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2017年3月に飲んだ日本酒

日本酒
3月は当たりが多かったので長いですよ。
ところで最近気がついたんだけど、俺、口当たりが柔らかくて全体的にまろやかなのが特に好きみたい。そう考えると熟成酒に偏りがちだったのも合点がいく。そこさえ抑えてれば純米であれ大吟醸であれ、あんま関係ないみたいです。というわけで、以前は避けがちだった大吟醸も積極的にトライするようになりましたとさ。
※★は1、☆は0.5として評価。★☆以上のみを掲載。
 
 
播州一献 純米大吟醸 北錦★★☆
無濾過生で磨き50%。フレッシュ&フルーティ系の純米大吟醸でおおっと思える酒に出会ったのは久しぶり。 立ち香はフルーティでそこそこあるが料理の邪魔をするほどではない。含むとしなやかな甘みと強めの酸がスムーズに入ってくる。旨みもしっかり。アルコール感や苦みはなくきれいにひけていく。なんというか、どちらかといえば濃醇なんだけどバランスがすごく良くて悪いところが見つからないんだよね。もうちょい低精白だったらこのバランスがさらに濃醇に寄っちゃって崩れそうだな。良くも悪くも人懐っこくてわかりやすい。すごく好きだし、また飲みたいと思わせるには充分うまい酒なんだけど、もうひとつ俺にとって驚きの要素があれば最高の ★★★ だった。
 
津島屋 純米吟醸生★☆
美山錦55%。ややカプ系の香りが強いがうまい。甘みを伴いつつもややキリっとしたアタック、そこから案外しっかりした旨みにつながり若干の辛みできれいにさばける。酸味に加え渋みや苦みも複雑に絡み合う。個人的好みとしてはもっと丸い方がいい(硬くて尖った印象を受けた)が、まあこれはこれだろう。
 
酒屋八兵衛 山廃純米★★
磨き60%、麹:山田錦、掛:五百万石。山廃なので酸が効いててパンチがあるのかなーと思ってたら予想よりずっとまろやかで軽い。丸く柔らかい口当たりから旨みが広がる。苦味は皆無。山廃らしい酸はそれほど強く感じず、地味に全体を下支えしている感じ。ぬる燗で甘みが多少増すが常温から大きくイメージは変わらない。お喋りしながらだったので、細かく覚えてないのがもったいない。もう一回、一人でゆっくり飲みたい。
 
酒屋八兵衛 山廃純米 22BY★★
28BYが美味かったので、同じ酒屋で6年熟成を買ってみた。基本路線は変わらず、マイルド山廃。さすがに6年寝てるのでそれなりの熟味はあるんだけど、焦げっぽさや変なクセは感じない。新酒よりこっちのほうが燗上がりする。
 
刈穂 純米 27BY★★
1年間室温で自家熟成させたもの。まずは常温。香りはほとんど感じないがほんの少し熟香があるか。含むと軽い甘みとほどほどの酸、旨みがやや強めのアルコール感を伴いながら鼻に抜けていく。そして最後に弱目の熟味が顔を出す。リリースでまた辛さとアルコール感が少し。アルコール感が浮いててちょっと気になるけど全体的にはいいバランス。自家熟成は大成功といえる。次、ぬる燗で。含むとまず優しく上品な甘み、常温で感じた酸が引っ込むのでその分甘みが増した。そこからスムーズな曲線を描いて柔らかな旨みに移行。最後、熟味とともにやはり若干のアルコール感が残る。燗も悪くないけど、酸がいい仕事をしている分、常温に軍配かな。
 
弥栄鶴 山廃純米 70 27BY★★★
祝と祭り晴という珍しい米を使用。軽い熟成感のある香りに優しい甘さと、ともすれば菩提酛にも通じる乳酸(ヨーグルト)っぽさが特徴。口当たりもまろやか、どちらかといえば濃いが濃醇というほどではなく飲み疲れしない。とにかくとても好きなタイプ。旨みに関して、アミノ酸系の旨みがまずやってきて、その後から酸が広がりを抑えにかぶせに来るパターンが多いけど、これは旨みと酸が同じタイミングで一つの味わいとして混然となったものがやってくる感じ。熟成しているのは確かにわかるが、いわゆる熟味が分離して存在するのではなく、全体をまろやかにまとめあげるという効果としての熟成感を感じることができる。で、当然ながら燗映えしそうだがどうか。うむ、温度が上がるにつれて甘みや幅が広がる反面、酸が弱くなって少し締まりがなくなる。個人的にこの酒の「酸」に惹かれているわけで、それがなくなるのはあまり好ましくない。というわけで25-30℃くらいがふくよかさと酸のバランスがとれてちょうどいいな。
しかし後日ふとこの酒のことを思い出すと、またすごく飲みたくなる。なんなんだろうこの中毒性は。この中毒性のせいで★が一つ増えました。
 
ソガペールエフィス ヌメロ・トロワ(3号酵母)★★
ソガペールエフィス ヌメロ・ドゥー(2号酵母)★★
日本酒に目覚めてから毎年飲んでるけど相変わらずバランス良くてうまいよね。今年は昨年よりややドライで硬いかな。ほどよい甘みからジューシーな酸が転がり込んで、心地よい含み香を伴いながらこれまたほどよい旨みを感じてバシっとキレる。若干ミネラリーと感じるほどにしっかりした骨格がある。酔っぱらってたこともあり2号と3号の差ははっきりと感じられなかったが、香りは3号の方が若干ハーブ、2号がフルーティかな。燗はダメ。今回はすぐ飲んじゃったけど、この酒、寝かすとグっと甘みと旨みが太くなるんだよね。余ってる5号と1号は少し開栓してから置くことにしよう。ちなみに6号は俺が飲む前に家族にすべて飲まれました(泣)
  
