2017年8月に飲んだ日本酒

最近ちゃんと火入れ・加水した安い純米酒がピタっとくる。派手な無濾過生原酒はもういいや。どんどんおっさん化が進んでるな。

 

一博 うすにごり★★

先月、同銘柄の純米吟醸を開けてて、苦手な草っぽさがあってどうにもイマイチだったんだが、こっちは香りも味わいも全く違う。そこそこ甘みがあるし、草感もない。なんだこれ、こんなに変わるか。

 

流霞 純米生原酒★★

和歌山の蔵。全く知らなかった銘柄。乳酸っぽい立ち香。甘みは強めで濃醇。バランス良い。アフターが長い。好き。

 

泗水郷 佐倉 特別純米酒 山廃 無濾過生原酒★★☆

これまた全く知らなかった銘柄。 甘みは強めで濃醇。ほどよい苦み。山廃らしさは特に感じず。大変好み。

 

あべ 純米吟醸★★

五百万石55%、9号、うすにごり。フルーティな立ち香。ほんのり乳酸のニュアンスもある甘みがどわっと押し寄せる。酸がしっかりあるのでジューシーで、なおかつ軽い。リリースでややアルコールを感じるが特に気にはならない。

 

白岳仙 純米吟醸備前雄町 しずく取り 25BY★★☆

わずかな熟香。人懐っこい甘みから、それなりに熟れたチョコ感と旨みが。キレがいいと思わせておいて弱い余韻が長めに続く。非常に好きなタイプ。

 

国権 秋あがり 28BY★★☆

この時期のひやおろしはより寝かせが効いていいね。昨年秋リリースのものなので都合1年くらいか。上品で儚げなんだけどそれなりに強度はある甘み、舌の奥で軽い熟味を伴ったコクと酸を感じたまま苦味に変化する。俺、このくらいの軽い熟成された酒が一番好きかも。常温になると急に雑な感じになるので冷酒のほうがいい。常温を超えて40度くらいまで上げれば、これはこれでいい感じになる。ただそこまで燗上りするわけではない。

 

七田 山廃旨口純米★★☆

乳酸を感じる立ち香。旨口に典型的な濃い甘みとコクがググッとせまる。酸も骨格の核としてしっかりある。数年熟成させてるらしいが、チョコっぽさは皆無。まとまりは非常にある。非常に好きなタイプ。燗つけてもあまり印象変わらず。

 

山城屋 秋上がり28BY★★

これも去年のひやおろし山田錦50%。まず常温。フルーティな立ち香。リンゴ系。まろやかな口当たりとともにバランスのいい甘み。旨みは強すぎずきれいなエンベロープを描くが、その後急に鼻に抜けるややノイジーなアル感がきて極弱い苦みのあるフィニッシュに向かう。冷酒にすると後半の雑さは消える。燗もそれほど印象は変わらないがまとまりがでる。結論。常温は今一つ。三日目、アタックに柔らかさが加わり非常にいい感じ。全体的にもノイジーさが弱まった。

 

遊穂 あか 山おろし純米吟醸★★

夏酒カテゴリなんだがバーベキューやスタミナ食に合わせて夏に負けない濃い酒をという蔵元のどこかおかしい夏酒感が素敵。乳酸系の立ち香。含むと軽い甘みを感じ、すぐ濃醇に変化。この時点ではまだ旨みにたどり着いていない。この動きは面白いかも。そして乳酸感のある旨みに。多少のアル感とともにキレ。燗は生っぽさが強調されて今一つ。冷酒のほうが良かった。

 

遊穂 ゆうほのあお ★★

ちょっと生っぽさが気になる。赤と同じように燗より冷酒のほうが映える。

 

太平洋 純米 ★★

和歌山の銘柄だが全然知らなかった。クラシカルで男らしいラベルがなかなかそそる。冷酒はいまいち。甘みは弱く酸が立っているのでキレもいいんだが何かペラくて立体感に欠ける、いわゆる田舎酒にありがちな風情。しかしぬるめの燗をつけると化けた。調和が取れて深みが増す、決して今どきの日本酒ではないが飽きずにいくらでも飲める。最近こういうほうが好きになってきてるなあ。

 

東鶴 特別純米 雄町 生酛造り 28BY★★

1年熟成。もはや安定の東鶴らしさ。軽くフルーティで乳酸を感じる立ち香、含むと米っぽい甘みとスムーズで濃醇な旨み。酸っぱいわけではないが下支えとしての酸がしっかりあるのでダレない。フィニッシュは若干複雑で雑味があるが、まあ悪くない。ほんの少し、焦げっぽさも探そうと思えば探せる。ぬる燗でまろやかになりアル感が消えて酸が少し立つので飲みやすくなる。

 

福千歳 Pure Rice Wine ★★

ワイン酵母使用でコシヒカリ90%精米、日本酒度-25、酸度5、でも低アル(12度)で原酒という完璧に狂ったスペック。立ち香はごくわずかで乳酸系。含むと思いのほか丸みがあるが甘みは弱い。その後、ゴツめの酸が一気に主張する。若干の熟成感と乳酸も感じるがそのまま旨みを感じる間もなくすっと消える。後口は白ワインそっくり。日本酒なのにわざわざ白ワインに寄せる意味がわからん、という議論は置いといて、これはこれで面白い。ただ、温度が低すぎるとバランスが崩れ、ぼわーんとした旨みが増してブサイクになる。常温放置しても3日は平気だった。

 

野崎酒店 赤ラベル 純米吟醸 美郷錦仕込★★★

新橋の居酒屋、野崎酒店のプライベートブランド。「春霞」の栗林酒造が醸した美郷錦50%磨きの純米吟醸。立ち香は弱く、含むとシャープなアタックで甘みよりもビビッドな酸が主張。旨みはスリムながら薄っぺらさはなく凝縮感と足腰の強さがある。リリースでほのかな苦み。柑橘を思わせるジューシー美味酒。温度が上がると明らかにアタックが柔らかくなる。面白い。★3つにするか2.5にするか迷ったけど、おまけして3にします。

 

十旭日 純米原酒 改良雄町70 25BY★★

まずは常温。立ち香で熟成と強いアルコール度数をはっきりと感じ取れる。まろやかな甘みから強めの酸(酸度2.2)。焦げっぽさはまずまずあるが、嫌味ではなく整った熟成感。アルコール度数が20度近くあるようなのでさすがに嚥下時クワっと喉に焼けつく。引けでそれなりの苦み。全体的に雄町らしい太さと芳醇さがある。45度ほどで燗をつけるが意外に印象変わらず。ただ、燗冷ましでアルコールが若干飛ぶためかアフターは飲みやすくなる。少しだけ割り水するとバランスが整い不思議とまろやかさも増す。これは割り水燗が正解。

 

