2017年11月に飲んだ日本酒

最近、いい日本酒専門の飲み屋を見つけましてね。店主がやたら偏屈でネットに情報上げたら殺す、みたいな人なので詳細は言えないんですが、つまみは何食っても美味いし、日本酒のチョイスは絶妙だし、狭くて居心地いいし、安いし、店主と音楽の趣味も合うしで最高なんですよ。ただ、あまりに偏屈すぎるゆえに客が来なくて潰れるんじゃないかと心配でなりません。
 
 
菊姫 先一杯★★
菊姫はいろいろ飲んできているが、こいつは初めて。常温。立ち香はごくわずかにバナナで含むとどこかフルーティさも想起させる優しい甘みとスムーズな旨み、しっかりめの酸。それでいてこの落ち着きはさすが菊姫と言いたくなる。アフターで軽い苦みがあるがこのバランスだと嫌味がない。全体的に寝かせの妙を感じさせるどっしりした味わいだが、その中でもふっと抜ける軽さが同居している。46度の燗。一気にまろやかになって旨みが増す。苦味弱まる。少し酸が乖離する感じもあるが、ここは燗のつけ方次第な気も。いずれにしても、明らかに燗のほうがうまい。
 
仙禽 ナチュール deux★★
ドメーヌさくら亀の尾90%磨き。ザッツ変態酒だが一応コンセプトは古式生もとで蔵付き酵母を使用し無添加、自然派とかいう非常に面倒くさい感じ。さて、肝心の味はどうか。甘酸っぱい立ち香。とろみのある液性。含むと意外に甘みは弱いが、すぐ濃醇な乳酸系の旨みが強めの酸とともにやってくる。この酸のおかげでキレも出ている。甘さを抑えているためか、この手の濃醇酒にしては量が飲める。まあ、味わいとしてはだいたい予想の範囲内だったかな。
 
廣戸川 純米吟醸 無濾過生原酒★★
わかりやすい派手めなフルーティ酒。立ち香はフローラルで結構香る割に味わいはそこそこ落ち着きがある。柔らかな甘みに上品な旨み。やや乳酸っぽさも探すことができる。アフターで鼻に抜ける若干のアルコール感があるが、まあ許せる範囲。
 
篠峯 雄町 純米吟醸 凛々 無濾過生原酒★★
立ち香はほんのりカプロンで、含むと軽いガス感。やや硬質だが豊かな甘みとフルーティな含み香。旨みは分厚くソリッドでミネラリー。しっかりした外骨格で立体感のある酒。紛う事なき篠峯の味わい。
 
若駒 ひやおろし 雄町70 瓶火入れ無濾過原酒★★
イソアミルの立ち香。甘みは軽い。ほんのり熟成感と乳酸。あとからしっかり酸が引き取る。キレはまずまず。ほわっとした余韻が残る。典型的なひやおろしの味わいでバランスがいい。
 
乳酸系の立ち香。甘みと旨みがほぼ同じタイミングでやってくる。旨みはふくらみがあり、ひやおろしらしく程よく熟している。若干の酸がきて、最後に軽い苦み。ふわりとした余韻がある。悪く言えば中庸なひやおろしだが、バランスがよく濃いめなので割と好み。
 
扶桑鶴 純米酒 高津川★★
五百万石/祭晴使用の70%磨き。ぬる燗でいただく。まだ少し硬いか。 とはいえ、開栓後4日でこの程度なら、ここから年単位で置かないといい感じには育たないかな。米の使用割合は不明だが、五百万石にしてはかなり味が出ている印象。旨みは申し分なくキレもいいが、ごく弱い渋みがある。山陰酒のゴツさはないが、平均的な晩酌用の燗酒として充分うまい。
 
益荒男 山廃純米 極 熟成原酒★★
農口杜氏が在籍した最後の年の醸造とのこと。その後5年間タンクで低温熟成。ミーハー根性丸出しですが、なかなか飲めるものではないので。甘やかな熟成香。甘みはそこそこで柔らかくほんのり渋みを感じる。旨みはふくよかで熟味も強い。ゴツめの酸でスパっとキレるが、多少アルコール感もあるか。
 
梅の宿 奈良流五段仕込 露葉風 純米吟醸★★
生もあるらしいが今回は火入れタイプ。純米吟醸(60%磨き)とは思えない濃醇さ。これは5段仕込みならではか。乳酸系の立ち香。柔らかなアタックを持つ甘みかすぐにジューシーな酸が。旨みは軽い乳酸系ながら突出しすぎてないのがいい。基本的には濃醇甘酸系の典型的な味わいだが、なかでも酸が強い。後半やや雑になるが案外キレはいい。燗にするとアタックがより果実味が出てジューシーになり、中盤以降は柔らかくまとまる。これはこれでいい感じ。
 
雅山影の伝説 純米無濾過原酒 五年熟成★★
山田錦。イソアミル系のフローラルな立ち香。含むと優しく柔らかな甘みがじんわりひろがり、上品な旨みに移行する。酸はあまり感じず、弱い苦みがある。-5度下での熟成だったためか、いわゆる熟味はほとんどなく上品で5年熟成ということを考えるとむしろ軽ささえ感じる。ただ、全体の柔らかさやまとまりは熟成ならではのもの。常温だと若干粗が目立ち香味がくどくなってくる。燗もまずまずだが冷酒が一番すっきりしていいかな。
 
井乃頭 純米大吟醸★★
美山錦。香りも華やかで分かりやすい純米大吟醸。悪くないけど面白味はないね。(メモ紛失につき感想が適当)
 
能登の白菊 特別純米原酒 八反錦 27BY★★
そこそこマイルド、食中酒としてバランス良し。思いのほかすっきりしてた。(メモ紛失につき感想が適当)
 
辰泉 純米吟醸 京の華1号 生★★☆
埃っぽいような枯れた立ち香。甘みはそこそこでヨーグリーナ的な透明感のある乳酸ぽい酸と旨みがすぐにくる。そのままじんわり酸が退けて旨みが残る。ごく弱い苦みとともにキレ。甘酸系といえばそうなのだが、独特過ぎてうまく表現できないな。コーラスウォーターとかアンバサとかにも通ずるものがある。
 
木曽檜 本醸造★★
長野のお土産でもらった田舎酒。一杯目は正直美味くも不味くもなく、あー田舎の本醸造ってこんなだよね、という感じだったんだが、なぜか飲み進めていくうちに旨みが乗ってきて(温度か?)気づけば数種類あった酒のうち一番消費が早かった。つまみも何にでもあうんだよね。出来のいい本醸造でよくあるんだけど、なんでしょうね、この感じ。燗つけると丸みがでて旨みがぐっと前に。悔しいけどこれ旨いわ。
 
ル・サケ・ナチュレル 2016★★☆
マイ・フェイバリットの一つであるソガ・ペール・エフィスの小布施ワイナリー産ですね。頒布会で買った90%磨きの変態酒がなぜか実家の冷蔵庫に眠っていた。今年春のリリースなので半年強寝かせたことになるが、もともと旨みの塊のような酒なこともあり、生だが熟成による変化は大きくないと思われる。立ち香は濃醇さを予想させる乳酸系で、含むと骨太な甘みと酸がやってくる。ただ、不思議と甘すぎない。蜂蜜のような凝縮した旨みがやってきて余韻を残しながら切れていく。やっぱすげえ酒だわ。
 