開運 純米 無濾過生原酒★★☆
山田錦55%。静岡酵母らしい優しいメロン香。口当たりは非常に柔らかく滑らか。微かなガス感もあり。軽快な甘みと旨み。ジューシーな酸味がフレッシュさを演出。最高に芳醇でうまい。最後はごくわずかな苦味を伴ってスっと捌ける。なんという立体的で躍動感のある酒か。ただ、開栓から数時間後、常温近くで飲んだら今一つフレッシュ感が失われて平板な印象に。これが時間的変化によるものなのか温度的変化によるものなのか、車中だったので確かめようがなかったんだけど、恐らく温度かな?いずれにしろ開栓してすぐは間違いなく ★★★だったんだけど、この味の崩れで★が半分減りました。それでもやっぱり開運は静岡酒の最高峰だな。大好きです。
 
十六代九郎衛門 純米吟醸 播州愛山 生 ver.春★★
55%。 口当たりはエアリーで優しくクリーミー。最初静かに入ってくるが、口に含んだ瞬間に軽やかなバニラ?バナナ?香が鼻腔を抜けていき、この時点で明らかによくある芳醇タイプとは違うことがわかる。とにかくこの最初のアタックがこの酒の最大の特徴か。その後すぐにバランスのいい旨みと酸がやってきて口中がにぎやかになる。若干アルコール感もあり、最後はほんのりと苦みを伴ってきれいに捌ける。ただ、量を飲んでいると中盤以降が少しうるさく感じてくるかも。
 
明鏡止水 酒門の会推奨限定品★☆
ピンクのラベルの印象通り、かなり派手に香って、いわゆるケレン味が強いタイプ。米、水、酵母をオール長野産で揃えたんだって。ふーん。しかし、こういう春酒チックなのはシャープでフレッシュ感も強そうなもんだが、味の輪郭は意外にそうでもなく若干もったりしてる。これは口開けからの時間の問題か。ただ、基本的に濃醇で甘酸っぱいので非常に飲みやすくはある。
 
栄光富士 無濾過生原酒 THE PLATINUM★★
雪女神という聞きなれない米を33%まで磨いたお酒。香りはほのかにフローラルで甘やか。含むと透明感のある上品な甘旨味が入ってきてふわっと広がる。このあたりから酸が顔を出してきてきれいに捌けていく。常温でいただいたこともあり、思いのほか濃さを感じたが、冷やしたらもっと上品なんだろうな。いかにも栄光富士「らしい」味わいです。
 
會津宮泉 純米★★
寫樂の宮泉銘醸が地元向けに作っている銘柄。米は不明で60%磨き。半年熟成してからの出荷らしいんだけど、これはよかった。香りは結構乳酸系で含むと案外甘みは弱い。その甘みが膨張してふくよかな旨みへスムーズにつながり、最後に熟味がふわっと来て軽いコクに変わる。味わいの輪郭が適度な酸によってかたどられている。いいねえ。大変好みです。
 
菊姫 大吟醸 荒走9BY★★
でました17年熟成。菊姫大吟醸自体はじめて飲むんだけどこれはヤバい。とても17年とは思えない美しい熟成。香りはそこそこの熟成香。含むと大吟醸らしくどこまでも上品で最後のキレまで素直なエンベロープを描く。通常野暮ったくなりがちな熟味さえもエレガントさの一端を担っている。アル添であることもこのエレガントさに一役買っている気がする。完璧な古酒。恐らく農口杜氏時代最後の年の菊姫なんだけど、これはマジで貴重すぎる。
 
日下無双 生酛純米60 西都の雫 25BY★☆
協会八号酵母。3年熟成らしいコクと旨み。普通に燗上がりするが冷やでも美味しい。含むと甘すぎず、バランスのいい旨みがやってきて、そこから太めのエンベロープを最後まで保つ。
 
一念不動 特別純米 熟成原酒★☆
夢山水60%。蓬莱泉の関谷醸造がこんな銘柄も出してるのね。熟成感はそれほどでもないが、全体的にまとまりがあって丸い。なるほど、これは確かに蓬莱泉の蔵の味だわ。
 

2017年2月に飲んだ日本酒

日本酒
2月は初旬にノロにやられたこともあり、いつもほどいろいろ飲めませんでした。そのせいなのか、単にハードルが上がったせいなのか、★★★の酒には出会えなかったです。残念(ちなみに★一つ以下は載せてません)。今回のラインナップ見ると明らかに燗酒志向ですが、冷酒向きの酒も好きなんですよ。ただ、普通のフレッシュ&フルーティな無濾過生原酒では満足できなくなってきているのはあります。やっぱハードル上がってるんだな。
 
春鹿 超辛口★★
ド定番でこれまでも何度か飲んでるんだけど燗したことはなかったので試してみた。いやー、これは大正解。こんなに燗上がりするとは思ってなかった。超辛口といいつつも、しっかり旨みのある酒質なので燗によってそれが増幅。特徴でもある最後のキレは全く失われることなく味全体がアップデートされる。
 
