かったが、若干ボケるかなあ。飛びきり燗からの燗冷ましとかいけそうだがどうだろう。
 
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というわけで、アワードといいつつ賞や順位をつけるわけでもなく羅列しまくりました。来年も素敵な日本酒ライフを送れることを祈って。良いお年を。
 
 

2016年に発表した作品まとめ

今年はDJをやめたので制作のほうに時間を割くことができました。振り返ってみると別にどうでもいいような作品ばかりですが、とりあえずリリースした時点ではまあまあやりたいことができたような気がしてました。でも、やっぱりなんか違う。ずっと昔から心の奥底にあるモヤモヤしたものを表現しきれていない。多分それができるまでは作品を作り続けるんじゃないでしょうか。

 

00 / emptylogic

https://f4.bcbits.com/img/a2288556547_16.jpg

 

なぜかテクノですが、このときはなんとなくこういうグイグイくるやつを作りたかったんです。

 

01 / emptylogic

https://f4.bcbits.com/img/a3044161673_16.jpg

 

これはテクノっていうかミニマルですね。作りためてたやつを形にしてさっさと排出したかったんですよね。じゃないと次に行けないので。

 

maturation / Ginger does'em all

https://f4.bcbits.com/img/a2665040463_16.jpg

久しぶりのGinger~名義ですが、客観的に聴いてemptylogic名義と何が違うのって言われるとあんま変わらないですね。作る側としては、こっちのほうがより作り込みに時間をかけてます。あと、ある程度コンセプチュアル。

 

Soothing with neo citypops

www.mixcloud.com

 

Soothing with citypop classics

www.mixcloud.com

こいつらは作品っていうかミックスですね。行きつけの飲み屋でかけてもらうために作りました。現場でDJやってた頃はショートミックス主体でしたけど、これはあくまでBGMとして飲んでる人の邪魔をしないようにと考えているので、ほぼフルがけです。

(トラックリストとDLリンクはリンク先のmixcloudにあります)

 

Party Girl (soulful strings mix)/ Underboob

DJ時代のお友達のなちゅとさなえによる文化祭ユニットのCDにリミックスで参加。現場から離れてもこういうオファーがいただけるのは本当にありがたいし嬉しいことです。個人的に近年作ったものの中では突出して良い出来なんですが、いかんせん自主制作で基本的に現場でしか売らないCDなので入手困難なのが玉に瑕。現場には行けないけどどうしても欲しいという奇特な方は多分twitterでDM送るとかして頼めば売ってくれると思います。→Underboob (@_Underboob_) | Twitter

 

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なお、今現在作ってる曲はファンク回帰路線ですが、今一つピンと来てないので全然違うものになってドロップされるかもしれません。まあ、2017年もぼちぼちやっていこうと思います。

 

 

 

 

若さと虚しさ

先ごろ41歳を迎えた。それを言うとよく驚かれる。とてもそんな年には見えないと。たとえお世辞であっても若いと言われれば嬉しい気持ちはある。ただ、一方でどこか複雑な気持ちを抱くようにもなってきた。その複雑さの正体は恐らく「虚しさ」ではないだろうか。
 
人間はいずれ必ず老いる。ほうれい線は深くなるし、眼瞼は垂れる。白髪は増え、毛穴が目立つようになる。こうした変化が数年早いか遅いかの違いに何の意味があるだろうか。そう考えると今若いと言われたところで「だから何?」と思ってしまうのだ。
 
30代後半のころはその若さに大いなる価値を見出していた。若いといわれることが素直に嬉しかった。これは自己肯定感・自尊心の低さからくるものだろう。言い換えれば自分に自信がないから、とにかく褒められたい。何でもいいから褒められることで欠損した何かを一時的にでも埋められたような気になる。加えて、誰しもが通る道であるミッドライフ・クライシス(中年の危機)もそれを後押ししていた。とにもかくにも、同年代の他人に比べて比較的若く見える、ただそれだけのクソみたいな優越感でもって自分の根底にある劣等感を覆い隠していたに過ぎないのだ。しかし、所詮は気のせい、気休めでしかない。40歳を過ぎてそこにようやく気付くことができた。
 