雪の茅舎 荒走 生★★
軽めの立ち香、ほんわりした甘み、程よい酸。フレッシュさはそこまで感じないが、ごく軽い苦味を伴った複雑な味わいはあらばしりならではか。
 
コンビニでも売っているメジャーな酒で、それだけにこれまでは食指が動かなかったが今回200mlのカップを見つけたのでお試しで買ってみた次第。実際、飲んでみてもアル添の嫌な感じはずいぶんあるし、いわゆる安酒の域は出ていない。驚くような旨さは求めるべくもない。ただ、なぜか嫌いになれない味わい。基本、すっきり系淡麗で酸が立っており食中酒としては悪くない。で、燗をつけてみてわかった。軽さの中にも柔らかでしっかりした旨みが備わっており、キレが素晴らしい。この落ち着きと安定感はすごい。結局おっさんがこのあたりの酒に落ち着くのはわかる気がする。
 
辰泉 純米山廃仕込み★★
ほんのり甘やかで乳酸の先読みもできる立ち香。含むと甘さは控えめでしっかりした酸と幅のある旨み。ほんの少しだけフルーティな余韻。燗にすると丸みがでて旨みがぐっと前に出る。開栓直後よりも2日目、3日目と時間が経つにつれどんどん良くなっていく。地味ながらじんわりいい酒。
 
豊国 本醸造 生★★
某ブログで絶賛されていたためずっと気になっていた銘柄。店で純米吟醸と純米を試飲した限りだと、どちらもちょっと甘みが濃厚で重たかったので、フレッシュな酸とほどよい軽さがある本醸造をチョイス。立ち香は軽くフローラルな芳香。ゆっくりしたアタックから柔らかな甘み。そこから酸と同化した凝縮性のある旨みに。そこそこの苦みを伴って潔くキレ。アル添らしい軽快さと生のフレッシュ感を併せ持っているためスイスイ飲んでしまうがアルコール度は18なので割と危険物。ぬる燗で甘みがぐっと前に出るうえ角が取れ苦味も軽減、全体の調和が増す。抜群に燗上がりするというわけではないが、冷酒とともにそれぞれ良さがある。
 
ワンカップ大関 純米にごり★★
これ、なかなか売ってないんだよね。初めて飲みます。蓋を取るとまず酸を感じる立ち香。重たい口当たり、そこそこ濃厚な甘みからふくよかな旨みに。ほどほどにフルーティさを感じる酸もある。雑味は全くなくきれいにキレていく。安酒にありがちなぼってりしたクセのある重さもないし、これは正直悪くない。アルコール度数が11~12度というのもいい。それほど味わいに変化はないが、燗も悪くない。
 
小夜衣 特別純米 誉富士★★
白隠正宗と杉錦に並ぶ、静岡だけど静岡酒らしからぬ骨太系の銘柄。常温。乳酸の先読みがある立ち香。含むとそこそこの甘みとともにすぐにキュートな酸。じわーっと広がる豊かな旨み。そのままゆっくり余韻を残しながらキレていく。思ったほど骨太すぎず、ほどよい爽やかさをもっていて良いバランス。ここまででも充分旨かったけどぬる燗でさらに化けた。乳酸感のある立ち香が強調され、含むと丸みのある甘み。そのまま旨みが広がりグっと下降曲線を描いてキレる。これは燗映えするわ。旨い。
 
会津娘 特別本醸造★★
香りはほぼない。甘みも非常に弱くてドライ。そこそこの旨みと若干のアル添ぽさ。正直、地味すぎるくらい地味な酒だが異常にバランスがいい。なぜか杯が進んでしまう。食い物と合わせたら甘みがでてきてさらに進んだ。なんだろうこれ。ここでもまた出来の良い本醸造マジックか。
 
天明 中取り零号★★
瑞穂黄金という聞いたことない米を使用した新酒。わかりやすくうまい酒で初心者にも上級者にもおすすめできる。立ち香は軽いイソアミル。すっきりとした甘み、程よい酸と旨み。キレも良い。特徴らしい特徴はないが、フレッシュで非常に飲みやすくレベルが高い酒と言える。
 
山本 深蒼 Midnight Blue 純米吟醸生原酒★★
これもまたフレッシュでわかりやすく旨い酒。しぼりたての生酒なので当然ではあるけど、まあ山本は外しませんよね。ピリピリした発泡感とそこそこの甘み、旨みもバランスよく出ている。ジューシーでキレ良し。肩肘張らずにこういうマニアックじゃない分かりやすい酒を素直に楽しめるようになってきた。
 
澤屋まつもと 純米 2014BY★★
山田錦。かなり独特な3年熟成。立ち香はタンス?結構クセがあるので好みがわかれるところか。店主はグリーン系?と言っていたがなんとなくわかる。発泡感もまだ残っており程よい甘みからどっしりした旨みに。そのまま余韻が残る。奥行きが深い。熟成感自体はない。今まであまり飲んだことのないタイプ。温度が上がるとまろやかになってくる。

CHAI「N.E.O.」に見るコンプレックスの二重構造


CHAI『N.E.O.』Official Music Video

一見、美醜という基準ではなく個性をもっと認めて「みんな違ってみんないい」という価値観を持とうよ!と言っているように思える。いわゆる多様性、ダイバーシティだ。しかし、何かのインタビューでぽろっと放たれた「私らって中の下だし、いや下の下かな」という言葉。これは何を意味するのか。

彼女たちは美醜のヒエラルキーを否定しているように見えて、実はそのステージから降りていないのだ。本質的に美醜で評価される社会自体を否定するのであれば自分たちをランク付けしたりしない。中の下とランク付けする(あとから謙遜して下の下と言い換えはしたが)ということは、そのヒエラルキーにどっぷり浸かっていると自ら認めていることになる。

本当に個性を尊重するのであれば、美人であろうがブサイクであろうが同じように社会のあり方を糾弾するはずである。失礼な言い方だが、もし彼女らが既存の美醜の価値観において「美」の側、つまり顔の良さをもてはやされるような存在であったなら、そこで満足してしまいこの曲は生まれなかっただろう。この曲だけでなくアルバム「PINK」の随所で現れるルックスに対する劣等感。彼女らがこれまでの人生でそれによって悩み、苦しみ、傷ついてきたことは容易に想像できる。

ルックスの劣等感を克服する方法はいくつかある。整形して世間の評価を得る、まったく気にしないマインドを育てる、社会のありよう自体を変えようとする、各自の個性を尊重するなど。正直に言って最後の「個性を尊重する」なんてのは、表現としてはもっとも陳腐でつまらない。残念ながら「N.E.O」において彼女らはそれを選んだようにも思える。しかし、そこに至る出自はそんなに素直なものじゃなく、明らかに歪んでいる。「私はブスじゃない!むしろカワイイんだ!お前らもそう思え!私を褒めろ!」そんな厚かましささえ感じる思いがくすぶっているのである。