竹鶴 純米★★ / 秘傳 竹鶴★
超メジャー銘柄ながら初飲み。まずは純米を。予想通り好みにばっちりはまってる。完璧に燗向けの酒。神亀とタメをはる重厚さ。熟感を伴うやわらかい甘みから一気に凝縮された旨みが押し寄せる。穏やかな酸が太い骨格を維持しつつバシっとキレ。と思ったら最後に熟成感のある旨みがぽわんと返ってくる。素晴らしい。次は秘傳。こっちは終盤現れる熟成感が更に強くてより骨太。同じ方向性ではあるけど僅差で純米の方が好きかな。今は太すぎる男っぽい酒より柔らかさを備えた優しめな酒が好きな気分なので。しかし秘傳の熟成感はなかなかに強烈で飲む人を選びますね。俺は好きだけど。
 
旭菊 大地 純米26BY★★
いわゆる純米らしく燗上がりしまくるタイプ。地味で特段目立つところはないが、それでいてしっかり存在感はある、まるで昭和のホームドラマに出てくる母親のようなほっとする酒(ちなみにうちの母親はまったく真逆のタイプだった)。2年熟成だが熟香はほとんどなく、優しいアタックですーっと口中に入っていく。たいていの燗酒はここで旨みの主張がくるんだが、この酒はそれが控えめでふわふわしたまま最後の酸に収束していく。ただ、決して軽いわけではない。飲み疲れしない非常にバランスのとれた純米酒
 
鳴海 特別純米 直詰め生★★
初飲み。いいね、濃い目で甘酸フルーティ。分かりやすくて好きだよ。よくあるタイプと言えばよくあるタイプなのでこれといって特筆するところはないけど、美味しいのは間違いない。使用米をメモするの忘れたが、ふさこがねだったかな?
 
夢心 普通酒★★
去年も冷やで飲んでるが、今回は燗にしてみた。いやー、キングオブまろやか。冷やで感じたスムーズな感じが燗ではさらに増幅。ほっこりした甘みが味のメインで酸は控えめなのでキレがよいとは言えないが、甘みのさばけが良いので嫌みは全くない。うまいねえ。クイクイいけてしまう。 アル添にありがちな旨みを薄いベールで包んだようなもどかしさとは無縁で、 ちゃんと全体の味わいが分離せず一体となっている。ただ、その旨みはいわゆる純米酒のもつ力強いものとは別種。悪く言えば芯がなく、味幅というかアタックからリリースまでのエンベロープが単調なのだが、このあたりが良くも悪くも普通酒らしさなのかもしれない。
 
 

やし酒飲み / エイモス・チュツオーラ

 

やし酒飲み (岩波文庫)

やし酒飲み (岩波文庫)

 

 

以前より興味のあったアフリカ文学「やし酒飲み /エイモス・チュツオーラ著」を読んだ。神話的世界観の中で奇想天外、荒唐無稽、支離滅裂な冒険譚が、独特の語り口で淡々と語られる。ここには何の示唆も含蓄も心理描写もない。そもそもそういった深みを求める類の読み物ではないのだが。

一般的には極めて高い評価を得ている小説だが、果たしてこれが文学作品として真っ当に評価できるのか。自由で荒唐無稽なものを面白がる気持ちはわかる。普段の生活がキッチリしていればいるほど、そう感じるのかもしれない。ただ、私にとっては小学生の妄想にしか思えなかった。

確かに現代の西欧文化圏で生活する大人からは出てこないだろう自由奔放な発想は面白い。面白いが、この程度の想像力は子どもなら大体備わっている。それがアフリカ的な価値観を土台にして改めて表現されたにすぎないのではないか。今の私にはこれを深読みすることも、評価すべきポイントを見出すこともできなかった。

登場するグロテスクなクリーチャーや無茶苦茶な理屈は変態的かつ魅力的ではあるが、プロットや心理描写次第でもっと突き抜けられるはずだ。これじゃ物足りない。もっと俺の頭の中をひっかきまわしてくれ!要するに、ただただ純粋に稚拙なのだ。技巧を持った人間があえて既存の完成したものに挑戦したり、壊したりするのとはわけが違う。ピカソやサン・ラは後者で、チュツオーラは前者だ。(どちらが上ということではない。それぞれに良さはある。)純朴であることは素晴らしい。しかし、それ以上の何かがなければ個人的には評価に値しない。純朴さの下に重なる複層的な構造が必要なのである。

Girls Funk Bravo!!!

音楽 告知

久しぶりにJ-POP/アイドル系のmix作りました。だいたいここ二年くらいのファンキーな曲でまとめてます。一発録りじゃなくDAW編集mixです。

ちなみに現場復帰する気は全くないです。このレベルのmixをコンスタントにできるならやりたい気もしますが、絶対無理なので。ディグも大変だし。

 

www.mixcloud.com

【FREE DOWNLOAD】

https://www.mediafire.com/?g4c14hba2us38rp

1.菫アイオライト / WHY@DOLL
2.DANCIN' DANCIN' DANCE!! / GEM
3.純情ジレンマ / photograph
4.女はそれを我慢しない / Vanilla Beans
5.すききらいアンチノミー / フィロソフィーのダン
6.恋わずわず / Lyrical School
7.ディスコティークに連れてって / 星野みちる
8.IN THE CITY / 脇田もなり
9.だいすき / J☆Dee'Z
10.とびきりのおしゃれして別れ話を / SHE IS SUMMER
11.さみしいかみさま / DAOKO
12.Vampire / Awesome City Club
13.READY GO! / 東京女子流
14.dance floor / Shiggy Jr.
15.少女たちの終わらない夜 / H△G × ORESAMA
16.Danger / Especia
17.Shooter / 家入レオ
18.Dance Dance Dance / E-girls
19.lucky train! / AIKATSU☆STARS!
20.TRUE LOVE / 篠崎愛
21.piece of life (second piece) / Ryutist
22.きっと、きっとね。 / でんぱ組.inc