辨天娘 山廃純米 玉栄 26BY★★

外飲みでは何度か飲んでる辨天娘だが、ちゃんと向き合うのは初めて。これまではいずれも冷酒だったのでこの銘柄のポテンシャルは理解できていないはず。実際、いずれもピンときてなかったし。さて、まずは常温。山廃独特の酸と意外に軽い旨み。ただ、軽いだけではなくエンベロープが長く続く。キレではアル感がきてすっと退ける。完全発酵の鳥取酒らしい味わいではある。45℃、全体的にふくよかさが増す。割と表に出ていた酸が下支えに回る。60℃近くまで上げると今度は辛みと酸が強くなり旨みも抜けてしまう。そういえばこれ、3年熟成じゃないか。熟感全くないな。新酒は硬くて飲めたもんじゃないって何かで読んだけど納得。

 

カネ中 家伝造り 生酛純米 23BY ★★☆

近所の酒店のバックビンテージ。平たく言うと売れ残り。いつもながら濃醇で最高。濃い目の食べ物と合わせるとさらに映える。熟成によるチョコっぽさはほとんどない。カネ中は熟成させたほうが絶対美味い。

 

乾坤一 特別純米辛口 ★★

この蔵の顔ともいえるササニシキ使用の定番酒。かなりメジャーだが実はこのスペックは今回初飲み。香りは弱く、含んだ際の甘みも控えめ。酸が効いてるのですっきりしてる。確かに辛いのでスッキリ辛い食中酒を求める向きには最適だろう。旨みが出すぎてないところが飽きの来ない一因になっている。燗も悪くない。50度くらいまで上げると酸が立ちすぎるが、燗冷ましで35℃くらいになるとまとまる。イメージ通り、地味な晩酌用の酒であることは間違いないが、最近そういう酒が好きになってきてるので、ちょうどよかった。
 
天穏 純米吟醸 改良雄町 21BY ★★
香りは弱い。甘み控えめだが含み香はほんのりフルーティ。旨みは軽い。後口で苦みと極小の熟成味を探せる。そこそこ端正で8年近く寝てたとは思えない。まとまりがあっていい酒。常温のほうが美味いかも。
 
山形正宗 実験醸造 2016★★
白麹を使った1年生熟。バニラリーな立ち香。含むと老ねなのかちょっと不思議なクセがあるが不快ではない。なんとなく蔵粋を思い出した。甘酸系で旨みも乗っていて、ちょっとだけある癖が面白い酒。
 
澤屋まつもと 守破離 no title 生 ★★
山田錦。香りはそこそこフルーティ。甘みも旨みも軽くて上品ながら生らしいパンチも感じる。酸も効いている。とにかくバランス良くてウェルメイド。ただ、以前に飲んだ火入れのほうがインパクト強かったな。これはこれで美味いんだけど、鮮烈というほどではない。恐らく、前回は口開けから間もなかったため、ガスがあってフレッシュ感が強かったのと、火入れだったので生のもったり感がなくスッキリしていたのが影響しているか。
 
天明 焔 2017 ★★
山廃で山田錦26%五百万石73%。常温。立ち香は若干の草。そこそこの甘み。中盤で程よい熟成感と旨み。酸の下支えもありジューシー。濃醇。最後のアル感が少し邪魔。

 

 

2017年7月に飲んだ日本酒

今年はやけにいい夏酒に当たる。夏酒バカにしてたけど考えを改めねば。

 

天の戸 まる燗 生酛★★
ほんのり乳酸系の立ち香。そこそこの甘みとバランスのとれた酸。燗向けと銘打っているだけあって旨みもちょうどいい。悪く言えば中庸だが基礎レベルが高いのでそれで済ますのはちょっと違う。熱燗だと酸が前に出てきてふくよかさが失われる。冷やも悪くないが35度くらいの人肌燗が丸みと酸が調和してちょうどいい。

 

日輪田 山廃純米酒 ひまわり★★☆
五百万石。軽いカプロンの後、濃厚な甘みと程よい酸。旨みはスムーズに過ぎてフィニッシュで軽い苦み。完全に甘口なんだけど最後の苦みがオレンジピールのようで面白い。とても好み。

 

山和 特別純米 中取り原酒 ROCK★★
軽い甘み、強めの酸(酸度1.8)、程よい辛み。旨みは強すぎずバランス良い。雑味なく骨格がしっかりしてる。酒だけでも充分楽しめるが、辛みと酸のおかげで食事に非常に合わせやすい。

 

千峰 天青 純米吟醸★★
基本的に爽酒は苦手なので避けてきたが、今飲むとこれはいいなあ。以前に澤の花ひまりを飲んだ時のような好感触。濃くはないが物足りなさもない。すっきりしていながら適度な広がりもある。洗練、というのとは少し違うが、この透明感と厚みのバランスは非常に良い。しかし、日本酒飲み始めのころは濃醇一辺倒だったため全く引っかからなかった銘柄だが、ここにきてこの手の酒の良さも分かるようになってきた。結局バランスなのかな。今度は燗つけたい。

 

風の森 愛山 純米笊籬採り ★★
愛山のイカッキーは珍しい。風の森らしい発泡感、無濾過生のジューシーさが存分に味わえる。ラストの旨みの余韻が長すぎて若干うるさいか。

 

能登の白菊 そのまんま ★★
穏やかだがシャープな立ち香。口当たり柔らかく優しい甘み。そのまま芳醇な旨みが広がる。含み香でやや草っぽいムレ香を感じる。また、最後まで上品さを突き通してほしかったのだが、キレでやや雑に感じるところもあるのが残念。燗は生ムレ香が増幅されるので今一つ。冷酒~常温がベスト。

 

ど辛★★
これまでも数回飲んでおり今さらベタなチョイスだが、やけに今回はうまく感じた。これも天青と同じことか。含むとややフルーティさを感じ、ソリッドな旨みとともにバシっとキレる。辛みはほとんど感じない。しかし最初の含みがこんなにモダンな感じだったっけ?

 

日置桜 強力26BY★★
トラディショナル&スタンダードながら、家飲みでちゃんと向き合うのは初めて。日本酒度+14、酸度1.9。数値はなかなかのエクストリーム。まず常温。完全発酵らしい癖のある強い旨み。程よい酸も伴っている。苦味とともにキレ。55度の飛び切り燗、含みから旨みへの移行がスムーズになる。全体の印象は大きく変わらないが調和が増すので間違いなく燗に軍配。さらに温度を上げてみる。70度くらいまで上げても全く崩れないのはさすが。これは温度高いほうがいいかも。燗冷ましでより柔らかくまろやかに。いろいろ試した結果、70度→40~35度の燗冷ましがベスト。なお、26BYだが熟味は全く感じない。

 

早春 夏のブーリュ★★☆
うすにごり。薄っぺらい夏酒が多い中、これは非常によくできてる。マスカットっぽい風味。甘みは控えめでさらりとしてる。旨みは上品ですっと退ける。にごりのおかげなのか全体的にスムーズな印象。

 

蜻蛉 純米にごり酒 青とんぼ ★★
若波の蔵ですね。程よい甘みにくっきりした酸。旨みは上品で軽い苦みを伴って切れる。驚きはないがよくできた夏酒。

 