「NEOカワイイ」とは「カワイイ」の価値観の再定義に他ならない。今までは大きな目が、高い鼻が、細い脚が「カワイイ」だったが、これからはその逆こそが「カワイイ」のだ。「NEO」と言ってしまっている以上、これまでの価値観も肯定して全てを認めることにはならない。全ての個性を尊重するのではなく、あくまで既成の価値基準をひっくり返して、自分がヒエラルキーの上位に立とうとしているのである。そこからは世間的に美人と言われてきた人間に対する怨讐さえ感じられる。

これはコンプレックスまみれの人間が陥りがちな論理のすり替えだが、恐らく本人たちもそこに気付いてはいない。個性や多様性の尊重を謳っているのは本心からだろう。しかし、根底にあるのはやはり劣等感であり、自己肯定感の低さである。自分に自信がない、認めてほしい、カワイイって言ってほしい。だけど、自分たちなんかがそんなことを言ったら図々しいって思われて嫌われるかもしれないから、私たちも含めた全ての人間が認められるような理屈を見つけよう。そんな論理展開が無意識のうちに行われたのではないだろうか。

彼女らはこの主張をリスナーに向けているようで、自分たちに向けている。「みんな違ってみんないい」と自分たちに言い聞かせることで居場所を得ようとしている。でも、人間なんてだいたい何らかの劣等感に悩み、なんとか折り合いをつけながら生きている。個性を尊重すべし、なんてことは言われなくても分かってる。それを他人に教唆するなんてのはおこがましい。だけど自分を守るためにそう言わずにはいられない。結局、褒めて欲しいのは自分であって、他人はそのオマケにすぎない。

そうだとすれば彼女らは実に青臭い。若い。だがそこがいいのだ。一見明るくあっけらかんとした佇まいの裏から透けて見えるコンプレックスに対する叫び。まるでブルースだ。いや、パンクか?とにかくそれがCSSやESGを彷彿とさせる粗くファンキーな演奏に乗る。なんだかんだ言っても、この攻撃的でノー・ウェイブ的なサウンドこそ、彼女らが羊の皮をかぶった狼である証左だ。リスナーはこの音から、その歪んだ主張の裏側を感覚的に嗅ぎ取って、共感するのである。

 

PINK※CDのみ

PINK※CDのみ

 

 

2017年10月に飲んだ日本酒

友人宅での日本酒飲み会用に気合い入れて選んだ3本が全部60点くらいだった。悲しい。
 
ひやおろしが最高だったのでそれを狙ってたんだが、店には通年バージョンしかなかったので、それ買ったらイマイチだった。
②3年熟成が最高だったが、店には28BYしかなかったのでそれ買ったらイマイチだった。
③通常バージョンと間違えて発泡にごりを買ってしまいイマイチだった。(ラベルが非常に似てる)
 
今回は冒険せずに過去美味かったのをチョイスするつもりだったのに、結果的には微妙に異なるものを買ってしまい、どれも外すという悲劇。日本酒は繊細です。銘柄が同じでもスペックや状態を妥協しちゃいけないということを改めて痛感しました。
 
志太泉 純米 ひやおろし★★
香りは穏やかでスローなアタック。上品な甘みからやや硬めの旨みに移行。若干の辛さがある冷やおろしの熟成感は全く感じず、スムーズで洗練されている。
 
磐城壽 純米しぼりたて生酒 かどやSP 雄町 ★★
全く同じものを先月も飲んでいるが、飲む店(=管理)が違うと味にどれだけ差が出るのか検証したくて頼んでみた。まずは発泡感とフルーティさ。甘み強めだがキレもバランスも良くてかなり良い造り。旨みもしっかり乗っている。最後に若干の心地よい苦み。うーむ、前回とは若干印象が異なるがやっぱり美味いのは変わらず。これはいい酒です。
 
磐城壽 純米しぼりたて生酒 かどやSP 26BY 出羽燦々★★
磐城壽 純米しぼりたて生酒 かどやSP 27BY 雄町★★
磐城壽 純米しぼりたて生酒 かどやSP 28BY 雄町★★
そしてまたまた別の飲み屋で見つけたので、つい。28BYのみ6号酵母でその他は不明。大きな差は感じなかったけどやっぱ垂直飲みは楽しい。26がやや旨みが育ってて余韻が長かったけど、熟感はほぼなかった。28は比較するとややフレッシュで26ほどの深みはないかも。27はその中間といったところか。まあ、似たか寄ったかではある。このスペック、今期3回目だけど何回飲んでも美味いね。生感がもう少し抑えられたら最高なんだけど、そこは好みの問題。
 
大黒正宗 吟醸生酒★★
神戸の全く知らない酒蔵。夢錦使用。立ち香はやや草。少しだけ南国風の甘みと含み香が強いが悪くはない。旨みふくよかでキレ良し。アル添の嫌味は全くない。これもかどやの扱いとのこと。やるな。
 
松尾 斑尾 2016BY Vol.1 Goldラベル★★☆
軽くイソアミルな立ち香。ほんのり熟成感があり、かなりバランスがいい。フルーティさもあるが食中酒的でもある。甘みはやや軽く、旨みと酸がちょうどいい塩梅。アフターで若干の苦味。不思議とたくさん飲みたくなる。やっぱバランスの良さなのかな。
 
瀧自慢 大吟醸 生 9BY ★★
20年の生熟成。熟香は当然のようにあるが生老ねは全くなく割と飲める。意外に甘みが強く、大吟醸らしい軽さと後口の滑らかさにアル添の良さが出ている。
 
宗玄 大吟醸 4BY★★☆
お次は25年熟成。これも当然のように熟成香はあるが老ねは全くなくうまく熟している。甘みと旨みも強めでちゃんと乗っていてバランス良し。後半は軽くキレもいい。さすがは宗玄。
 
都内ではスーパー御用達の銘柄なので正直ナメてたけど美味いわ。バニラリーな立ち香。含むとほんのり熟感を感じるほどほどの甘み。意外にも味幅のある旨みと比較的強めの酸の後、辛みがやってくる。食中酒としてかなり優秀。熟成もそれなりに行けそうなので試してみよう。
 
鏡山 ひやおろし★★
乳酸を感じる立ち香。強い甘みとバランスのいい旨み、軽い熟成。無難ではあるが安定感は間違いない。
 
黒松仙穣 こんな夜に… 26BY★★☆
53度の燗。甘みそこそこで最高の旨み。キレもいい。かなり良い印象だったがかなり酔ってたのであんまりはっきり思い出せない…
 
五橋 96 白麹 ★★
でました精米歩合96%の変態酒。去年存在を知って以来ずっと出てくるのを待ってたんだよ。やや草っぽい立ち香。思いのほか軽めのアタックからすぐに酸を伴ったジューシーで濃醇な甘み。コク。最後、白麹の酸が引き取って軽快にキレと見せかけてじんわり上品な甘みが余韻として残る。これは面白いしインパクト強い。ちなみに燗は生感増して向いてない。二日目はちょっとメリハリがなくなって凡庸な甘い酒に落ちたかも。
 