アンチエイジングという言葉をよく目にする。個人的に加齢による衰えに抗うこと自体は否定しない。筋トレも続けている。なぜなら健康でいたいし、体力も知力もなるべく充実したままでいたいから。ただ、問題は容姿にこだわりすぎることなのだ。それは薄っぺらい自己を大きく見せようと必死になっているだけの虚しい抵抗でしかなく、SNSでいいねをもらうために躍起になるのと全く同じ構造である。
 
とりあえず、白髪染めはやめてみた。しかし薄毛はやっぱり気になる。まだ丸裸になった本来の自分を認めきれていないのだろう。本当の意味での成熟した人間とは、こうした変化も全て受け入れて、あるがままに生きられる人のことを言うのかもしれない。

emptylogic - 01

emptylogic名義で二作目のEPをリリースしました。
https://emptylogic.bandcamp.com/album/01


1.flat loop
2.celecox
3.do it
4.hangover








emptylogicはGinger does'em all名義ではコンセプトが合わなかったり、なんか違うなーという曲を出すという側面があるので、良くも悪くも肩の力が抜けています。
今回は、意識したわけではないですが、昔好きでよく聞いていた古いミニマルミュージックの影響が素直に出た作品集になりましたね。
「1.flat loop」はジャーマンプログレだし「2.celecox」もE2-E4っぽさがあったり初期のシカゴハウスっぽかったり、「3.do it」はもろにデトロイトテクノだし。「4.hangover」はなんだかよくわかりませんがアフリカの民族音楽的な要素があるのかな。

しかしtwitterで告知しないと笑っちゃうくらいに広まらないね。
まじめな話、以前と比べて格段に自己顕示欲が落ちてるので、別にいいんだけど。もちろん多くの人に聞いてもらえるなら聞いてほしいけど、今は作ることと出すこと自体に重点があるので、リリースしちゃったらその後どうなろうがわりとどうでもよくなる。いわば排泄物ですね。排泄物にお金をいただくのもアレなので今回から投げ銭もやめて完全フリーダウンロードです。

EPリリース

突然ですがbandcampからEPをリリースしました。是非。


Ginger does'em all - maturation
1.snore
2.cockateel
3.sweet
4.trick
5.rumor







単発でのリミックスとかお遊びでサンクラにあげた曲、または別名義の「emptylogic」などでぼちぼちリリースはしてましたが、「Ginger does'em all」名義かつミニアルバムというまとまった形での正式リリースは、maltineの「scissor girl」以来、実に約5年ぶり。

名義の棲み分けについては、自分自身を色濃く反映しているものはGinger〜で、本来の自分とは違うけどたまにはこういうのもいいかな、というスタンスで作ったものはemptylogic、といった感じでなんとなく。
今回、誰の目も気にせず、売れることも考えず、ようやく承認欲求の呪縛から解放されて心から好きなようにやれたと思っています。その意味では間違いなくGinger〜名義の作品ですね。テーマは特にありませんが、いかに色気のあるオーガニックな音を出せるかを目指して制作しています。

で、内容はというと全曲平均10分の地味なミニマルです。長いので真面目に聴くと疲れます。BGM的に流し聴きするのがちょうどいいんじゃないでしょうか。

基本フリーダウンロードですが、投げ銭方式にしてるのでクレジットカードかpaypalアカウント持ってる人は気が向いたらお気持ち程度でもいただけると励みになります。よろしくお願いします。

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ダウンロードおよび支払いの仕方がよくわからない方はこちらを。よそ様のブログですがわかりやすいので貼らせていただきます。
http://tricot.tv/archives/3543

iPhoneの場合、bandcampから直接ダウンロードできないようですが、下記方法(簡単!)でiPhoneからもダウンロードが可能です。
スマホ用ダウンロードURLメーカーを公開!」
http://bandcampjapan.com/tool/20130902/1160.html
「zipファイルをiPhone上でダウンロード&解凍して聞く」
http://bandcampjapan.com/tool/20130701/1107.html