2017年1月に飲んだ酒

日本酒

去年までは飲んだ酒のラベルを写真に撮るだけだったんですが、それだとどうしてもよほど印象に残ったものしか味を思い出せない。結局印象に残らない酒はそれまでの酒だったということで、それもある意味では正しい評価な気もするけど、やっぱりせっかく金と肝臓を浪費してるんだから、もうちょっと何とかしたい。

というわけで、今年から飲んだ酒のインプレッションをメモに残すことにしました。その中から選りすぐったものを月に一回アップしていこうと思います。しかし味を文章化するってのは難しいですね。ようやく少しずつ詳しく書けるようになってきましたが。

 

ちなみに3段階評価で★二つ以上の酒だけ載せることにします。★一つ以下を載せないのは、まあまあ数があるので記事が冗長になるとの判断から。★が少ないものは相対的にメモも簡単な内容で終わってるので、あんまり載せる意味がないというのもあります。あと今の段階ではイマイチなのをdisれるほどの含蓄や経験を持ち合わせてないですし。ではいきます。

 

〆張り鶴 雪 本醸造 ★★
ド定番でわざわざ今飲む酒か?という気もするが、飲んでみるとこれがまた素晴らしい。食わず嫌いや偏見はいけませんね。本醸造だけど嫌なアルコール感は皆無。ぬる燗で甘みが増して本領を発揮する。いい意味でライトなのでいくら飲んでも飽きない。変なケレン味や派手さは全くなくて、ほっこり気持ちが落ち着く酒。俺もいろいろ飲んだ末には、結局こういう方向に収束していくんだろうか。
 
宗玄 純米 山田錦 ★★
ド定番part2。以前も同じスペックを飲んでるが、細かいニュアンスはすっかり忘れてしまったので再トライ。ちなみに石川門使用のバージョンとは全然印象が違う。しかし宗玄ってこんなにフルーティだったっけ。 宗玄といえば骨太で濃いってイメージがあったから燗映えするかと思ったが、そこまででもなく冷酒でも全然うまい。
 
開運 呑み切り一番 26BY ★★
呑み切り一番とは、地元の酒屋さんたちが蔵(土井酒造)に行って、一番いいタンクを選定。そこから瓶詰めしたものだそうで。なかなか面白いことしてますね。 大好きな開運ってだけでわくわく感が強いのに、これはそこからさらに2年熟成ってことで、否が応にも期待は高まる。結論から言うと、やっぱりさすがのクオリティで間違いない味わい。甘さと旨みのバランスよし。酸は弱め。ここまでは通常の開運と同じだが、テクスチュアはより太い。 そして熟成のクセがいいスパイスになっている。ぬる燗でほんのり甘みと旨みが開く。以前飲んでうまかった開運ひやおろしも似たような方向性だが、熟成年数の差だろうか、こちらのほうがより一体感を感じられる。今度は熟成させてないのを飲んでみたい。
 
綿屋 特別純米 原酒 阿波山田 ★★
燗が最高。酸が強めだが濃すぎず淡すぎず、非常に滑らかでまとまりがある。ものすごくうまいのにうまく表現できないもどかしさ…。この銘柄は他のスペックも追うことにします。
 
丹沢山 山廃純米 足柄若水60% 21+22BYブレンド ★★
燗をつけると非常にまろやかで、いわゆるチョコ的な焦げっぽい熟感はないんだけど、間違いなく熟成酒とわかるフニャっとしたクセがある。甘くてふんわり広がるタイプで、酸があまりないので意外にもそこまで複雑ではない。苦味は皆無。欲を言うならもうちょい若いほうがベストバランスかも。
 
自然郷 七(セブン) special ver. ★★★
今月のベスト。通常のセブンを飲んでないのでこのspecial ver. と具体的に何がどう違うのかイマイチわからないが、他ブログの通常セブンの感想を見る限りでは、やはり若干異なる味のようだ。こちらはとにかく柔らかいアタックが特徴的。まるで引っかかりがなく、スムーズに口中に滑り込んで、優しい甘みと旨みがブワっと広がる。この広がり方の幅がすごい。甘みの性質は村祐にも似た上品でシンプルなもの。酸は弱めだが、ごくわずかな苦みがキレにつながっている。これはいつかちゃんと向き合うべき酒だな。半合じゃ真価がわからない。
 
追記:
1週間後に再飲。残念ながらこの7日間でバランスは変わってしまったようだ。若干のアルコール感と後半の旨みが増して、あの上品な儚くほどけるような抜け感が無くなってしまった。口に含む量を極小にすれば無駄な旨みを感じずに済んだが。燗もつけたが、上燗ではあまり印象変わらず、もうちょっと低めの人肌程度では求めていた雰囲気がだいぶ復活する。ただし、いずれの温度でも若干感じるアルコール感は邪魔。
ちなみに、このspecial ver.というのはネットにも全く情報がないので店主に聞いてみたところ、福島の泉屋酒店という店による頒布会用の別誂であることが判明。都内では、まず入手できないようです。
 