長陽福娘 山田錦 直汲み夏吟醸★★☆
磨きは50%。立ち香は爽やかなラムネ。口開けはさすがの発泡感。含みはドライで旨みはやや強め、スパっとキレ。キリっとした酸と相まって柑橘感がある。アル添のぼやけは一切感じず、むしろこの銘柄らしいソリッド感としっかりした骨格がある。

 

十六代九郎右衛門 十三度台 低アル生原酒★★
香り柔らかで優しい甘み。旨みは厚すぎず、酸が締める。軽くて飲みやすい。これもまた良き夏酒。

 

蒼空 SOOKUU 純米 美山錦生★★
強めのカプロン。甘みはシャープでほんのり乳酸っぽい旨みを感じた後、また甘みが戻ってくる。きっちり酸も足りていて美味し。

 

天の戸 純米カップ 27BY★★☆
1年常温熟成。またしても自家熟成の成功例。まず甘やかでバニラリーな立ち香。優しい甘さの後、すぐ軽い熟味を伴った太めの旨み。若干のアル感。複雑な余韻。後半はもう一歩で惜しいけど、前半のシルキーなまろやかさと広がりは非常に素晴らしい。最近は夏向けのシャープな酒が多かったから、なんかほっとするわ。ちなみにぬる燗にしてみたけど意外にアル感が増幅されて辛くなる。常温がベストかな。

 

千峰 天青 雄町★★
上で飲んだ天青がよかったので米違いにもチャレンジ。50%磨きで基本的に雄町らしくはないが、それでも香りの出し方などで雄町感はある。天青にしてみれば芳醇なほうなので、その意味ではこれが天青流の雄町の使い方なんだろうね。軽い甘みと上品な旨み、爽やかさとともに潔くキレる。好きなタイプ。

2017年6月に飲んだ日本酒

なぜか6月に飲んだ酒は一見燗上がりしそうなのに、案外常温や冷酒の方がうまいってパターンが多かったです。ある程度は酒の傾向から温度変化の予測が立てられるようになってきたかなあと思ってたけど、まだまだですね。結局試してみないとわからないことを再認識した月でした。

 

蓬莱泉 和 27BY★★
ちょうど一年常温で自家熟成させたもの。立ち香からふんわり熟成香。含むと丸くて優しい甘み。ただ、若干厚みが足りない。すぐに思いのほか存在感のある酸が追いつき軽い熟味を伴って手早くキレる。なかなか美味い。熟味自体はごくごく軽いエグみのようなものが内包されているので満点とまではいかないが、放置系熟成でこれなら充分でしょう。燗も悪くないが若干まとまりに欠けるか。燗冷ましのほうが酸がいい働きをして好み。冷酒だと苦味が顔を出す。燗冷ましがベストかな。


満寿泉 純米大吟醸 3BY★★☆
老ねや嫌味がなく25年熟成とはとても思えない。大吟醸だからかな。含みでの甘みは軽く、すぐにエレガントなんだけど力強くもある旨みが広がる。この味幅は逆に大吟醸らしくない。甘み、酸味、旨み、熟味のバランスが素晴らしい。そして最後は旨みの余韻が長めに続く。これは最高。

 

松の司 純米吟醸 27BY★★
安定のクオリティ。やはりこの銘柄は上手いし美味い。1年熟成だが熟味は皆無、逆に寝かせないものがどれだけ硬さや荒さが残っているのか飲んでみたい。(すっぱいわけではなく)輪郭を作る酸がしっかりしているので、くっきりと見通しが良い。甘酸旨のバランスが非常に良くメリハリがある、洗練されたオトナの味わい。今、一番飲みたいタイプの酒。

 

松の司 純米吟醸 28BY★☆
こっちは今年4月製造なのでこれで明らかな比較ができる。立ち香はほとんど感じない。含むと上品で微かな甘み嚥下時に酸と旨みが現れる。どことなくフルーティさも感じさせ、これはこれで悪くない気もするがどこか物足りない。旨いんだけど普通レベルというか。やはりこの子は少し熟成させたほうが実力を発揮できる気がする。現時点で粗さがあるわけではないんだけどね。熟成によって全体がピタっと調和するというか。

 

橘屋 特別純米 雄町 山廃 27BY★★
全然知らない銘柄。調べたら「黄金澤」の蔵なのね。キャラクターとしては松の司にも似たしっかり者。どちらかといえば濃醇でやや力強さがあるか。恐らく燗もいけそう。ちなみに山廃であることに気付いたのは後日ラベルの写真を見返したときだったのだが、逆に言うと典型的なクラシック山廃っぽいクセは目立っていなかったと思われる。ただ、この日は人と一緒だったのであまり細かいインプレッションを覚えていないんだよね…。もったいない。ちょっとこれは追うべき銘柄かもしれない。とりあえず「黄金澤」は近所の酒屋に扱いあるので手を出してみるか。

 

黄金澤 山廃純米 24BY ★★
基本的なキャラクターは橘屋と似ているが、より丸みがありすっきりしているか。これは熟成によるものかもしれない。全体的に落ち着きがありついつい杯を重ねてしまうタイプ。燗も良いが常温でも充分ポテンシャルを発揮できる。

 

松尾 荒瀬原 純米吟醸 27BY★★
1日目、香りはほとんどなく甘み弱い、重たい旨みを持っているが酸が足りないのでどうにも冴えない。田舎臭い黒龍みたいな。燗でも特に改善せず。2日目、化けました。立ち香ですでに乳酸を感じる。含むと案の定酸がぐっと出てきて全く別物のバランスに。俺の好きな山廃/生?の乳酸系に近い味わい。燗もまずまずだが旨みの中にある軽いエグ味が表に出てくるので常温がベター。

 

白鷹 特別純米 伊勢神宮御料酒★★
山田錦70%。大手酒蔵で有名銘柄にもかかわらず都内ではめったにお目にかかれないが、とあるスーパーで発見。500mlで700円という安さ。さあ味はどうか。まずは若干の乳酸を感じる立ち香。含むと割と甘みは強く乳酸系の旨みも濃醇。酸の輪郭がはっきりしてるので非常に好印象。後口が少々雑だが、まあ値段考えたら十分か。ぬる燗~上燗で丸みが増し、後口の雑味も弱くなる。燗冷ましで酸が増してさらに飲みやすく。これは熟成もいけそう。

 

水府自慢 10号 純米大吟醸★☆
日本酒マニアの間では、あの残草蓬莱/昇竜蓬莱の菊池杜氏が蔵を移って一発目の造りということで話題の酒。通常、蔵のやり方に慣れて本来の実力を発揮できるまで2~3年かかると言われるが、1年目は果たしてどんなもんか。ちなみにこれは初年度二造り目の酒になるもよう。
まずは立ち香。結構派手に香り、含むと分かりやすい甘さ。10号酵母といえば香りが強く出て酸は弱いらしいが、全然そんなことはなく、むしろ強めの酸がガツっと主張してくる。大吟醸でこのバランスはちょっと面白い。旨みもしっかりあるが、ここで若干大味になる印象はぬぐえない。とかくケレン味の強い酒だった。

