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完璧なDJ

ここ最近家でDJミックスを作成していて気付いたことがある。「現場におけるDJプレイは一つの作品である」ということ。(もちろんこれは俺がそう思っているというだけで、一般論ではない。) 

 

この考えは以前より漠然と持ってはいたが、明白に顕在化することはなかった。ただ、毎回DJ後に悶々として不全感を抱いていたのは確かだ。つなぎで一か所でもミスをすると必要以上に落ち込む。選曲で思った通りの流れを作れないと腹立だしいほどの不満を感じる。


なぜそこまで完璧を目指すのか?大局的に見て場が盛り上がったならそれでいいじゃないか。いや、それではダメだ。盛り上がりは必要だが、選曲も技術も完全に伴わないと意味がない。プライドか?自己顕示欲か?それも大いにある。だがそれだけではない。一体何がそこまで自分を追い込むのか。答えが出ないまま現場からは身を引いてしまったが、ここにきてようやくわかった。俺は現場でのプレイを一つの作品と捉えていたのだ。作品である以上、自分の完成イメージに対して妥協は許されない。

 

DJに対してはいろいろな考え方がある。DJプレイとはその場限りの刹那的なパフォーマンスであり、イベントを客と一緒に楽しむための手段で、それ以上でもそれ以下でもないというのが大方の見解だろうか。もちろん、DJ自身のエゴが介入することで、少なからず自己表現としての要素が加わることはある。ただ、そこに時間芸術やインスタレーション作品としての完成度を求める人間はそう多くないだろう。DJプレイは芸術作品であるべき、と言っているのではない。良し悪しではなく、あくまで捉え方の問題でしかないが、少なくとも芸術的な捉え方をするほうが面倒だし、そういう人間は往々にして生きづらい性格であることは言える。自分の考えが大方の見解と同じであったなら、ここまで難しく考えて完璧なプレイができないことで悩むこともなかっただろう。

 

つなぎはノーミスかつ選曲もイメージ通り、さらに場も盛り上げる。現場でのプレイでこれを行うのは至難の業である。相当のスキルとセンスが必要になる。少なくとも俺にとっては不可能と言っていい。実現するために考え付く方法といえば、候補曲を全て脳内再生できるまで聴き込む、どんな状況でも何も考えずにつなげるようになるまで体に叩き込むなど、要は不断の努力によってしか成し得ないと思っている。ところで、こんな血の滲むような修練をせずとも簡単にやってのけるDJもいるが、あれは一体どういうことなんだろうか。何か根本的に脳の造りが違うのか、センスが異常なのか。それとも実はこちらが気付かない程度のミスをしていて本人としては不満を持っているのか。いずれにしても俺は諦めた。俺には無理だ。そこまでしてDJに魂を捧げる覚悟はないし、だからといってプレイを一作品として考えるのをやめることもできない。

 

そうは言っても、ミックスを練り上げてドロップする行為そのものは曲作りと同じくクリエイティブな作業であり、非常に有意義である。それゆえ、現場を離れても宅録ミックスは時折制作している。宅録ミックスの場合、ミスは編集で全て修正できるし、流れも熟考できる。当然出来上がったものは自分の理想に限りなく近い。これを現場で再現出来たらどれだけ素晴らしいか。しかしそれは無理。そんな技術はないから当り前だ。ではなぜ別物であるプロダクトに対して同じゴール(理想)をイメージしているのだろう。ここまで考えてハタと気付いたのだ。自宅で時間をかけて念入りに作り上げたミックスと現場での条件反射で作りだしたその場限りのミックス、両者は明らかに別物である。しかし同時に、一つの作品という観点においては、両者は同じものでもある。ここに気付いたことで、これまでの自分の拘りの理由が明確になり、頭の中の靄が晴れた気がしたのだった。


そんなこんなでいろいろ考えながら作ったハロプロオンリーのミックス「The Anthology of Akabanebashi-funk 2017」を久々開催の#ClubGATASにて来場者特典として配布します。私は都合で行けませんが、いわずもがな最高のイベントですので!