富久長 超ひやおろし吟醸 秋櫻  2年熟成(2015BY) ★★☆
軽く甘みを予感させる立ち香。含むと想像通りのライトなタッチ。このあたりは富久長 らしさか。旨みはきれいでスムーズ。エレガントにキレ。熟味も軽くあり。これ、熟成してなかったら物足りなかったんだろうな。ほどよく角が取れて旨みが育っている印象。かなり好きなタイプ。今後、この手の軽い酒の熟成をもうちょっと追及してみたい。
 
媛一会 無濾過 純米吟醸 瓶火入 夏越酒★★
松山三井60%磨き。バニラリーでアルコールを感じる立ち香。案外旨みはすっきりして酸が強め。これは燗上がりしそう。というわけで51度に。思ったほど旨みは伸びてこないが悪くない。燗冷ましで甘みが少し前に出てきてなかなかいい感じ。
 
イットキー★★
名前が文法的にありえない英語なので非常に気持ち悪いが、それはそれとしてかなり個性的な味わい。アルコール分が12%で軽やかなのかなと思いきや、とろみのある液性で甘みも酸も濃厚。日本酒度-40. 酸度4.6で完全に変態酒の領域だがボディ自体は重くないので一口二口で飽きるということもない。しかしどっかで飲んだことある味わいだと思ったら、福千歳のPURE RICE WINEだ。大枠としてはあれにかなり似てる。PURE RICE WINEの酸を少し弱めて、全体的に軽めにしたらイットキーになる。
 
十六代九郎右衛門 播州愛山 ver.秋 vol.1 27BY★★☆
火入れ1年熟成。立ち香は柔らかく心地よいバナナ?フローラル?甘みはぽっちゃりとして強め、きれいな曲線を描いて蕩けるような旨みがやってくる。酸の通奏低音が全体を締めている。常温だとアフターでややアルコール感が鼻に抜ける。全体的に濃醇ではあるが、決して重すぎず、むしろ芯の抜けた軽やかささえ感じる。文句なしに美味い。
 
篠峯 ろくまる 雄町 純米吟醸 無濾過生酒 晩秋旨酒★★
ほどほどのカプロン。微かに発泡感。甘みは上品で旨みもきれいに乗っている。篠峯らしいソリッドさとミネラル感、キレ。もう1年熟成させても全然いけるな、これは。
 
蒼空 純米酒 ひやおろし 美山錦★★
最近好きな蒼空。軽さと雑味のなさ、スムーズさがエレガントでいいんだよな。出過ぎず程よく控えめな、いうなれば京都らしいはんなり感が素晴らしい。さて立ち香はイソアミルで期待通り軽めの甘み。わずかに丸みを帯びた口当たりからスムーズに嚥下まで辿り着く。蒼空にしてはややモサっとした部分がないでもないが、それは精米歩合60%だからある程度仕方ないか。

2017年9月に飲んだ日本酒

今年に入ってから恒常的に週末に飲みすぎてて体型が崩れてきました…若干飲む総量を減らしにかかってます。ほんとに若干だけど。
 
萩の露 里山 あらばしり★★☆
あまり強いのは好きじゃないカプロンの立ち香だが、これは心地よい程度。含みでガス。ほどほどの甘みと酸味。旨みは上品で、全体的に端正。確かに濁りであることを感じさせる後口。萩の露らしい丸みや膨らみはそこまで感じなかったが、シャープすぎるわけでもなく、いいバランス。
 
磐城寿 純米 雄町 しぼりたて生酒 かどやSP ★★
魚に合うといわれ、雑誌などではよく見かける銘柄だが初飲み。立ち香も含み香も予想外にフルーティ。生のフレッシュ感もある。若干甘みが強めだが下品な味の出方はしていない。旨みへの移行がスムーズ。特に問題を感じるレベルではないが、やや酸が足りないか。 大阪のかどや酒店のプライベートブランドなのでこの銘柄の典型的な味わいではないのだと思う。次は定番酒を飲んでみたい。
 
七ロ万 25BY ★★
-5℃氷温熟成。立ち香は極小。ロ万らしい柔らかなアタックと弱めの酸。旨みの捌けも良くてとにかく軽い。熟香・熟味もそれなりにあるが、かなりきれいに熟成しているため野暮ったさはなく完成度高い。
 
ロ万 火入れ原酒P 25BY★★☆
ロ万の「P」?全く聞いたことないな、と思ったらこの年にだけ造った、かどや酒店のPBらしい。店の冷蔵庫で4年近く寝かせていたとのこと。これもロ万独特の柔らかさ。ただ、こっちは七ロ万よりもっちり感があって軽くはないが重いというわけでもない。控えめに熟成感もあり、すーっと体に馴染む。しかし、同じ年数を-5度と+3~5度で貯蔵したものを比べて前者の方が熟感強いというのは面白い現象。まあ、造りの差は多分に影響してるんだろうけど。
 
ど辛 生 ★★
定番のど辛に生!?これは珍しいということでホイホイ購入。基本、秋田県内のみの流通商品で都内では池袋の升新商店のみが取り扱いとのこと。味はガスからの微かな甘みと生らしいフルーティな含み香。締まりのある旨みからスッパリ切れる。このキレは素晴らしい。もともとフルーティさを内包する酒だが、生にすることでそこがより強調されている。二日目、若干アタックがまろやかになったか。
 
初孫 生酛純米27BY★★☆
常温自家熟成シリーズ。 スーパーで安売りしてたのを買って1年置いてみたけど まあ、失敗しようのないスペックだよね。予想通りにまろやかなアタック、思ったより感じる甘み、軽い熟味、腰の強い旨み。生酛らしい深み。燗もばっちりはまる。ただ、常温でも充分旨いので燗専用というほどでもない。同じく自家熟成させた刈穂や天の戸とかなりキャラクターが似てるのが不思議。
 
伯楽星 特別純米 ひやおろし★★★
立ち香はほどよくカプロン。柔らかで上品な甘みからフレッシュ&フルーティな含み香を伴った、ふくよかな甘みに移行する。最初の含みでこれだけ立体感があるのは面白い。旨みも酸もキレイに出ている。最後は軽い苦みで締める。軽すぎず重すぎずエレガントさがあって、今ちょうど飲みたいタイプの酒かも。
 
吟望 天青 純米 秋あがり★★
おりがらみ。五百万石。ここのところよく飲んでる天青だが、これは期待と少し違った。天青というと酸がシャープですっきりしたイメージが強いが、これはいわゆる純米系のひやおろしの典型的な味わいだった。アルコールを感じる立ち香、柔らかい甘み、旨みも十分乗ってて美味い。ただ、アフターでやってくるアルコール感が喉を攻めてくる。常温だからかな。冷酒のほうが良かったかも。もしくはぬる燗。
 
車坂 秋あがり純米吟醸★★
イソアミルな立ち香。いい意味で車坂らしくない軽さ、柔らかさもある。キレもいいし、日本酒慣れして定番の純米とか普通酒しか飲まなくなったような玄人(おっさん)好みの安定した味わい。とにかく優しくて軽い。
 