東鶴 特別純米 ★★
ちょっとしつこく書いてみましょうかね。まずは常温で。上立ち香はわりとフルーティ、含むとアタックは弱めながら凝縮感のある旨みを感じる。とはいえ火入れなので特段重くはない。程よい酸がしっかりした輪郭をかたどっている。最後に舌の奥で甘みを除いたハチミツのようなコク味がぐっと現れる。ここがこの酒のポイントか。ただ、去年の4月上槽で約10か月経ってるので、もしかしたらこれは旨みが育って熟感が増した結果なのかもしれない。ちなみに後口に苦みや嫌なアルコール感はない。
ここまで読むと燗上がりしそうな雰囲気がぷんぷんするだろうが、熱燗ではそこまででもなかった。前半の印象はそのままに、最後のコクが何かの枠を取り払われたかのように横へ広がる。キレが失われたとも言えるが、食中酒とするならこちらの燗のほうが肴の旨みとの相乗効果を感じられてベター。燗冷ましは酸が出てきて若干バランスが悪くなるか。ぬる燗にするとアタックと前半の凝縮感が和らぎ、最後のコク味も若干のキレを残す。うん、この温度帯が最も好みだな。
 

 

酒の味の表現

日本酒

日ごろ飲んだ日本酒の味を忘れないようにメモをとっているんだけど、どうにも味に関するボキャブラリーが貧困で最終的には「うまかった」「まあまあだった」「不味かった」とかに集約されてしまうこのバカっぽさ。これじゃ後日味を思い出そうにも思い出せない。そこで、よそ様の日本酒ブログなどを参考にしながら味の表現に使われる単語(主に形容詞)を列挙してみることに。これを見ながらならもうちょっとマシなメモがとれるかも。


■華やか系
華やか
フルーティ
フローラル
芳醇
ジューシー
フレッシュ感

■穏やか系
滑らか
メロウ
安定感
バランス
ほっこり
穏やか
静かな
まとまっている
伸びのある
柔らかな
優しい
深みのある
丸みのある

■ガッツリ系
濃醇
濃密
重厚
厚み
ボリューミー
膨らみ
まろやか
幅の広い
奥行き
力強い
押しが強い
グラマー
乱暴

■クリア系
キレイな
クリアな
さっぱりした
軽快な
すっきりした
青々とした
シャープな
引き締まった
凛々しい
若い
硬い
清涼感
線が細い
あっさりした
きめ細かい

■その他
やんちゃ
シンプル
複雑
ザラつき
さらさら
パウダリー
ミネラリー
発泡感
収斂
ぼやけた
くっきりした
凝縮感
抜けがいい
とろっとした

 

これらを「アタック」「甘み」「辛み」「旨み」「酸味」「苦み」「雑味」「質感」「熟成感」「ガス感」「余韻」「変化」などのトピックごとに擬音をうまく絡めて使えばだいぶ表現できるようになりそう。似たような単語が並んでいるが、それぞれ微妙にニュアンスは違う上、文脈次第でチョイスも変わる。あとはセンスのみですね。

MIS(most impressive sake)アワード 2016

日本酒
備忘録かねて今年飲んだ中で心に残った酒を記録しておきます。80点くらいの充分に旨い酒はたくさんありましたが、それを全部拾っていくと膨大になるので、特に印象に残った酒に厳選しました。そうなるとどうしてもインパクトの強い変態酒が多くなるのはご容赦を。

個人的な好みの傾向としては「濃醇」「香り控えめ」「キレよし」「程よい熟成感」「アルコール感控えめ」といったところになります。日本酒飲み始めのころは無濾過生原酒とか濃醇甘酸系ばかりに引っかかってましたが、最近では日本酒度がプラスに振り切ってるいわゆる辛口のおっさん臭いのでも旨いな~と思うようになってきました。ただし、濃いのに限りますが。旨みが薄い淡麗なのは甘辛問わずイマイチ好きになれないです。あと辛口を謳ってる酒は基本、燗にして飲んでますが、この手で冷酒のほうがうまいと思えたのはまだ多くないので、来年はこのあたりの「冷酒でも旨い辛口」がディグのテーマになりそう。

ところで、ここまで何年か飲み進めてきて感じるのは、同じ酒であっても様々な要因でガラッとインプレッションが変わるということ。経験値、体調、前後に飲んだ酒、合わせる料理、店の管理、酒器の形など、 いろいろありますが、もっとも大きく影響するのは口開けしてからの日数と飲む際の温度かなと思っています。 口開け至上主義みたいな人が結構いますが、必ずしも開けたてが最もおいしいとは限りません。このへんは酒にもよりますが、確かに大吟醸みたいな香りが強めだったりキレイで繊細なタイプは時間が経つと比較的崩れやすい傾向にあります。反対に燗上がりしそうな骨太純米系は時間が経つにつれ味乗りしてきます。生と火入れでも変化の差は大きいですね。ここらへんを全く考慮しないで飲むとまともな評価は難しいです。

いずれにしろ、以前飲んだ時は旨かったのに今日はイマイチなんて、もうしょっちゅう。もちろんその逆も。なので、1回飲み屋で適当に半合飲んだ程度でウマイとかマズイとか断言するのは難しいです。飲み屋なら期間をあけて2回以上飲んで、それぞれの状況を鑑みながら総合的に判断してはじめてその酒を理解できるのかなと。