 

刈穂 white label★★☆
ほのかに柑橘系の立ち香。白麹ってこととラベルの印象から勝手にシャープ系の酸っぱい酒を想像してたが、思っていたよりずっともっちりした甘みを持っている。そこに予想通り鮮烈な酸。旨みは控えめで、そのまま霧散するようにキレていく。アフターに残るごく軽い苦みも悪くない。後口にやや水っぽさというか物足りなさを感じるが、甘酸系の酒としては高いレベルにある。初心者にも玄人にもおすすめできる。

 

駒泉 吟醸純米無濾過生原酒★★
どしっとした甘みと太いコクが特徴的。このコクは何と表現すべきか。キャラメル?うーん、ちょっと違うか。アフターで心地よい苦み。酸は弱めだが輪郭は崩れていない。

 

帰山 純米 ★★
甘めで口当たり柔らか。乳酸とほどほどの旨みを感じる。キレもいいし好みです。酔っ払っててあんまり覚えてないけど。

 

麓井 生酛純米吟醸 山長 20BY★☆
燗で。含むと明らかな熟感。ほどよい甘みと酸。そのまま熟感持続しつつ軽めの旨み。温度が下がると少し苦味が出るか。

 

石鎚 純米吟醸 無濾過 中汲み H18BY★☆
山田錦50%。後口にこの酒らしい軽さはあるが、思いのほか甘みも太さもあってまとまりを感じる。良い熟成をしている。

 

2017年5月に飲んだ日本酒

5月は★★★出ました。それ以外も★★☆が6つとなかなかのヒット率。
ところで、以前はとにかく手当たり次第にいろんな種類の日本酒を飲みまくっていましたが、最近はある程度狙いを絞るようになってきたので、飲んだことがないものでもスルーすることが増えてきました。逆に以前飲んだことがあって、なんとなく良い印象を覚えてたらリピートして確かめることもしばしば。白地図を埋めるような絨毯爆撃的な飲み方をする時期は過ぎたのかもね。


米宗 山廃純米酒 無ろ過生 天然酵母・完全発酵★☆
立ち香はない。そこそこのアタックからすぐに酸を感じる。乳酸系の旨みと軽い苦みでフィニッシュ。若干のアルコール感もあり。温度が上がると旨みが増す。全体的に軽く、生らしいフレッシュ感はほとんどわからない。

天穏 無濾過生詰原酒 山廃純米 ひやおろし27BY★★
27BYをひやおろしとして去年の秋にリリース。さらにそのまま店で半年眠っていたのを購入。都合約1年ほどの熟成になる。米は特等雄町。ほんのわずかな柑橘っぽい立ち香。含むと優しい甘みと柔らかい酸がフェードイン、若干の乳酸を伴った旨みがやってきて弱い苦味が顔を出しながらゆっくりフェードアウト。少しアルコール感あり。ひやおろし+半年寝かせのわりに熟味はないが、熟成によるまとまりは感じる。雄町らしい濃醇で豊かな味わい。

萩の露 特別純米 十水仕込 雨垂れ石を穿つ 生★★☆
萩の露 は日本酒飲み始めのころ、まだ大吟醸とかフレッシュ&フルーティ系を好んでた時代に初めて飲んで、あれ?今までの好みと違うけど何かうまい、何これ不思議、と落ち着きのある豊かな味わいについつい杯を重ねてしまった記憶がある。その時のスペックは忘れました(特純とかだったかな?)が、銘柄としてはそれ以来なので楽しみ。
さて、含むと口当たりは柔らかく、ふくよかな甘みを感じる。濃醇で旨みたっぷり。熟成感も若干あるか。こう書くと山陰地方の燗酒っぽいのを想像するかもしれないが全然違う。きれいな酸が爽快感やフレッシュネスさえ感じさせる。大変好みです。これ、燗も試すべきだったなあ。

若駒 無濾過生原酒 愛山90 無加圧搾り ★★
(恐らく)この蔵でははじめての愛山。なのにいきなり90%磨きのチャレンジ酒造るってどういうことなの…変態なの…?しかし、美味ければそんなことはどうでもいい。立ち香はほのかなバナナ。含むと甘みは控えめで、どう考えても90%とは思えないスッキリ具合。柑橘っぽい酸もある。おりがらみらしい発泡感あり、なおかつ米の旨みも充分にでている。

鷹の夢 Concept No.ZERO★★
ドライ&シャープで酒屋の説明見る限り、此君とかに近いのかな?まず立ち香は意外にも比較的穏やか。しかし含むと強いカプロン系の香りがぐっとくる。甘みはスリムで酸強め。そこそこの旨みが広がり最後に結構な辛みと軽い苦みでバシっとキレ。喉にカーッとくるアルコール感もあり。この手のスリムな酒はこれまであんまり好きじゃなかったんだけど、これはなんか飲めるな。酸による輪郭がはっきりしてて立体的で、ただの淡麗ではなくバランスも良いからかな。ちなみに日本酒度は+15とあるが酒屋いわく本当は+10とのこと。どっちが本当でもいいんだけど。

長珍 新聞紙 純米 無濾過生 八反錦★★
新聞紙。八反らしいシャープで硬質なテクスチュア。フルーティな含み香。やや濃醇でさわやかな甘みと旨み。最後に軽い苦みがあるが、これは良い方向の苦味でこれによってまた杯を重ねたくなる。

長珍 新聞紙 純米 無濾過生 五百万石★★☆
八反よりもより濃醇で丸みがありバランスが良い。味のスパンがすごく短い。クっときてバシっと消える感じ。美味いっす。

秋鹿 雄町 生酛★★
約1年熟成。完全に燗上がりするタイプ。程よい甘みにふくよかな旨み。特筆すべきは酸の存在感。ここが秋鹿らしさ。しみじみうまい。

開春 西田 生酛純米★★☆
山田錦。軽い熟味と生酛ならではの乳酸感。俺はやっぱこのタイプが好きなんだな。冷やでも燗でもどちらも良さを発揮できる。これは自家熟成に向いてるかも。

多賀治 純米 雄町 無濾過生原酒★★
軽くガスがあって酒自体に活力を感じる。フレッシュでまっすぐ、爽快感がある。パイナップル系?甘みはそこまで強くないが雄町の芳醇さと旨みはしっかり表現されてる。

彦市 純米地元一貫造★★☆
冷酒だとあまり味の出てないありがちな田舎酒なんだけど燗つけると一気に化ける。旨みが増幅してふくよかに、なおかつこの酒本来のすっきりさも併せ持つため、いくらでも飲めてしまう。純粋に味だけなら★☆だけど、ここまで変化が著しいのは久しぶりだったため、この化けっぷりに★ひとつ追加。