秋鹿 多酸 純米生原酒 2015年上槽 ★★
28号酵母山田錦70%精米、日本酒度-11、酸度3.8。昨年も飲んでいるが隔年でしか作らない酒なので、今買えるものは必然的に2年弱の生熟ということになる。ほんのり乳酸っぽい立ち香。ヨーグリーナ的な甘さとその名に違わぬ強めの酸味。やわらかい旨み。甘酸系の代表のような味わいでわかりやすい。昨年のものに比べるとフレッシュ感は後退して、やや酸にまろやかさと落ち着きがでてきたか。また、若干の生老ねがあるが、ここは好みが分かれるところかもしれない。個人的にはこのくらいの老ねはむしろ歓迎。冷酒がベストだが案外燗も悪くない。常温が一番中途半端。
 
丹沢山 秋麗  純米★★☆
阿波山田錦60%。古米を使っているとのこと。丹沢山というともっと辛口にキレるイメージだが、これは結構甘くてもっちり系。ただ、全体のバランスの良さや柔らかさは、この銘柄らしさを感じる。若干アルコールっぽい立ち香で含むとまず柔らかい甘み。ただ、それもすっと退けていくので全く嫌味ではない。そのあと多少鼻に抜けるアルコール感を伴って旨みが全体をまとめる。やや熟感を纏った後口が次の一杯を促す。燗では甘みが増す。常温でも燗でもどちらもいける。
 
若水55%。膨らみ、まとまり、キレ。これぞ丹沢山。ほどほどの甘さと控えめな旨み。キレもいいのでいくらでも飲めてしまう。そこそこ磨いてるのですっきりしてる。酸もあるし、ちょっと麗峰と飲みくらべしたいなこれは。常温も悪くないが40~50℃の燗でさらに実力を発揮。
 
日本響 純米吟醸 山田錦★★
山形の東光の蔵が平成8年に創業400年を記念して戦前に使っていた銘柄名を復活させたとか。軽いイソアミルの香り、甘みはそこそこ、熟感のある旨み。アフターで弱い渋みと苦み。濃醇というほどではないが、味わいがしっかりしている東光っぽさも感じることができる。
 
中田屋 純米吟醸55★★☆
美山錦。最近ちらほら見かける埼玉は越生の銘柄。柔らかい立ち香。含みは軽く、中盤で柔らかな乳酸系の旨み。細いながら酸はしっかりあるので輪郭もくっきり。切れもよし。とにかく全体的に軽いが不思議と物足りなさはない。
 
雁木 ひとつび★★☆
立ち香はほぼない。落ち着いた甘みとバランスのいい旨み。酸の下支えもしっかり。重くもなく軽くもない。非常に飲みやすい。雁木といえば無濾過生原酒がフラッグシップだと思うが、個人的には落ち着きと安心感がある火入れのほうが好き。燗にすると甘みが増しさらに飲みやすくなる。鮮烈な印象はないがじんわり染みる安定感。ちなみに「ひとつび」は一回火入れという意味ではなく、これは二回火入れだと蔵の営業のおっちゃんに聞いたが、蔵のHPには一回火入れって書いてあるな…
 
水鳥記★★
初めて聞く宮城の銘柄。山田錦55%。ほどほどにフルーティな立ち香。甘みも旨みも上品でクリア。酸味は弱いがまろやかで賀茂錦の荷札酒を思い出した。キレで極小の渋みを伴うがそれほど気にはならない。飲みやすくはあるが、ちょっと単調なのでもう少し立体感がほしいところ。
 
七田 純米★★
七田は濃くて好みなので結構飲んでるが霊峰65%磨きのこのスペックは初めて。南国っぽい甘い熟成香。甘みも期待に違わず濃醇だがフルーティで悪い癖はない。酸もそれなりにあってフルーティさを助長する。旨みもよく乗ってて美味い。アフターでやや苦み。量を飲むと少しくどいかも。
 
旭鳳 純米吟醸 生 泰平★★
八反錦60%、香り弱いながらも洋梨っぽさがある。軽い甘みにスムーズな旨み。多少の渋みと辛さ。アル感もあるが全体的にはよく出来ていてソツなくまとまっている。八反錦の特徴である、いい意味でのソリッドさと軽さが素敵。なんだろう、派手さはないけど不思議とまた飲みたいと思わせる何かがある。
 
誉国光 菩提酛×山廃酛 純米吟醸★★
日本酒度-5 酸度1.6 米不明 精米60%。菩提酛×山廃酛のハイブリッド酒母を使うという変態酒ハンター垂涎の珍しい製法。ゴリゴリの骨太酒かと思いきや味わいは案外わかりやすく、むしろ若者好みの雰囲気さえある。ほのかにバニラリーな立ち香、やさしいアタックから丸い甘みとフルーティな含み香。そのあとの酸がややゴツっとした粗めのテクスチュアなのが山廃らしさと言えるだろうか。ただ、決して酸が強すぎるということはなく、バランスはいい。旨みも強すぎず極々わずかな苦味を伴ってキレる。燗も悪くない。酸が若干丸くなる。二日目以降、若干バランス崩れる。ほんの少しだが苦味が出てちぐはぐになった。開けたての感じが持続すればもっと高評価だったんだが。
 
澤姫 生酛純米★★
とちぎ酒14という米を使用。乳酸の立ち香。マイルドな口当たり。そこそこの甘みの後、キリっとした強めの酸が。旨みは立ち香で感じたとおり乳酸系。かなり立体的で生酛らしい生酛と言える。酸がスパっと脂を切るので肉に合いそう。
 
悦凱陣 金比羅大芝居 11BY★★
山田錦50%。18年熟成にもかかわらず意外なほどフルーティなメロン吟醸香。甘みはすっきりで極軽い熟味がある。旨みは上品でかなりライト。添加したアルコールを感じるが、そこまで嫌味ではない。
 
風が吹く 山廃仕込純米吟醸生酒★★
モダン山廃といえばこの銘柄。メロンのような立ち香。アタックは基本柔らかいんだが、やや苦みを伴っているのが珍しい。そのまま軽い旨みがきれいに膨らみ静かに退けていく。酸は弱目だが足りないわけではない。オールドスクールなゴツゴツした山廃らしさは全くない。全体的にエレガントではあるんだが、前半から最後まで別のレールで苦味が並走しているよう。ここだけ調和がとれておらず非常に気になる。平杯からグラスに移すと多少マシになった。二日目は若干まとまりが出たか。
 
 

2017年8月に飲んだ日本酒

最近ちゃんと火入れ・加水した安い純米酒がピタっとくる。派手な無濾過生原酒はもういいや。どんどんおっさん化が進んでるな。

 

一博 うすにごり★★

先月、同銘柄の純米吟醸を開けてて、苦手な草っぽさがあってどうにもイマイチだったんだが、こっちは香りも味わいも全く違う。そこそこ甘みがあるし、草感もない。なんだこれ、こんなに変わるか。

 

流霞 純米生原酒★★

和歌山の蔵。全く知らなかった銘柄。乳酸っぽい立ち香。甘みは強めで濃醇。バランス良い。アフターが長い。好き。

 

泗水郷 佐倉 特別純米酒 山廃 無濾過生原酒★★☆

これまた全く知らなかった銘柄。 甘みは強めで濃醇。ほどよい苦み。山廃らしさは特に感じず。大変好み。

 