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最後に、ジャケデザインはencomicment a.k.a.肉彦!いつもありがとう。

理由

皆様お久しぶりです。いかがお過ごしでしょうか。私は元気です。
さて、私がtwitterやDJをやめてからもうすぐ1年経ちますが、いまだに私のことをつぶやかれる人がいるんですね。気にしていただけてるのは嬉しいですが、一方で変な憶測や誤った事実に基づく噂などもなんとなく目にしたり耳に入ってきたりしています。確かに何も告げず突然いなくなった私も悪いのですが、公人でも何でもない人間がたかだかSNSをやめるのにわざわざ告知すべきなんでしょうか。なんだかもそれも違和感があるというか、自意識過剰というか。もちろん親しい友人にはざっくりと理由を教えてますよ。それでも上述のように不本意な結果になっていることもあって、やはりやめた理由を述べておくべきかと腰を上げた次第です。

twitterをやめた理由

これは単純です。第一はtwitter依存から脱したかったからです。正直やめる直前まではひどかった。会社にいる間もtwitterの合間に仕事をするような状態だし、家に帰っても何をするでもなくだらだらとタイムラインを追うような毎日。常にfav(いいねに変わった?)を意識し、面白いことを思いついたらすぐにポスト、favがつくかRTされるか反応をずっと気にして、思ったほどの結果が得られないとイライラしたり。なんとも空しいことこの上ない。このままじゃいかんと気づいてはいたものの、依存症ですからそう簡単にはやめられず、こうなったらスッパリやめるしかない!と意を決して荒療治に出たわけです。

実は私は自己愛性人格障害の傾向にあるようで、こういう人はとかく他人から承認されないといられず、ありのままの自分を肯定して愛することができないのです。つまり、twitterを通じて何とか人から認めてもらうことで自分の心の隙間を埋めようとしてたんです。でも、いくら反応してもらえても気分がいいのはその場限り。根本的に満たされていないから、すぐにもっと!もっと!と求めてしまう。言ってみれば耐性がついていくんですね。まさに麻薬中毒やアル中と同じです。

ですから最初は少し苦しかったですよ。禁断症状と言えるほど激しいものはありませんでしたが、どちらかというと一気に友達との繋がりを絶ってしまったという事実が辛かった。でも、そのうちに慣れてきて考えも変わりました。第一、twitterでやり取りしてた中でも本当に友達と言える人間なんて一握りだし、逆にそういう相手であれば数年に一度会うような関係であったとしても友情が壊れることはないでしょう。何か用があればメールすればいいんだし。

それともう一つ、twitterはもともとミュージシャンとしての知名度を上げたり告知をしたりするためのツールとして使い始めたという経緯もあるのですが、まあ年齢やら才能やらいろいろ考えた末、ここらが潮時かなということでプロを目指すのはやめてアマチュアとして、売れることも拡散されることも考えず、とにかく何にも気兼ねせず自由に表現する道を選んだんです。特に誰にも言ってませんでしたが。それで告知ツールとしての役割は終えたということもあります。

そんなわけで、今後もtwitterを再開する気はありません。私は弱い人間なので再開するとまたすぐに依存症になりそうで怖いですし。

DJ活動を休止した理由

次、DJ活動の休止について。もともとはポップス制作の修業期間として数カ月お休みするだけのつもりだったんです。しかし、実家のほうでちょっとトラブルがあったり、twitterをやめたことで何となく姿を現わしづらくなってしまったこともあって休止期間がずるずると伸びていきました。twitterと同様にDJをすることでミュージシャンとしての知名度を上げたいという目的もあったのですが、もうそれも必要なくなったしで、そうこうするうちDJに対するモチベーションはどんどんなくなっていったのでした。