笹祝 純米 無濾過生原酒★☆
山田錦酵母は901と1801でそれなりにフルーティな香りを出してきてる。どちらかというと甘ポチャ系の生酒なんだけど、旨みを出しすぎず後半のさっぱりさを同居させているため、意外に飽きない。案外ありそうでないバランスかも。ただ、ありがちな味と言えばありがちな味なので、さしたる驚きはない。某雑誌の日本酒特集で巻頭を飾ってたけど、正直そこまでかなあとは思う。

澤屋まつもと 守破離 no title★★★
これはすごい。含むと甘みは控えめでかなり強めのガス、なおかつガスの裏でまつもとにしては滑らかさすら感じる柔らかさがある。そしてガツンと強めでフルーティな酸。そのあとそれなりの旨みがやってくるものの、それを感じるのは一瞬で速攻でキレて行く。いろいろな日本酒を飲んできたが、含んでからキレまでの時間がここまで短いのは初めて。

七本槍 山廃純米 琥刻 2010 ★★
七本槍 山廃純米 琥刻 2011 ★☆
七本槍 山廃純米 琥刻 2012 ★★
いずれもよくできた熟成酒というか、すごくキレイに熟している。まあ年が古くなるにつれて順当に熟成感は増すんだけど、味わいのバランスとしては2012が最も酸が残っていて、かつほどよい熟味で好みだった。最もキャッチーで熟成酒に慣れてない人でも飲みやすいと思う。2010はまろやかで力強い。燗映えしそう。2011はこの二つの中間と言いたいところだが、飲み比べてしまうとちょっとどっちつかずな印象を受けてしまった。ちょい硬いし。多分単独で飲んだら充分美味いんだと思うけど。

蒼空 特別純米雄町 無濾過生原酒★★☆
甘みはほどほど、旨みのあとに華やかな酸が来る。輪郭もはっきり。雄町らしく芳醇でふくらみのある味わいながら雑味は皆無で、むしろ上品さすら感じる。このへんが蒼空らしさなのかな。非常にバランスがよく美味い。

特別純米 生★★
五百万石だが甘みも酸味もしっかりで濃醇。骨格がしっかりあるのでダレない。最後の苦味はほどよい程度なのだが、軽い渋味もあるため、ここがちょっとノイジーか。燗もまあ悪くないが冷やしたほうがベター。

花巴 山廃 純米大吟醸 無濾過生原酒★★☆
吟のさと。ガス。甘さは抑え目でビビッドな酸、そして花巴らしい乳酸系のヨーグリッシュな旨み。最後もスパっと早い手仕舞い。他の酒と比べるなら、no titleに乳酸を足した感じというか、クリスタル山廃である米鶴の山廃純米大吟醸を全体的に少し濃くした感じというか。それでも充分ライトだけどね。モダン山廃の代表的な味わいと言える。

篠峯 どぶろく 生★☆
活性。かなり酸が強く口中で持続する時間が長い。骨格はさすがに篠峯なのでしっかりしてる。アフターにはごくごく軽い苦み。燗は全体的に濃くなるだけであまりやる意味を感じない。

遊穂 山おろし純米 生酒 ゆうほのゆうき★★
甘みがさわやか。充分な旨みの中にほんのり生酛らしい乳酸感と熟成っぽさを感じた後にスっとキレる。大変美味しゅうございます。どういうわけか燗はむしろスッキリとキレが増す。これはこれで悪くないが、冷酒か常温くらいのほうがいい。と思ったらラベルの裏にも同じこと書いてあった。

松の司 純米吟醸 花伊吹 9BY★☆
立ち香からガッツリ熟成。味もどーんと熟成。まあ19年熟成なんで当然だけど。あふれる熟味の中にも松の司らしいしっかりとした輪郭を感じる。後半やや遅いタイミングで旨みがくるのは面白いかも。嫌味もなく非常に上手く熟成されている。

越乃寒梅 大吟醸19BY★☆
9年寝かせただけの熟成感は当然あるんだが、旨みがよく出てて磨きが30%とはとても思えない。引けが早いのでこの辺が淡麗辛口の代表銘柄らしさなんだろうか。実は越乃寒梅はこれが初めてなのでわかりませんが。
 
勢起 純米大吟醸 槽しぼり 19BY ★☆
山田錦45%磨き。明鏡止水の蔵のセカンドブランド。甘み弱い。きれいな熟味。アフターは長くじんわりと引けていく。

賀茂錦 荷札酒 生詰原酒 純米大吟醸 ver6.2★★
麹は山田錦で掛は五百万石。原酒でアルコール度数15。まずは柔らかい立ち香。そこから想像されるとおりのふんわりしたアタックと優しい甘み。旨みは軽い蜜のよう。酸は目立たないが旨みの輪郭をかたどっている。フェードアウトもふわりとしている。非常に上品で美味いが、量飲めば飽きるかなとも感じた。

小左衛門 純米 生酛造り備前雄町 火入れ★★
乳酸系の立ち香。アタック時点での甘みはほぼないが、乳酸系の旨みにちょうどいい感じの甘みが伴って広がる。酸もしっかりでしつこくない。27BYとあるので蔵で少し熟成させてから出荷してるのかな。とても好きなタイプ。思ったほど燗上がりはしない。むしろ燗冷ましが良い。まあ冷酒~常温で充分か。

完璧なDJ

ここ最近家でDJミックスを作成していて気付いたことがある。「現場におけるDJプレイは一つの作品である」ということ。(もちろんこれは俺がそう思っているというだけで、一般論ではない。) 

 

この考えは以前より漠然と持ってはいたが、明白に顕在化することはなかった。ただ、毎回DJ後に悶々として不全感を抱いていたのは確かだ。つなぎで一か所でもミスをすると必要以上に落ち込む。選曲で思った通りの流れを作れないと腹立だしいほどの不満を感じる。


なぜそこまで完璧を目指すのか?大局的に見て場が盛り上がったならそれでいいじゃないか。いや、それではダメだ。盛り上がりは必要だが、選曲も技術も完全に伴わないと意味がない。プライドか?自己顕示欲か?それも大いにある。だがそれだけではない。一体何がそこまで自分を追い込むのか。答えが出ないまま現場からは身を引いてしまったが、ここにきてようやくわかった。俺は現場でのプレイを一つの作品と捉えていたのだ。作品である以上、自分の完成イメージに対して妥協は許されない。

 

DJに対してはいろいろな考え方がある。DJプレイとはその場限りの刹那的なパフォーマンスであり、イベントを客と一緒に楽しむための手段で、それ以上でもそれ以下でもないというのが大方の見解だろうか。もちろん、DJ自身のエゴが介入することで、少なからず自己表現としての要素が加わることはある。ただ、そこに時間芸術やインスタレーション作品としての完成度を求める人間はそう多くないだろう。DJプレイは芸術作品であるべき、と言っているのではない。良し悪しではなく、あくまで捉え方の問題でしかないが、少なくとも芸術的な捉え方をするほうが面倒だし、そういう人間は往々にして生きづらい性格であることは言える。自分の考えが大方の見解と同じであったなら、ここまで難しく考えて完璧なプレイができないことで悩むこともなかっただろう。