あべ 純米吟醸★★

五百万石55%、9号、うすにごり。フルーティな立ち香。ほんのり乳酸のニュアンスもある甘みがどわっと押し寄せる。酸がしっかりあるのでジューシーで、なおかつ軽い。リリースでややアルコールを感じるが特に気にはならない。

 

白岳仙 純米吟醸備前雄町 しずく取り 25BY★★☆

わずかな熟香。人懐っこい甘みから、それなりに熟れたチョコ感と旨みが。キレがいいと思わせておいて弱い余韻が長めに続く。非常に好きなタイプ。

 

国権 秋あがり 28BY★★☆

この時期のひやおろしはより寝かせが効いていいね。昨年秋リリースのものなので都合1年くらいか。上品で儚げなんだけどそれなりに強度はある甘み、舌の奥で軽い熟味を伴ったコクと酸を感じたまま苦味に変化する。俺、このくらいの軽い熟成された酒が一番好きかも。常温になると急に雑な感じになるので冷酒のほうがいい。常温を超えて40度くらいまで上げれば、これはこれでいい感じになる。ただそこまで燗上りするわけではない。

 

七田 山廃旨口純米★★☆

乳酸を感じる立ち香。旨口に典型的な濃い甘みとコクがググッとせまる。酸も骨格の核としてしっかりある。数年熟成させてるらしいが、チョコっぽさは皆無。まとまりは非常にある。非常に好きなタイプ。燗つけてもあまり印象変わらず。

 

山城屋 秋上がり28BY★★

これも去年のひやおろし山田錦50%。まず常温。フルーティな立ち香。リンゴ系。まろやかな口当たりとともにバランスのいい甘み。旨みは強すぎずきれいなエンベロープを描くが、その後急に鼻に抜けるややノイジーなアル感がきて極弱い苦みのあるフィニッシュに向かう。冷酒にすると後半の雑さは消える。燗もそれほど印象は変わらないがまとまりがでる。結論。常温は今一つ。三日目、アタックに柔らかさが加わり非常にいい感じ。全体的にもノイジーさが弱まった。

 

遊穂 あか 山おろし純米吟醸★★

夏酒カテゴリなんだがバーベキューやスタミナ食に合わせて夏に負けない濃い酒をという蔵元のどこかおかしい夏酒感が素敵。乳酸系の立ち香。含むと軽い甘みを感じ、すぐ濃醇に変化。この時点ではまだ旨みにたどり着いていない。この動きは面白いかも。そして乳酸感のある旨みに。多少のアル感とともにキレ。燗は生っぽさが強調されて今一つ。冷酒のほうが良かった。

 

遊穂 ゆうほのあお ★★

ちょっと生っぽさが気になる。赤と同じように燗より冷酒のほうが映える。

 

太平洋 純米 ★★

和歌山の銘柄だが全然知らなかった。クラシカルで男らしいラベルがなかなかそそる。冷酒はいまいち。甘みは弱く酸が立っているのでキレもいいんだが何かペラくて立体感に欠ける、いわゆる田舎酒にありがちな風情。しかしぬるめの燗をつけると化けた。調和が取れて深みが増す、決して今どきの日本酒ではないが飽きずにいくらでも飲める。最近こういうほうが好きになってきてるなあ。

 

東鶴 特別純米 雄町 生酛造り 28BY★★

1年熟成。もはや安定の東鶴らしさ。軽くフルーティで乳酸を感じる立ち香、含むと米っぽい甘みとスムーズで濃醇な旨み。酸っぱいわけではないが下支えとしての酸がしっかりあるのでダレない。フィニッシュは若干複雑で雑味があるが、まあ悪くない。ほんの少し、焦げっぽさも探そうと思えば探せる。ぬる燗でまろやかになりアル感が消えて酸が少し立つので飲みやすくなる。

 

福千歳 Pure Rice Wine ★★

ワイン酵母使用でコシヒカリ90%精米、日本酒度-25、酸度5、でも低アル(12度)で原酒という完璧に狂ったスペック。立ち香はごくわずかで乳酸系。含むと思いのほか丸みがあるが甘みは弱い。その後、ゴツめの酸が一気に主張する。若干の熟成感と乳酸も感じるがそのまま旨みを感じる間もなくすっと消える。後口は白ワインそっくり。日本酒なのにわざわざ白ワインに寄せる意味がわからん、という議論は置いといて、これはこれで面白い。ただ、温度が低すぎるとバランスが崩れ、ぼわーんとした旨みが増してブサイクになる。常温放置しても3日は平気だった。

 

野崎酒店 赤ラベル 純米吟醸 美郷錦仕込★★★

新橋の居酒屋、野崎酒店のプライベートブランド。「春霞」の栗林酒造が醸した美郷錦50%磨きの純米吟醸。立ち香は弱く、含むとシャープなアタックで甘みよりもビビッドな酸が主張。旨みはスリムながら薄っぺらさはなく凝縮感と足腰の強さがある。リリースでほのかな苦み。柑橘を思わせるジューシー美味酒。温度が上がると明らかにアタックが柔らかくなる。面白い。★3つにするか2.5にするか迷ったけど、おまけして3にします。

 

十旭日 純米原酒 改良雄町70 25BY★★

まずは常温。立ち香で熟成と強いアルコール度数をはっきりと感じ取れる。まろやかな甘みから強めの酸(酸度2.2)。焦げっぽさはまずまずあるが、嫌味ではなく整った熟成感。アルコール度数が20度近くあるようなのでさすがに嚥下時クワっと喉に焼けつく。引けでそれなりの苦み。全体的に雄町らしい太さと芳醇さがある。45度ほどで燗をつけるが意外に印象変わらず。ただ、燗冷ましでアルコールが若干飛ぶためかアフターは飲みやすくなる。少しだけ割り水するとバランスが整い不思議とまろやかさも増す。これは割り水燗が正解。

 

辨天娘 山廃純米 玉栄 26BY★★

外飲みでは何度か飲んでる辨天娘だが、ちゃんと向き合うのは初めて。これまではいずれも冷酒だったのでこの銘柄のポテンシャルは理解できていないはず。実際、いずれもピンときてなかったし。さて、まずは常温。山廃独特の酸と意外に軽い旨み。ただ、軽いだけではなくエンベロープが長く続く。キレではアル感がきてすっと退ける。完全発酵の鳥取酒らしい味わいではある。45℃、全体的にふくよかさが増す。割と表に出ていた酸が下支えに回る。60℃近くまで上げると今度は辛みと酸が強くなり旨みも抜けてしまう。そういえばこれ、3年熟成じゃないか。熟感全くないな。新酒は硬くて飲めたもんじゃないって何かで読んだけど納得。

 

カネ中 家伝造り 生酛純米 23BY ★★☆

近所の酒店のバックビンテージ。平たく言うと売れ残り。いつもながら濃醇で最高。濃い目の食べ物と合わせるとさらに映える。熟成によるチョコっぽさはほとんどない。カネ中は熟成させたほうが絶対美味い。

 