とはいえ、現実的にはそう何度も同じ酒に出会えることはありません。季節ものなんかは少なくとも1年待たないと飲めないですし、同じ銘柄で同じスペックであっても年度が変わったら全く違う仕上がりになっているなんてこともよくあります。つまり、これから挙げる酒の多くは一回飲み屋で飲んだだけなので、次に飲んだら全然うまくねえ!となっている可能性もあるということです。更には、個人の好みという最大の不確定要素も加わるので、これを読んでるあなたが旨いと感じるかは全くわからんよ、と。

さて、前置きが長くなりました。ようやく本題です。吟醸大吟醸が極端に少ないあたり、如実に趣味が表れてますね。


▼甘酸濃醇部門
最近は骨太純米燗酒系にシフトしてきているとはいえ、残草蓬莱 四六式と三諸杉 菩提酛が日本酒にはまるきっかけとなった酒なので、どうしてもこのへんの重厚甘酸っぱワールドから抜け出すことができないんです。やっぱり原体験だからね。

早瀬浦 本生純米吟醸
そこそこ華やかな香りでめっちゃ甘酸フルーティ。そして無濾過生原酒なので当然濃い。非常にわかりやすい味。音楽で言うならEDM。火入れのほうは少し物足りなさを感じた。

白玉香 特別純米 無濾過生原酒
これも甘酸で、さらに旨みが乗ってるのでボディが太い。いい意味で雑味もあってとにかくファーストインパクトが強い。無濾過生原酒らしい重さはあるんだけど、酸が効いてるからジューシーでクドさはない。この酸の強い感じは熟成もいけるんじゃないかと踏んでいるがどうだろう。

秋鹿 純米 多酸生原酒
名は体を表す。日本酒度-11、酸度3.6。数値的にかなりヤバイ(特に酸度)が、味も完全に甘酸エクストリーム系。ただ、舞美人みたいなひたすら酸っぱい感じはなくて、甘みも強いのでちゃんとバランスが取れてる。やはり秋鹿は間違いない。

都美人 Miracle Rose 山廃純米原
アルコール度数10%の低アル原酒。そして日本酒度-40というこれまたエクストリーム系。店のマスターのアイデアで、凍らせたのを崩してシャーベット状になったものが提供された(みぞれ酒)。低温のせいか甘さはそこまで感じず、山廃らしい酸と相まって素晴らしいヨーグルト感。10度くらいまで温度を上げてみると、それはそれで悪くないが不思議とパンチ感は減った気がする。この酒はシャーベットがベストだった。

ソガペールエフィス ル・サケ・ナチュレル90
頒布会に入った人しか手に入らない非売品。現代の生もとともちょっとだけ違う製法の「古典生酛」で醸した、精米歩合90%の変態実験酒。 ヨーグルトっぽさもあり、とにかく濃くてインパクトすげえ。常温だとそれなりに感じた雑味も燗にするとすっぱりとなくなる。明らかに燗上がりする酒質だが、ぬる燗以上ならどの温度帯でも味の印象が変わらない不思議さ。これだけ濃いと飲み疲れしそうなもんだけど、これまた不思議と全く飽きずにグイグイいけてしまう。まあそこは俺の好みにハマったからなのかもしれないが。とりあえず、人生でこれまでに飲んだ中では5指に入る酒。

昇龍蓬莱 酵母無添加生もと 古式一段仕込み
精米歩合:93% 日本酒度:-44 酸度:3.8という変態スペック。めちゃめちゃ濃い。でもしっかりキレる。大人のカルピス(エロい)とも例えられる乳酸飲料っぽさは菩提酛にも通じる。ていうか、古式造りってもしかして菩提酛のことなのかな?濃いので割り水して燗つけしても美味かった。

風の森 純米しぼり華 80 雄町
このフレッシュ感とキレ、言われなければとても磨きが80%とは思えない。微発泡なのもフレッシュ感を助長してて素晴らしい。そのうえでちゃんとジューシーでボリューム感も同居していて見事。硬水由来のミネラルっぽさは風の森の特徴だが、それがこのキレにつながってるのかな。スペック的にはマニアックだけど日本酒初心者でもすいすいいけちゃう感じ。

奥 夢山水十割 低温熟成 25BY
結構トロみがあって濃くてジューシー。エッジがとれてて丸みがあるというか。ぽっちゃりした印象。ちなみに自分が飲んだのは二年半低温熟成したものだが、熟成感はほとんど感じなかった。ノーマルのほうはまだ飲んでないのでいつか飲みたい。

鷹長 菩提酛 純米 生原酒
「風の森」を醸す油長酒造の別ブランド。 菩提酛 は個人的な日本酒原体験のひとつとなっていることもあり、現在リリースされている銘柄は全てコンプリートしてやろうと目論んでいるのだが、とりあえずこれまで飲んだ中ではこれが一番好き。最も濃醇で甘酸っぱかった。日本酒度-25、酸度3.2。はい変態酒。

長陽福娘 山廃純米 無濾過生原酒 山田錦
純米吟醸雄町もなかなかだったが、磨きが少ないこっちのほうがより好み。甘旨系で酸は弱めだが変なもたつきは皆無。山廃にありがちな野性味というかガツっとした感じは全くなく、非常に端正。わりと生っぽさが強いので燗は微妙かなと思ったが、これも全然いける。ぬる燗くらいで雑味が消えてまとまりが良くなる。こうなると他のスペックも飲みたくなるな。特に速醸の山田60が気になる。
 