5/27(土)23時~ Don't miss it!
http://clubgatas.hateblo.jp/entry/2017/04/02/145454

2017年4月に飲んだ日本酒

4月は★★★の酒に出会えませんでした。ただ、白木久や風が吹くといった、今まであまり飲んだことのないタイプの面白いのはありましたね。あと、松の司は非常によく出来てて、もうちょっと深堀していきたいところだけど、近所で扱ってる居酒屋も酒屋もないんだよなあ。通販はあんまり気乗りしないし。まあ、ぼちぼちやっていきますか。

 

三千櫻 地酒SP 直汲 生(普通酒)★★
初日は冷酒が一番いい。常温以上だと鼻に抜けるアルコール感がちょっと気になる。かすかな甘さが微発泡感を伴ってスムーズに入ってくるが、すぐ旨みにバトンタッチ。その旨みがそのまま増幅して再び甘みが顔を出す。最後は軽い苦みとともに捌けていく。酸は主張しないが確かに存在している。アル添によるごく薄いベールは終始感じるが、悪い方向には作用していない。二日目、初日とは全く違う酒に!液性に丸みが出て甘みが明らかに増大。含んだ時点からそこそこ強い甘さを感じるが酸がちゃんと無駄な広がりを抑える。中盤以降の流れは初日と変わらないが、全体的にまとまりが出た。初日に感じた浮いたアルコール感もあるにはるが、全体のバランスの変化によってそれほど気にならなくなってる。こりゃうまいわ。普通酒とかアル添を敬遠する人にこそぜひ飲んでほしい逸品。

Takachiyo59 AIMACHI★☆
愛山&雄町ブレンドという珍しいスペック。わかりやすいフルーティ系。パイナップルを思わせる強い立ち香。飲み口は柔らかい。 ややとろみのある酒質でスルリと入ってくる。 平仮名のたかちよほどではないが結構甘い。甘みはそのまま口の中で膨らむが程よい酸が広がりすぎるのを抑える。愛山と雄町らしいコクと複雑さもそれなりに感じることができた。ただ、量を飲む気にはなれんな。

居谷里 山廃 純米 火入れ原酒70 27BY(緑ラベル)★★
実に濃醇でインパクト充分ながら、骨太過ぎないのでついつい杯を重ねてしまう。山廃らしい酸はそこまで明確に感じないが、全体のバランスをとる舵取り役として確かに機能している。極小レベルながら終盤に熟味が感じられ、それがこの酒の奥深さにつながっている。非常によくまとまったいい酒。

ソガペールエフィス サケ・エロティック ヌメロ・アン★☆
美山錦55%の1号酵母。香りはほとんど感じない。アタックから酸が強く主張して旨みもしっかり。甘みは抑えめなので濃醇というほどではないが芯の強さを感じる。エンベロープは割と単調なので「雄東正宗 しぼりたて生 五百万石」を思い出した。あれをもう少しスリムかつバランスよくした感じかな。

松の司 純米吟醸azolla 27BY ★★☆
柑橘っぽい微かな立ち香。含むと透明感のある優しい甘み。そこから旨みが増幅。後口で多少カーっとくるアルコール感と旨みの余韻。雑味や苦味はない。非常にバランスが整っている。よく聞く言葉で「造りが上手い」というのがあるが、正直いまだ何をもってそう言うのかよくわからない。ただ、この酒のバランスの良さと中盤からの力強さ、輪郭のかっちりしたダレない感じ、もしかしてこれが「造りが上手い」ってやつなのか?とにかく甘口フルーティなお子ちゃま酒とは対極にある大人っぽい酒。ちなみに1年熟成だが熟成感は全くない。相当酒質が強い感じはある。

飛良泉 山廃純米 まる飛 no.77 限定生酒★☆
日本酒度-20の酸度4.0と数値的にはかなりのエクストリーム系。立ち香はほとんどなし。含むと甘さよりも乳酸ぽいニュアンスが先に来てそこから丸みのある酸がぐっと主張してくる。嚥下でその酸はより存在感を増して爽やかに切れる。少しとろみのある液性で全体的に甘みと旨みがしっかりあるので、酸だけが悪目立ちするということはない。 温度は冷酒でも常温でも燗でもそれほど印象は変わらない。まあ、この手の甘酸っぱい酒はわりとそういう傾向にあるね。

信濃鶴 純米★★
優しい甘み。乳酸感あるコクが大変好み。そこまで太くはなく、案外すっきりしている。

山陰東郷 生酛 純米生原酒 玉栄60% 27BY★★
日本酒度-13.5/酸度2.2。1年の生熟。今年も出ました山陰東郷の甘口。立ち香から確かに熟成を感じる。含むと強い甘み、ただ熟成から来る馴染みのいい酸も同居しているため全くクドさはない。山陰東郷らしく終始力強さがあるが少し野暮ったくもある。熟味は浮いておらず、酸と同様全体に馴染んでいる。生ではあるが生らしいムレた感じはないため燗もいけると判断→俺の感覚は正しかった。印象そのものは大きく変わらないが、全体のまとまりがさらに増す。

菊鷹 Hummingbird 純米無濾過生★☆
雄山錦70%。うすにごり。柑橘系の立ち香。そこそこの甘みからガスを感じ、しっかりした酸と旨みが顔を出す。余韻が長くキレはそこまででもないが旨みが心地よいので問題なし。全体的に濃いめではある。