乾坤一 特別純米辛口 ★★

この蔵の顔ともいえるササニシキ使用の定番酒。かなりメジャーだが実はこのスペックは今回初飲み。香りは弱く、含んだ際の甘みも控えめ。酸が効いてるのですっきりしてる。確かに辛いのでスッキリ辛い食中酒を求める向きには最適だろう。旨みが出すぎてないところが飽きの来ない一因になっている。燗も悪くない。50度くらいまで上げると酸が立ちすぎるが、燗冷ましで35℃くらいになるとまとまる。イメージ通り、地味な晩酌用の酒であることは間違いないが、最近そういう酒が好きになってきてるので、ちょうどよかった。
 
天穏 純米吟醸 改良雄町 21BY ★★
香りは弱い。甘み控えめだが含み香はほんのりフルーティ。旨みは軽い。後口で苦みと極小の熟成味を探せる。そこそこ端正で8年近く寝てたとは思えない。まとまりがあっていい酒。常温のほうが美味いかも。
 
山形正宗 実験醸造 2016★★
白麹を使った1年生熟。バニラリーな立ち香。含むと老ねなのかちょっと不思議なクセがあるが不快ではない。なんとなく蔵粋を思い出した。甘酸系で旨みも乗っていて、ちょっとだけある癖が面白い酒。
 
澤屋まつもと 守破離 no title 生 ★★
山田錦。香りはそこそこフルーティ。甘みも旨みも軽くて上品ながら生らしいパンチも感じる。酸も効いている。とにかくバランス良くてウェルメイド。ただ、以前に飲んだ火入れのほうがインパクト強かったな。これはこれで美味いんだけど、鮮烈というほどではない。恐らく、前回は口開けから間もなかったため、ガスがあってフレッシュ感が強かったのと、火入れだったので生のもったり感がなくスッキリしていたのが影響しているか。
 
天明 焔 2017 ★★
山廃で山田錦26%五百万石73%。常温。立ち香は若干の草。そこそこの甘み。中盤で程よい熟成感と旨み。酸の下支えもありジューシー。濃醇。最後のアル感が少し邪魔。

 

 

2017年7月に飲んだ日本酒

今年はやけにいい夏酒に当たる。夏酒バカにしてたけど考えを改めねば。

 

天の戸 まる燗 生酛★★
ほんのり乳酸系の立ち香。そこそこの甘みとバランスのとれた酸。燗向けと銘打っているだけあって旨みもちょうどいい。悪く言えば中庸だが基礎レベルが高いのでそれで済ますのはちょっと違う。熱燗だと酸が前に出てきてふくよかさが失われる。冷やも悪くないが35度くらいの人肌燗が丸みと酸が調和してちょうどいい。

 

日輪田 山廃純米酒 ひまわり★★☆
五百万石。軽いカプロンの後、濃厚な甘みと程よい酸。旨みはスムーズに過ぎてフィニッシュで軽い苦み。完全に甘口なんだけど最後の苦みがオレンジピールのようで面白い。とても好み。

 

山和 特別純米 中取り原酒 ROCK★★
軽い甘み、強めの酸(酸度1.8)、程よい辛み。旨みは強すぎずバランス良い。雑味なく骨格がしっかりしてる。酒だけでも充分楽しめるが、辛みと酸のおかげで食事に非常に合わせやすい。

 

千峰 天青 純米吟醸★★
基本的に爽酒は苦手なので避けてきたが、今飲むとこれはいいなあ。以前に澤の花ひまりを飲んだ時のような好感触。濃くはないが物足りなさもない。すっきりしていながら適度な広がりもある。洗練、というのとは少し違うが、この透明感と厚みのバランスは非常に良い。しかし、日本酒飲み始めのころは濃醇一辺倒だったため全く引っかからなかった銘柄だが、ここにきてこの手の酒の良さも分かるようになってきた。結局バランスなのかな。今度は燗つけたい。

 

風の森 愛山 純米笊籬採り ★★
愛山のイカッキーは珍しい。風の森らしい発泡感、無濾過生のジューシーさが存分に味わえる。ラストの旨みの余韻が長すぎて若干うるさいか。

 

能登の白菊 そのまんま ★★
穏やかだがシャープな立ち香。口当たり柔らかく優しい甘み。そのまま芳醇な旨みが広がる。含み香でやや草っぽいムレ香を感じる。また、最後まで上品さを突き通してほしかったのだが、キレでやや雑に感じるところもあるのが残念。燗は生ムレ香が増幅されるので今一つ。冷酒~常温がベスト。

 

ど辛★★
これまでも数回飲んでおり今さらベタなチョイスだが、やけに今回はうまく感じた。これも天青と同じことか。含むとややフルーティさを感じ、ソリッドな旨みとともにバシっとキレる。辛みはほとんど感じない。しかし最初の含みがこんなにモダンな感じだったっけ?

 

日置桜 強力26BY★★
トラディショナル&スタンダードながら、家飲みでちゃんと向き合うのは初めて。日本酒度+14、酸度1.9。数値はなかなかのエクストリーム。まず常温。完全発酵らしい癖のある強い旨み。程よい酸も伴っている。苦味とともにキレ。55度の飛び切り燗、含みから旨みへの移行がスムーズになる。全体の印象は大きく変わらないが調和が増すので間違いなく燗に軍配。さらに温度を上げてみる。70度くらいまで上げても全く崩れないのはさすが。これは温度高いほうがいいかも。燗冷ましでより柔らかくまろやかに。いろいろ試した結果、70度→40~35度の燗冷ましがベスト。なお、26BYだが熟味は全く感じない。

 

早春 夏のブーリュ★★☆
うすにごり。薄っぺらい夏酒が多い中、これは非常によくできてる。マスカットっぽい風味。甘みは控えめでさらりとしてる。旨みは上品ですっと退ける。にごりのおかげなのか全体的にスムーズな印象。

 

蜻蛉 純米にごり酒 青とんぼ ★★
若波の蔵ですね。程よい甘みにくっきりした酸。旨みは上品で軽い苦みを伴って切れる。驚きはないがよくできた夏酒。

 

長陽福娘 山田錦 直汲み夏吟醸★★☆
磨きは50%。立ち香は爽やかなラムネ。口開けはさすがの発泡感。含みはドライで旨みはやや強め、スパっとキレ。キリっとした酸と相まって柑橘感がある。アル添のぼやけは一切感じず、むしろこの銘柄らしいソリッド感としっかりした骨格がある。

 

十六代九郎右衛門 十三度台 低アル生原酒★★
香り柔らかで優しい甘み。旨みは厚すぎず、酸が締める。軽くて飲みやすい。これもまた良き夏酒。

 

蒼空 SOOKUU 純米 美山錦生★★
強めのカプロン。甘みはシャープでほんのり乳酸っぽい旨みを感じた後、また甘みが戻ってくる。きっちり酸も足りていて美味し。

 

天の戸 純米カップ 27BY★★☆
1年常温熟成。またしても自家熟成の成功例。まず甘やかでバニラリーな立ち香。優しい甘さの後、すぐ軽い熟味を伴った太めの旨み。若干のアル感。複雑な余韻。後半はもう一歩で惜しいけど、前半のシルキーなまろやかさと広がりは非常に素晴らしい。最近は夏向けのシャープな酒が多かったから、なんかほっとするわ。ちなみにぬる燗にしてみたけど意外にアル感が増幅されて辛くなる。常温がベストかな。