 

つなぎはノーミスかつ選曲もイメージ通り、さらに場も盛り上げる。現場でのプレイでこれを行うのは至難の業である。相当のスキルとセンスが必要になる。少なくとも俺にとっては不可能と言っていい。実現するために考え付く方法といえば、候補曲を全て脳内再生できるまで聴き込む、どんな状況でも何も考えずにつなげるようになるまで体に叩き込むなど、要は不断の努力によってしか成し得ないと思っている。ところで、こんな血の滲むような修練をせずとも簡単にやってのけるDJもいるが、あれは一体どういうことなんだろうか。何か根本的に脳の造りが違うのか、センスが異常なのか。それとも実はこちらが気付かない程度のミスをしていて本人としては不満を持っているのか。いずれにしても俺は諦めた。俺には無理だ。そこまでしてDJに魂を捧げる覚悟はないし、だからといってプレイを一作品として考えるのをやめることもできない。

 

そうは言っても、ミックスを練り上げてドロップする行為そのものは曲作りと同じくクリエイティブな作業であり、非常に有意義である。それゆえ、現場を離れても宅録ミックスは時折制作している。宅録ミックスの場合、ミスは編集で全て修正できるし、流れも熟考できる。当然出来上がったものは自分の理想に限りなく近い。これを現場で再現出来たらどれだけ素晴らしいか。しかしそれは無理。そんな技術はないから当り前だ。ではなぜ別物であるプロダクトに対して同じゴール(理想)をイメージしているのだろう。ここまで考えてハタと気付いたのだ。自宅で時間をかけて念入りに作り上げたミックスと現場での条件反射で作りだしたその場限りのミックス、両者は明らかに別物である。しかし同時に、一つの作品という観点においては、両者は同じものでもある。ここに気付いたことで、これまでの自分の拘りの理由が明確になり、頭の中の靄が晴れた気がしたのだった。


そんなこんなでいろいろ考えながら作ったハロプロオンリーのミックス「The Anthology of Akabanebashi-funk 2017」を久々開催の#ClubGATASにて来場者特典として配布します。私は都合で行けませんが、いわずもがな最高のイベントですので!

5/27(土)23時~ Don't miss it!
http://clubgatas.hateblo.jp/entry/2017/04/02/145454

2017年4月に飲んだ日本酒

4月は★★★の酒に出会えませんでした。ただ、白木久や風が吹くといった、今まであまり飲んだことのないタイプの面白いのはありましたね。あと、松の司は非常によく出来てて、もうちょっと深堀していきたいところだけど、近所で扱ってる居酒屋も酒屋もないんだよなあ。通販はあんまり気乗りしないし。まあ、ぼちぼちやっていきますか。

 

三千櫻 地酒SP 直汲 生(普通酒)★★
初日は冷酒が一番いい。常温以上だと鼻に抜けるアルコール感がちょっと気になる。かすかな甘さが微発泡感を伴ってスムーズに入ってくるが、すぐ旨みにバトンタッチ。その旨みがそのまま増幅して再び甘みが顔を出す。最後は軽い苦みとともに捌けていく。酸は主張しないが確かに存在している。アル添によるごく薄いベールは終始感じるが、悪い方向には作用していない。二日目、初日とは全く違う酒に!液性に丸みが出て甘みが明らかに増大。含んだ時点からそこそこ強い甘さを感じるが酸がちゃんと無駄な広がりを抑える。中盤以降の流れは初日と変わらないが、全体的にまとまりが出た。初日に感じた浮いたアルコール感もあるにはるが、全体のバランスの変化によってそれほど気にならなくなってる。こりゃうまいわ。普通酒とかアル添を敬遠する人にこそぜひ飲んでほしい逸品。

Takachiyo59 AIMACHI★☆
愛山&雄町ブレンドという珍しいスペック。わかりやすいフルーティ系。パイナップルを思わせる強い立ち香。飲み口は柔らかい。 ややとろみのある酒質でスルリと入ってくる。 平仮名のたかちよほどではないが結構甘い。甘みはそのまま口の中で膨らむが程よい酸が広がりすぎるのを抑える。愛山と雄町らしいコクと複雑さもそれなりに感じることができた。ただ、量を飲む気にはなれんな。

居谷里 山廃 純米 火入れ原酒70 27BY(緑ラベル)★★
実に濃醇でインパクト充分ながら、骨太過ぎないのでついつい杯を重ねてしまう。山廃らしい酸はそこまで明確に感じないが、全体のバランスをとる舵取り役として確かに機能している。極小レベルながら終盤に熟味が感じられ、それがこの酒の奥深さにつながっている。非常によくまとまったいい酒。

ソガペールエフィス サケ・エロティック ヌメロ・アン★☆
美山錦55%の1号酵母。香りはほとんど感じない。アタックから酸が強く主張して旨みもしっかり。甘みは抑えめなので濃醇というほどではないが芯の強さを感じる。エンベロープは割と単調なので「雄東正宗 しぼりたて生 五百万石」を思い出した。あれをもう少しスリムかつバランスよくした感じかな。

松の司 純米吟醸azolla 27BY ★★☆
柑橘っぽい微かな立ち香。含むと透明感のある優しい甘み。そこから旨みが増幅。後口で多少カーっとくるアルコール感と旨みの余韻。雑味や苦味はない。非常にバランスが整っている。よく聞く言葉で「造りが上手い」というのがあるが、正直いまだ何をもってそう言うのかよくわからない。ただ、この酒のバランスの良さと中盤からの力強さ、輪郭のかっちりしたダレない感じ、もしかしてこれが「造りが上手い」ってやつなのか?とにかく甘口フルーティなお子ちゃま酒とは対極にある大人っぽい酒。ちなみに1年熟成だが熟成感は全くない。相当酒質が強い感じはある。

飛良泉 山廃純米 まる飛 no.77 限定生酒★☆
日本酒度-20の酸度4.0と数値的にはかなりのエクストリーム系。立ち香はほとんどなし。含むと甘さよりも乳酸ぽいニュアンスが先に来てそこから丸みのある酸がぐっと主張してくる。嚥下でその酸はより存在感を増して爽やかに切れる。少しとろみのある液性で全体的に甘みと旨みがしっかりあるので、酸だけが悪目立ちするということはない。 温度は冷酒でも常温でも燗でもそれほど印象は変わらない。まあ、この手の甘酸っぱい酒はわりとそういう傾向にあるね。

信濃鶴 純米★★
優しい甘み。乳酸感あるコクが大変好み。そこまで太くはなく、案外すっきりしている。

山陰東郷 生酛 純米生原酒 玉栄60% 27BY★★
日本酒度-13.5/酸度2.2。1年の生熟。今年も出ました山陰東郷の甘口。立ち香から確かに熟成を感じる。含むと強い甘み、ただ熟成から来る馴染みのいい酸も同居しているため全くクドさはない。山陰東郷らしく終始力強さがあるが少し野暮ったくもある。熟味は浮いておらず、酸と同様全体に馴染んでいる。生ではあるが生らしいムレた感じはないため燗もいけると判断→俺の感覚は正しかった。印象そのものは大きく変わらないが、全体のまとまりがさらに増す。