風が吹く<金>山廃純米吟醸生酒うすにごり(中取り)★★
この酒はとにかく酸の存在を感じさせないのが面白い。酸度自体は1.7なので普通だが、舌に感じるのはツルっとした甘みと旨みで山廃にありがちな酸はほぼわからない。だからといってボケてるわけではなくちゃんと立体的な構造はあるし、それなりに輪郭もわかる(この辺に酸度1.7の意味が隠れているのか)。明らかにモダン山廃の一つの方向性を指し示している。

千代緑SP 純米大吟醸 甕口生原酒★☆
さけこまち。こまち酵母スペシャル。やさしく軽い口当たりで、そのままきれいに旨みが広がる。若干淡麗に感じるところもあるが悪くはない。

千代緑No.12 純米大吟醸 無加圧甕口★★
一日目、常温。大吟醸らしいフルーティ(バナナ)な香り。微発泡とともに品のいい甘み。そのまま程よい旨みに移行し、ごくわずかな苦味を伴ってキレる。非常に優等生的な、わかりやすくうまい大吟醸。SPよりはややすっきりの印象。4日後、思ったほどとろみは増してこないが、味わいは全体的に少し濃くなっている。まだ発泡感も残っている。

千代緑 純米吟醸 無加圧甕口★☆
基本的には12と同じ方向性のフルーティ吟醸。甘みはそれほどないが旨みは12に比べて濃い。アフターの印象はかなり12と似ているが、結局精米歩合の違いがそのまま味に出た印象。冷酒のほうが余計な苦味や雑味を感じなくてよい。

裏鍋島 隠し酒★★☆
荒責ブレンド。一部では味が落ちたと囁かれる鍋島だが、いやいや充分うまいじゃないですか。立ち香はほとんどなく、シルキーな甘みからきれいな曲線を描いて旨みに移行、酸もしっかりで美しく着地。エンベロープも味わい自体もスタンダードな感じなんだけど、なんというか、いちいちクオリティの高さを感じる。恐らく甘みが優しく雑味がないことが上品さにつながっているためだろう。

白木久 Brilliant 純米吟醸 無濾過 生原酒★★
なんとコシヒカリを使用。食米とは思えないフルーティな立ち香。ふわっとした口当たりから幾分ジューシーさが出てきてキレるが終始やさしくエアリーな印象。だからといって旨みが足りてないわけではない。基本的には甘酸系と言っていいと思うが、味の密度が濃すぎないことと、酸を感じるタイミングの面白さがこの酒の醍醐味だろう。

 

東鶴 特別純米雄町中汲み★★
口開けはややチグハグ、ただ日を追うごとに全く違う酒と言えるほどにまとまってくる。柔らかめのアタックからじんわりとした甘み、この時点での酸は弱い。そして甘みはスムーズに程よい旨みに移行、東鶴らしいコクとややフルーティな含み香を残して消えていく。美味い。燗はやや酸が立ってきて、なんだかまとまりを欠く。というわけで常温が一番かな。

ソガペールエフィス サケ・ナチュレル 70 27BY
番外編。実験レポートです。昨年の生酒を室温で1年熟成させてみました。ソガペは酒質強いっぽいのでいけるかなと思ったが、結論から言うと失敗。酸が目立ってすごいことになった。飲めなくはないが正直バランスが悪くなっていてまったく美味くはない。熟味も結構あってクセが強い。生の重い感じと熟味が同居してるんだけど一体感はなく、家庭内別居といった風情。とにかくいろいろチグハグで変な感じ。温度帯は日向燗くらいが一番マシだった。実は昨年の3号酵母の生がまだ眠ってるんだけど、こうなったらこっちはもう2年くらい寝かせてみようと思います。

 

2017年3月に飲んだ日本酒

3月は当たりが多かったので長いですよ。
ところで最近気がついたんだけど、俺、口当たりが柔らかくて全体的にまろやかなのが特に好きみたい。そう考えると熟成酒に偏りがちだったのも合点がいく。そこさえ抑えてれば純米であれ大吟醸であれ、あんま関係ないみたいです。というわけで、以前は避けがちだった大吟醸も積極的にトライするようになりましたとさ。
※★は1、☆は0.5として評価。★☆以上のみを掲載。
 
 
播州一献 純米大吟醸 北錦★★☆
無濾過生で磨き50%。フレッシュ&フルーティ系の純米大吟醸でおおっと思える酒に出会ったのは久しぶり。 立ち香はフルーティでそこそこあるが料理の邪魔をするほどではない。含むとしなやかな甘みと強めの酸がスムーズに入ってくる。旨みもしっかり。アルコール感や苦みはなくきれいにひけていく。なんというか、どちらかといえば濃醇なんだけどバランスがすごく良くて悪いところが見つからないんだよね。もうちょい低精白だったらこのバランスがさらに濃醇に寄っちゃって崩れそうだな。良くも悪くも人懐っこくてわかりやすい。すごく好きだし、また飲みたいと思わせるには充分うまい酒なんだけど、もうひとつ俺にとって驚きの要素があれば最高の ★★★ だった。
 