民宿とおののどぶろく 水酛仕込み
どぶろくそのものをそんなに飲んだことがないので基準がわからないが、まあこれはほんとうまいです。甘酸系で当然濃いけど微発泡でフレッシュ感あるから嫌味は全くない。これ飲んじゃうとやっぱり水酛(菩提酛)には何かあると思わざるを得ない。

▼バランス系部門
ガツンとくるインパクトはそれほどではないものの、なぜか心に深く刻まれた田中六五を載せたいがために無理やり設けた部門。

田中六五 生
極端な酒ばかり紹介しているがその中にあって正統派のバランス酒。甘み、酸味、苦み、旨み、全ての要素がちょうどいい。ちょうどいい酒なんていっぱいあるけど、そのちょうどよさが半端ない。うまく表現できないが。どこかエレガントさも感じさせるあたりがネオクラシカルと言われる所以か。キレイで程よい旨みと弱い香りでエレガントとという意味では新政No.6と同じ方向性かも。生と火入れがあるが個人的には生のほうが好み。火入れは旨みが少し物足りないかな。

御前酒 菩提酛 雄町
同じ蔵の9(nine)の菩提酛は夏酒っぽい感じで正直物足りなかったが、こっちは全然違った。さすがは雄町のボリューム感。甘酸ではあるけど、それもほどほどの域に納まっていることから、あえてバランス系とした。菩提酛っていうとどうしても極端な味になるものが多い中、この程よい仕上がりってのは非常に造りがテクニカルなんだろうな。蔵人じゃないからよくわからんけど。

新政 日本酒古典技法大全 九割四分磨き精米
頒布会限定なので飲めるとは思ってなかったが案外置いてある居酒屋あるのね。ソガペールの90%と昇竜蓬莱の93%よりずっとすっきりした味わい。94%って食米より低精白なのに、やり方次第でこんなにもバランスのいい酒ができるんだな。立ち香はほとんどないが、なぜか含み香は結構あって、それなりの複雑味とボディの強さを持ちながらも、甘すぎずほどよいキレ。一言で言うとすげえうまい、それに尽きる。ちなみに燗上がりはしなかった。冷酒のほうがうまい。経験則からして、この手は間違いなく燗がいけるはずだったのにな。そこもまた不思議な酒。

山陰東郷 純米大吟醸
濃くて太くて燗上がりする大好きな銘柄。基本的にバリバリ完全発酵系の辛口燗酒を造る蔵なんだけど、25BYから強力を使った造りで日本酒度-14という(表面上は)これまでとは真逆の方向性を打ち出している。で、俺が最初に飲んだのは26BYの強力なんだけど、これがまた甘くて太くて最高で。以来、基本路線の辛口も含めてずっとファンなのだが、大吟醸は初めて飲んだ。40%磨きの生酛で山田錦。まず上立香。ほとんどない。よっしゃ、期待通り。一口含んでみる。これはすごい。間違いなく山陰東郷の味で、アルコール感がなくてバランスのとれた甘みと酸味が超好み。しかしこれが大吟醸かってくらい太いし香りはないし(褒めてる)。若干雑味が少なめでクリアな感じが大吟醸らしさなのか。新政の94%は、この磨きでこのクリアさ!という驚きだったけど、これは真逆。考えようによっては、普通の純米と味が変わらないならわざわざ価格が高い大吟醸を飲む意味もなかろうと思うが、それも野暮な考えか。燗をつけなかったのが悔やまれる。

開運 ひやおろし
開運は静岡酒の中ではもっとも好きな銘柄でいつどのスペックのを飲んでも外さない安定感がある。このひやおろしも例に漏れず。静岡酵母独特の口当たりの柔らかさと酢酸イソアミル由来のメロン的立ち香はそのままに程よい熟成感が足されていて、面白うまかった。燗をすると優しい甘みがやや前に出てくるが、あまり大きく印象は変わらない。

新政 立春朝搾り
生まれてはじめて飲んだ朝搾りがこいつなんだけど、それはもうフレッシュで発泡感あってすいすい行けちゃううまさ。どっしりした酒が好きな私もさすがにやられた。ちなみに別の機会に天青の本醸造の搾って二日目くらいのを飲んだんだけど、それもかなりうまかったので、新政だから最高!という話ではないのかもしれない。

船中八策 純米超辛口
超辛口と謳っているが、アタックは甘めで丸い。リリースで辛口らしくドライさが顔を出してバシっとキレる。燗はぬるから人肌くらいがちょうどいい具合に甘みが強調される。ただ、この酒に関しては燗よりも常温のほうが好みかな。低い温度のときに感じられる硬さが個人的に好み。辛口おっさん酒に開眼したての今の自分にはとてもうまい酒なんだけど、おっさん酒界隈ではアベレージクラスなのかもしれない。来年以降また経験値を増した後にどう感じるかが楽しみ。

▼燗酒部門
燗あがりする酒ってのは、燗をした時点で不思議とどれも及第点以上になるんだけど、逆に言うと割とみんな似たようなキャラクターになってしまい突出した銘柄に出会いづらい。その中にあってなお印象に残った6酒を。