菊鷹 Hummingbird 純米無濾過生★☆
雄山錦70%。うすにごり。柑橘系の立ち香。そこそこの甘みからガスを感じ、しっかりした酸と旨みが顔を出す。余韻が長くキレはそこまででもないが旨みが心地よいので問題なし。全体的に濃いめではある。

風が吹く<金>山廃純米吟醸生酒うすにごり(中取り)★★
この酒はとにかく酸の存在を感じさせないのが面白い。酸度自体は1.7なので普通だが、舌に感じるのはツルっとした甘みと旨みで山廃にありがちな酸はほぼわからない。だからといってボケてるわけではなくちゃんと立体的な構造はあるし、それなりに輪郭もわかる(この辺に酸度1.7の意味が隠れているのか)。明らかにモダン山廃の一つの方向性を指し示している。

千代緑SP 純米大吟醸 甕口生原酒★☆
さけこまち。こまち酵母スペシャル。やさしく軽い口当たりで、そのままきれいに旨みが広がる。若干淡麗に感じるところもあるが悪くはない。

千代緑No.12 純米大吟醸 無加圧甕口★★
一日目、常温。大吟醸らしいフルーティ(バナナ)な香り。微発泡とともに品のいい甘み。そのまま程よい旨みに移行し、ごくわずかな苦味を伴ってキレる。非常に優等生的な、わかりやすくうまい大吟醸。SPよりはややすっきりの印象。4日後、思ったほどとろみは増してこないが、味わいは全体的に少し濃くなっている。まだ発泡感も残っている。

千代緑 純米吟醸 無加圧甕口★☆
基本的には12と同じ方向性のフルーティ吟醸。甘みはそれほどないが旨みは12に比べて濃い。アフターの印象はかなり12と似ているが、結局精米歩合の違いがそのまま味に出た印象。冷酒のほうが余計な苦味や雑味を感じなくてよい。

裏鍋島 隠し酒★★☆
荒責ブレンド。一部では味が落ちたと囁かれる鍋島だが、いやいや充分うまいじゃないですか。立ち香はほとんどなく、シルキーな甘みからきれいな曲線を描いて旨みに移行、酸もしっかりで美しく着地。エンベロープも味わい自体もスタンダードな感じなんだけど、なんというか、いちいちクオリティの高さを感じる。恐らく甘みが優しく雑味がないことが上品さにつながっているためだろう。

白木久 Brilliant 純米吟醸 無濾過 生原酒★★
なんとコシヒカリを使用。食米とは思えないフルーティな立ち香。ふわっとした口当たりから幾分ジューシーさが出てきてキレるが終始やさしくエアリーな印象。だからといって旨みが足りてないわけではない。基本的には甘酸系と言っていいと思うが、味の密度が濃すぎないことと、酸を感じるタイミングの面白さがこの酒の醍醐味だろう。

 

東鶴 特別純米雄町中汲み★★
口開けはややチグハグ、ただ日を追うごとに全く違う酒と言えるほどにまとまってくる。柔らかめのアタックからじんわりとした甘み、この時点での酸は弱い。そして甘みはスムーズに程よい旨みに移行、東鶴らしいコクとややフルーティな含み香を残して消えていく。美味い。燗はやや酸が立ってきて、なんだかまとまりを欠く。というわけで常温が一番かな。

ソガペールエフィス サケ・ナチュレル 70 27BY
番外編。実験レポートです。昨年の生酒を室温で1年熟成させてみました。ソガペは酒質強いっぽいのでいけるかなと思ったが、結論から言うと失敗。酸が目立ってすごいことになった。飲めなくはないが正直バランスが悪くなっていてまったく美味くはない。熟味も結構あってクセが強い。生の重い感じと熟味が同居してるんだけど一体感はなく、家庭内別居といった風情。とにかくいろいろチグハグで変な感じ。温度帯は日向燗くらいが一番マシだった。実は昨年の3号酵母の生がまだ眠ってるんだけど、こうなったらこっちはもう2年くらい寝かせてみようと思います。

 

2017年3月に飲んだ日本酒

3月は当たりが多かったので長いですよ。
ところで最近気がついたんだけど、俺、口当たりが柔らかくて全体的にまろやかなのが特に好きみたい。そう考えると熟成酒に偏りがちだったのも合点がいく。そこさえ抑えてれば純米であれ大吟醸であれ、あんま関係ないみたいです。というわけで、以前は避けがちだった大吟醸も積極的にトライするようになりましたとさ。
※★は1、☆は0.5として評価。★☆以上のみを掲載。
 
 
播州一献 純米大吟醸 北錦★★☆
無濾過生で磨き50%。フレッシュ&フルーティ系の純米大吟醸でおおっと思える酒に出会ったのは久しぶり。 立ち香はフルーティでそこそこあるが料理の邪魔をするほどではない。含むとしなやかな甘みと強めの酸がスムーズに入ってくる。旨みもしっかり。アルコール感や苦みはなくきれいにひけていく。なんというか、どちらかといえば濃醇なんだけどバランスがすごく良くて悪いところが見つからないんだよね。もうちょい低精白だったらこのバランスがさらに濃醇に寄っちゃって崩れそうだな。良くも悪くも人懐っこくてわかりやすい。すごく好きだし、また飲みたいと思わせるには充分うまい酒なんだけど、もうひとつ俺にとって驚きの要素があれば最高の ★★★ だった。
 
津島屋 純米吟醸生★☆
美山錦55%。ややカプ系の香りが強いがうまい。甘みを伴いつつもややキリっとしたアタック、そこから案外しっかりした旨みにつながり若干の辛みできれいにさばける。酸味に加え渋みや苦みも複雑に絡み合う。個人的好みとしてはもっと丸い方がいい(硬くて尖った印象を受けた)が、まあこれはこれだろう。
 
酒屋八兵衛 山廃純米★★
磨き60%、麹:山田錦、掛:五百万石。山廃なので酸が効いててパンチがあるのかなーと思ってたら予想よりずっとまろやかで軽い。丸く柔らかい口当たりから旨みが広がる。苦味は皆無。山廃らしい酸はそれほど強く感じず、地味に全体を下支えしている感じ。ぬる燗で甘みが多少増すが常温から大きくイメージは変わらない。お喋りしながらだったので、細かく覚えてないのがもったいない。もう一回、一人でゆっくり飲みたい。
 
酒屋八兵衛 山廃純米 22BY★★
28BYが美味かったので、同じ酒屋で6年熟成を買ってみた。基本路線は変わらず、マイルド山廃。さすがに6年寝てるのでそれなりの熟味はあるんだけど、焦げっぽさや変なクセは感じない。新酒よりこっちのほうが燗上がりする。
 