ご存知かと思いますが、私はDJの前に必ず泥酔寸前まで酒を飲んで臨んでいました。これは人前が苦手だからです。酒を飲まないと緊張しちゃってとてもじゃないが集中してDJなんてできない。自己愛が強い反面、やたら小心者なんですよ。

完璧なプレイを求めての事前準備も怠りませんでした。これがまた負担でして、選曲や練習でかなりの時間を費やしていたんです。加えて、うろ覚えの曲はかけるべきじゃないと思っているので、曲をしっかり覚えるためにさらに多くの時間を費やすということにもなります。こんなことをしてると、仕事と寝てる以外の時間はほぼDJのために使ってしまうんです。大概のDJはここまでせず、もっと気軽にやってると思いますよ。ただ、自分はどうしてもダメなんです。それだけ自分を良く見せて認めてもらいたい欲求が強かったんでしょうね。(自己を見つめ直すことでこのあたりの気づきを得られたのは本当に良かったです。)

で、これはいわゆる承認欲求というやつなんですが、上述したように私は自己肯定感が低いゆえ自分に対する過剰な称賛を得ないといられないのです。だから選曲の際にも「自分が周りにどう見えるか」という雑念がどうしても頭から離れず、純粋に自分の好きな曲を感性の赴くままにかけることができない。そうなるとDJやっててもあまり楽しくないんですよね。勝手に自らにプレッシャー課しておいて楽しくないって愚痴ってりゃ世話ないですが。そして、当然プレイがうまくいかなかったり主催イベントで客足が思わしくなかったりした時は必要以上に落ち込みます。挙句それをリカバーするために今度は見苦しい言い訳がでてくるわけです。このへんは私のイベント後のtwitterのポストを見てた人なら充分おわかりでしょう。

そんなこんなで、もうDJに疲れちゃってたんですね。だから、ある意味やめるのは時間の問題だったのかもしれません。もともとクラブっていう場にもあんまり馴染めなかったですし。ぶっちゃけ自分以外のDJを聴くのも、基本的にはそれほど楽しいと思えませんでした。(本当に素晴らしいプレイをする尊敬すべきDJもたくさん見てますけど、それとはまた別の話として)。まあ、これも他人に興味を持てない自己愛の強さゆえですね。もちろん人と話したりするのは好きなので、友人に会えるのは楽しいんですが、それなら別に飲み屋でもいいじゃん、と。

そうそう、飲み屋と言えば日本酒にどハマりしたことも理由の一つですね。はっきり言って日本酒以外のアルコールで酔いたくないって思うようになっちゃったんです。ほとんどのクラブにまともな日本酒ないし。

近況

ついでなので近況をお知らせしておきます。
音楽についてですが、最近は2000年以降のミニマルテクノばっかり聞いてます。リカルド・ヴィラロボス最高。J-POPやアイドルからはちょっと離れました。一応ひと通りチェックはしてるものの、一時期のような勢いや面白さは感じないですね。個人的に飽和状態なのかな。このへんの趣味の変遷はDJやめたのもかなり影響してると思います。

制作のほうも徐々に再開してます。ポップスは非常に手間がかかるし、やっぱりメロディ作るのは苦手なので、作るほうもテクノに移行してます。テクノは感覚的にサクサク作れて楽しいんですよね。1月中旬にはテクノ用の新名義「emptylogic」でEPを発表していますので興味あればどうぞ。→https://emptylogic.bandcamp.com/releases

あとは日本酒ですね。日本酒の様々な銘柄をDIGるのが楽しくて仕方ないです。近所に素敵な日本酒バルも見つけてしまい、すっかり常連になりました。こづかいはほとんど飲み代に消えているのでケーキを食う余裕がなくなりました。まあ年齢的にケーキをどか食いするのも厳しくなってきてるし、別にいいか、という感じ。

また、DJとtwitterをやめて時間がかなり増えたので、その分妻と映画をよく観るようになりました。月並みですが、今はこうしてゆっくり家族と過ごしている時間が幸せです。

それではまたいつかどこかで。