神亀 ひやおろし 山廃純米 24BY
これは本当に旨い。旨みの嵐。レギュラーの神亀をさらにぶっとくして熟成感もプラスした欲張りさん。友人いわく、旨すぎて隙がないんだよなあ、と。つまり何かちょっと足りないところがあって、そこをアテで補完するのが食中酒の醍醐味とすれば、この酒は存在感が強すぎると。なるほど、そういう考えもあるな…。でもまあ、そこは合わせる肴次第かなという気もする。ちなみに言うまでもなく燗以外はあり得ない。50度くらいから分離していた熟成感が渾然一体となる。

安芸虎 蔵燗
船中八策に続き高知産。これもまたアタックが丸い。燗を謳ってはいるが冷酒も悪くない。旨み濃厚だが枯れた味わいも。冷酒だと甘みはほどほど、酸は弱めだが、それがかえって適度な力の抜け具合につながっているというか。甘み旨みが強い上に酸が強いとどうしても力強さが強調されちゃって肩が凝るからね。燗をつけると若干甘みが増すので膨らみが出てほっとする味に。

車坂 ON THE ROCK -SECOND RELEASE-
この酒のせいで熟成酒の深遠な世界へ足を踏み入れることになった。蔵としては氷を入れてのオンザロックを推奨しているが、断然常温か燗のほうがうまい。このクセは苦手な人も多いと思うが、味が濃いので俺は問題なし。むしろ、どストライクでした。ちなみにROCK3も同じくらいおすすめ。

カネナカ 山田錦 生もと 25BY
骨太燗酒界隈において、カネナカはまさにフラッグシップ。それが二年熟成っていうんだから飲まないわけにはいかないでしょう。当然燗つけてもらった。普段燗はやらない店なんだけど無理言ってやってもらった甲斐があった。深いコクとほどよい熟成香がたまらない。これが4年熟成とかになったらちょっと熟香が強すぎてバランスが崩れそうな気もする。まあ飲んでないからわからんが。

Nogne O(ヌグネ・オー) 裸島 山廃仕込 無濾過 純米酒 24BY
ノルウェー産の日本酒ってことで雑誌なんかでたまに紹介されてて存在は知っていたが、ふと居酒屋のメニューに載っていたので迷わず注文。期待通りのフルボディ。24BYということだったが熟成感は思ったほど感じない。いい意味で雑味があって面白い。とろっとして日本酒度-1の割には甘みが強い。完全に好みの甘酸っぱ系だ。ちなみに 酸度は2.5。 で、なんとなく燗つけてみたらこれが大正解。一旦45度くらいまで上げてからの燗冷ましが最高だった。

生酛のどぶ
にごりといえば新酒の時期のうすにごりとかのフレッシュなイメージがあったので、まさかそれを燗にするなんて、まるで味の想像がつかなかったがこれがまた絶品。 口中をマイルドな旨みが完全支配する。香りはほとんどなく、いわゆる完全発酵の骨太純米系なのでめっちゃ燗上がりするんだね。 究極の食中にごり燗酒。もちろん冷やでも悪くないんだけど、これは絶対に燗。しかも飛び切り燗かそれ以上でも。ちょっと普通の日本酒とは別の飲み物と考えたほうがいいかもね。言うなればスープとかお吸い物に近いんじゃないか。個人的にはトマトリゾットとの相性が最高だった。ピザとかも間違いなくいけるなこれは。他にもいろんな食材とのマリアージュを試したい。

▼アル添部門
アル添を否定する人は多い。確かに純米に比べたら旨い酒に当たる確率は圧倒的に低いしね。アルコール添加をすることで、どうしても淡麗すっきり(俺からしたら「薄い」と感じるんだけど)の方向に行きがちで、濃くて重い酒が好きな人間にとってはなおさら難しいカテゴリーではある。ただ、それでも旨いアル添酒というのは存在するのですよ。

笹祝 普通酒
燗で本領を発揮するが冷や(常温)でも◎。柔らかいアタックから穏やかに旨みが広がり、心地よい酸で切れる。普通酒にありがちな嫌なアルコールっぽさも、アル添にありがちな薄さもない。 かといって純米と間違えるというようなことも決してなく、あくまで普通酒として美味しい。純米に慣れた舌からすると新しいベクトルの酒だなあと。 なんというか「薄い」んじゃなくて「軽い」んだよね。そのおかげでいくらでも飲めてしまう。

夢心 普通酒
奈良萬を醸す夢心酒造の福島県内向け銘柄。印象としては笹祝の普通酒と割と似てる。 奈良萬の純米よりこっちのが好きかも…。

辰泉 本醸造 山廃 生 こだま別誂 26BY
このややこしいスペック!見ただけで心躍るわ。通常、辰泉の山廃本醸造は加水&火入れらしいが、大塚の地酒屋こだま特注で生原酒にしてもらったのがコイツらしい。まず飛び込んでくるのは1年熟成によるカドがとれた丸みとほどよい甘さ。しかし本醸造にありがちな線の細さは感じず、旨みが膨らみながらも最後はアル添ならではの軽さで締める。これは本当に旨い。旨すぎる上に、こういうタイプって経験がないので、なんだか脳がついていけない感じがあった。ちなみにぬる燗も良かったが、若干ボケるかなあ。飛びきり燗からの燗冷ましとかいけそうだがどうだろう。
 
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というわけで、アワードといいつつ賞や順位をつけるわけでもなく羅列しまくりました。来年も素敵な日本酒ライフを送れることを祈って。良いお年を。