 

千峰 天青 雄町★★
上で飲んだ天青がよかったので米違いにもチャレンジ。50%磨きで基本的に雄町らしくはないが、それでも香りの出し方などで雄町感はある。天青にしてみれば芳醇なほうなので、その意味ではこれが天青流の雄町の使い方なんだろうね。軽い甘みと上品な旨み、爽やかさとともに潔くキレる。好きなタイプ。

2017年6月に飲んだ日本酒

なぜか6月に飲んだ酒は一見燗上がりしそうなのに、案外常温や冷酒の方がうまいってパターンが多かったです。ある程度は酒の傾向から温度変化の予測が立てられるようになってきたかなあと思ってたけど、まだまだですね。結局試してみないとわからないことを再認識した月でした。

 

蓬莱泉 和 27BY★★
ちょうど一年常温で自家熟成させたもの。立ち香からふんわり熟成香。含むと丸くて優しい甘み。ただ、若干厚みが足りない。すぐに思いのほか存在感のある酸が追いつき軽い熟味を伴って手早くキレる。なかなか美味い。熟味自体はごくごく軽いエグみのようなものが内包されているので満点とまではいかないが、放置系熟成でこれなら充分でしょう。燗も悪くないが若干まとまりに欠けるか。燗冷ましのほうが酸がいい働きをして好み。冷酒だと苦味が顔を出す。燗冷ましがベストかな。


満寿泉 純米大吟醸 3BY★★☆
老ねや嫌味がなく25年熟成とはとても思えない。大吟醸だからかな。含みでの甘みは軽く、すぐにエレガントなんだけど力強くもある旨みが広がる。この味幅は逆に大吟醸らしくない。甘み、酸味、旨み、熟味のバランスが素晴らしい。そして最後は旨みの余韻が長めに続く。これは最高。

 

松の司 純米吟醸 27BY★★
安定のクオリティ。やはりこの銘柄は上手いし美味い。1年熟成だが熟味は皆無、逆に寝かせないものがどれだけ硬さや荒さが残っているのか飲んでみたい。(すっぱいわけではなく)輪郭を作る酸がしっかりしているので、くっきりと見通しが良い。甘酸旨のバランスが非常に良くメリハリがある、洗練されたオトナの味わい。今、一番飲みたいタイプの酒。

 

松の司 純米吟醸 28BY★☆
こっちは今年4月製造なのでこれで明らかな比較ができる。立ち香はほとんど感じない。含むと上品で微かな甘み嚥下時に酸と旨みが現れる。どことなくフルーティさも感じさせ、これはこれで悪くない気もするがどこか物足りない。旨いんだけど普通レベルというか。やはりこの子は少し熟成させたほうが実力を発揮できる気がする。現時点で粗さがあるわけではないんだけどね。熟成によって全体がピタっと調和するというか。

 

橘屋 特別純米 雄町 山廃 27BY★★
全然知らない銘柄。調べたら「黄金澤」の蔵なのね。キャラクターとしては松の司にも似たしっかり者。どちらかといえば濃醇でやや力強さがあるか。恐らく燗もいけそう。ちなみに山廃であることに気付いたのは後日ラベルの写真を見返したときだったのだが、逆に言うと典型的なクラシック山廃っぽいクセは目立っていなかったと思われる。ただ、この日は人と一緒だったのであまり細かいインプレッションを覚えていないんだよね…。もったいない。ちょっとこれは追うべき銘柄かもしれない。とりあえず「黄金澤」は近所の酒屋に扱いあるので手を出してみるか。

 

黄金澤 山廃純米 24BY ★★
基本的なキャラクターは橘屋と似ているが、より丸みがありすっきりしているか。これは熟成によるものかもしれない。全体的に落ち着きがありついつい杯を重ねてしまうタイプ。燗も良いが常温でも充分ポテンシャルを発揮できる。

 

松尾 荒瀬原 純米吟醸 27BY★★
1日目、香りはほとんどなく甘み弱い、重たい旨みを持っているが酸が足りないのでどうにも冴えない。田舎臭い黒龍みたいな。燗でも特に改善せず。2日目、化けました。立ち香ですでに乳酸を感じる。含むと案の定酸がぐっと出てきて全く別物のバランスに。俺の好きな山廃/生?の乳酸系に近い味わい。燗もまずまずだが旨みの中にある軽いエグ味が表に出てくるので常温がベター。

 

白鷹 特別純米 伊勢神宮御料酒★★
山田錦70%。大手酒蔵で有名銘柄にもかかわらず都内ではめったにお目にかかれないが、とあるスーパーで発見。500mlで700円という安さ。さあ味はどうか。まずは若干の乳酸を感じる立ち香。含むと割と甘みは強く乳酸系の旨みも濃醇。酸の輪郭がはっきりしてるので非常に好印象。後口が少々雑だが、まあ値段考えたら十分か。ぬる燗~上燗で丸みが増し、後口の雑味も弱くなる。燗冷ましで酸が増してさらに飲みやすく。これは熟成もいけそう。

 

水府自慢 10号 純米大吟醸★☆
日本酒マニアの間では、あの残草蓬莱/昇竜蓬莱の菊池杜氏が蔵を移って一発目の造りということで話題の酒。通常、蔵のやり方に慣れて本来の実力を発揮できるまで2~3年かかると言われるが、1年目は果たしてどんなもんか。ちなみにこれは初年度二造り目の酒になるもよう。
まずは立ち香。結構派手に香り、含むと分かりやすい甘さ。10号酵母といえば香りが強く出て酸は弱いらしいが、全然そんなことはなく、むしろ強めの酸がガツっと主張してくる。大吟醸でこのバランスはちょっと面白い。旨みもしっかりあるが、ここで若干大味になる印象はぬぐえない。とかくケレン味の強い酒だった。

 

刈穂 white label★★☆
ほのかに柑橘系の立ち香。白麹ってこととラベルの印象から勝手にシャープ系の酸っぱい酒を想像してたが、思っていたよりずっともっちりした甘みを持っている。そこに予想通り鮮烈な酸。旨みは控えめで、そのまま霧散するようにキレていく。アフターに残るごく軽い苦みも悪くない。後口にやや水っぽさというか物足りなさを感じるが、甘酸系の酒としては高いレベルにある。初心者にも玄人にもおすすめできる。

 

駒泉 吟醸純米無濾過生原酒★★
どしっとした甘みと太いコクが特徴的。このコクは何と表現すべきか。キャラメル?うーん、ちょっと違うか。アフターで心地よい苦み。酸は弱めだが輪郭は崩れていない。

 

帰山 純米 ★★
甘めで口当たり柔らか。乳酸とほどほどの旨みを感じる。キレもいいし好みです。酔っ払っててあんまり覚えてないけど。

 

麓井 生酛純米吟醸 山長 20BY★☆
燗で。含むと明らかな熟感。ほどよい甘みと酸。そのまま熟感持続しつつ軽めの旨み。温度が下がると少し苦味が出るか。

 

石鎚 純米吟醸 無濾過 中汲み H18BY★☆
山田錦50%。後口にこの酒らしい軽さはあるが、思いのほか甘みも太さもあってまとまりを感じる。良い熟成をしている。