刈穂 純米 27BY★★
1年間室温で自家熟成させたもの。まずは常温。香りはほとんど感じないがほんの少し熟香があるか。含むと軽い甘みとほどほどの酸、旨みがやや強めのアルコール感を伴いながら鼻に抜けていく。そして最後に弱目の熟味が顔を出す。リリースでまた辛さとアルコール感が少し。アルコール感が浮いててちょっと気になるけど全体的にはいいバランス。自家熟成は大成功といえる。次、ぬる燗で。含むとまず優しく上品な甘み、常温で感じた酸が引っ込むのでその分甘みが増した。そこからスムーズな曲線を描いて柔らかな旨みに移行。最後、熟味とともにやはり若干のアルコール感が残る。燗も悪くないけど、酸がいい仕事をしている分、常温に軍配かな。
 
弥栄鶴 山廃純米 70 27BY★★★
祝と祭り晴という珍しい米を使用。軽い熟成感のある香りに優しい甘さと、ともすれば菩提酛にも通じる乳酸(ヨーグルト)っぽさが特徴。口当たりもまろやか、どちらかといえば濃いが濃醇というほどではなく飲み疲れしない。とにかくとても好きなタイプ。旨みに関して、アミノ酸系の旨みがまずやってきて、その後から酸が広がりを抑えにかぶせに来るパターンが多いけど、これは旨みと酸が同じタイミングで一つの味わいとして混然となったものがやってくる感じ。熟成しているのは確かにわかるが、いわゆる熟味が分離して存在するのではなく、全体をまろやかにまとめあげるという効果としての熟成感を感じることができる。で、当然ながら燗映えしそうだがどうか。うむ、温度が上がるにつれて甘みや幅が広がる反面、酸が弱くなって少し締まりがなくなる。個人的にこの酒の「酸」に惹かれているわけで、それがなくなるのはあまり好ましくない。というわけで25-30℃くらいがふくよかさと酸のバランスがとれてちょうどいいな。
しかし後日ふとこの酒のことを思い出すと、またすごく飲みたくなる。なんなんだろうこの中毒性は。この中毒性のせいで★が一つ増えました。
 
ソガペールエフィス ヌメロ・トロワ(3号酵母)★★
ソガペールエフィス ヌメロ・ドゥー(2号酵母)★★
日本酒に目覚めてから毎年飲んでるけど相変わらずバランス良くてうまいよね。今年は昨年よりややドライで硬いかな。ほどよい甘みからジューシーな酸が転がり込んで、心地よい含み香を伴いながらこれまたほどよい旨みを感じてバシっとキレる。若干ミネラリーと感じるほどにしっかりした骨格がある。酔っぱらってたこともあり2号と3号の差ははっきりと感じられなかったが、香りは3号の方が若干ハーブ、2号がフルーティかな。燗はダメ。今回はすぐ飲んじゃったけど、この酒、寝かすとグっと甘みと旨みが太くなるんだよね。余ってる5号と1号は少し開栓してから置くことにしよう。ちなみに6号は俺が飲む前に家族にすべて飲まれました(泣)
  
開運 純米 無濾過生原酒★★☆
山田錦55%。静岡酵母らしい優しいメロン香。口当たりは非常に柔らかく滑らか。微かなガス感もあり。軽快な甘みと旨み。ジューシーな酸味がフレッシュさを演出。最高に芳醇でうまい。最後はごくわずかな苦味を伴ってスっと捌ける。なんという立体的で躍動感のある酒か。ただ、開栓から数時間後、常温近くで飲んだら今一つフレッシュ感が失われて平板な印象に。これが時間的変化によるものなのか温度的変化によるものなのか、車中だったので確かめようがなかったんだけど、恐らく温度かな?いずれにしろ開栓してすぐは間違いなく ★★★だったんだけど、この味の崩れで★が半分減りました。それでもやっぱり開運は静岡酒の最高峰だな。大好きです。
 
十六代九郎衛門 純米吟醸 播州愛山 生 ver.春★★
55%。 口当たりはエアリーで優しくクリーミー。最初静かに入ってくるが、口に含んだ瞬間に軽やかなバニラ?バナナ?香が鼻腔を抜けていき、この時点で明らかによくある芳醇タイプとは違うことがわかる。とにかくこの最初のアタックがこの酒の最大の特徴か。その後すぐにバランスのいい旨みと酸がやってきて口中がにぎやかになる。若干アルコール感もあり、最後はほんのりと苦みを伴ってきれいに捌ける。ただ、量を飲んでいると中盤以降が少しうるさく感じてくるかも。
 
明鏡止水 酒門の会推奨限定品★☆
ピンクのラベルの印象通り、かなり派手に香って、いわゆるケレン味が強いタイプ。米、水、酵母をオール長野産で揃えたんだって。ふーん。しかし、こういう春酒チックなのはシャープでフレッシュ感も強そうなもんだが、味の輪郭は意外にそうでもなく若干もったりしてる。これは口開けからの時間の問題か。ただ、基本的に濃醇で甘酸っぱいので非常に飲みやすくはある。
 
栄光富士 無濾過生原酒 THE PLATINUM★★
雪女神という聞きなれない米を33%まで磨いたお酒。香りはほのかにフローラルで甘やか。含むと透明感のある上品な甘旨味が入ってきてふわっと広がる。このあたりから酸が顔を出してきてきれいに捌けていく。常温でいただいたこともあり、思いのほか濃さを感じたが、冷やしたらもっと上品なんだろうな。いかにも栄光富士「らしい」味わいです。
 
會津宮泉 純米★★
寫樂の宮泉銘醸が地元向けに作っている銘柄。米は不明で60%磨き。半年熟成してからの出荷らしいんだけど、これはよかった。香りは結構乳酸系で含むと案外甘みは弱い。その甘みが膨張してふくよかな旨みへスムーズにつながり、最後に熟味がふわっと来て軽いコクに変わる。味わいの輪郭が適度な酸によってかたどられている。いいねえ。大変好みです。
 
菊姫 大吟醸 荒走9BY★★
でました17年熟成。菊姫大吟醸自体はじめて飲むんだけどこれはヤバい。とても17年とは思えない美しい熟成。香りはそこそこの熟成香。含むと大吟醸らしくどこまでも上品で最後のキレまで素直なエンベロープを描く。通常野暮ったくなりがちな熟味さえもエレガントさの一端を担っている。アル添であることもこのエレガントさに一役買っている気がする。完璧な古酒。恐らく農口杜氏時代最後の年の菊姫なんだけど、これはマジで貴重すぎる。
 
日下無双 生酛純米60 西都の雫 25BY★☆
協会八号酵母。3年熟成らしいコクと旨み。普通に燗上がりするが冷やでも美味しい。含むと甘すぎず、バランスのいい旨みがやってきて、そこから太めのエンベロープを最後まで保つ。
 
一念不動 特別純米 熟成原酒★☆
夢山水60%。蓬莱泉の関谷醸造がこんな銘柄も出してるのね。熟成感はそれほどでもないが、全体的にまとまりがあって丸い。なるほど、これは確かに蓬莱泉の蔵の味だわ。