津島屋 純米吟醸生★☆
美山錦55%。ややカプ系の香りが強いがうまい。甘みを伴いつつもややキリっとしたアタック、そこから案外しっかりした旨みにつながり若干の辛みできれいにさばける。酸味に加え渋みや苦みも複雑に絡み合う。個人的好みとしてはもっと丸い方がいい(硬くて尖った印象を受けた)が、まあこれはこれだろう。
 
酒屋八兵衛 山廃純米★★
磨き60%、麹:山田錦、掛:五百万石。山廃なので酸が効いててパンチがあるのかなーと思ってたら予想よりずっとまろやかで軽い。丸く柔らかい口当たりから旨みが広がる。苦味は皆無。山廃らしい酸はそれほど強く感じず、地味に全体を下支えしている感じ。ぬる燗で甘みが多少増すが常温から大きくイメージは変わらない。お喋りしながらだったので、細かく覚えてないのがもったいない。もう一回、一人でゆっくり飲みたい。
 
酒屋八兵衛 山廃純米 22BY★★
28BYが美味かったので、同じ酒屋で6年熟成を買ってみた。基本路線は変わらず、マイルド山廃。さすがに6年寝てるのでそれなりの熟味はあるんだけど、焦げっぽさや変なクセは感じない。新酒よりこっちのほうが燗上がりする。
 
刈穂 純米 27BY★★
1年間室温で自家熟成させたもの。まずは常温。香りはほとんど感じないがほんの少し熟香があるか。含むと軽い甘みとほどほどの酸、旨みがやや強めのアルコール感を伴いながら鼻に抜けていく。そして最後に弱目の熟味が顔を出す。リリースでまた辛さとアルコール感が少し。アルコール感が浮いててちょっと気になるけど全体的にはいいバランス。自家熟成は大成功といえる。次、ぬる燗で。含むとまず優しく上品な甘み、常温で感じた酸が引っ込むのでその分甘みが増した。そこからスムーズな曲線を描いて柔らかな旨みに移行。最後、熟味とともにやはり若干のアルコール感が残る。燗も悪くないけど、酸がいい仕事をしている分、常温に軍配かな。
 
弥栄鶴 山廃純米 70 27BY★★★
祝と祭り晴という珍しい米を使用。軽い熟成感のある香りに優しい甘さと、ともすれば菩提酛にも通じる乳酸(ヨーグルト)っぽさが特徴。口当たりもまろやか、どちらかといえば濃いが濃醇というほどではなく飲み疲れしない。とにかくとても好きなタイプ。旨みに関して、アミノ酸系の旨みがまずやってきて、その後から酸が広がりを抑えにかぶせに来るパターンが多いけど、これは旨みと酸が同じタイミングで一つの味わいとして混然となったものがやってくる感じ。熟成しているのは確かにわかるが、いわゆる熟味が分離して存在するのではなく、全体をまろやかにまとめあげるという効果としての熟成感を感じることができる。で、当然ながら燗映えしそうだがどうか。うむ、温度が上がるにつれて甘みや幅が広がる反面、酸が弱くなって少し締まりがなくなる。個人的にこの酒の「酸」に惹かれているわけで、それがなくなるのはあまり好ましくない。というわけで25-30℃くらいがふくよかさと酸のバランスがとれてちょうどいいな。
しかし後日ふとこの酒のことを思い出すと、またすごく飲みたくなる。なんなんだろうこの中毒性は。この中毒性のせいで★が一つ増えました。
 
ソガペールエフィス ヌメロ・トロワ(3号酵母)★★
ソガペールエフィス ヌメロ・ドゥー(2号酵母)★★
日本酒に目覚めてから毎年飲んでるけど相変わらずバランス良くてうまいよね。今年は昨年よりややドライで硬いかな。ほどよい甘みからジューシーな酸が転がり込んで、心地よい含み香を伴いながらこれまたほどよい旨みを感じてバシっとキレる。若干ミネラリーと感じるほどにしっかりした骨格がある。酔っぱらってたこともあり2号と3号の差ははっきりと感じられなかったが、香りは3号の方が若干ハーブ、2号がフルーティかな。燗はダメ。今回はすぐ飲んじゃったけど、この酒、寝かすとグっと甘みと旨みが太くなるんだよね。余ってる5号と1号は少し開栓してから置くことにしよう。ちなみに6号は俺が飲む前に家族にすべて飲まれました(泣)
  
開運 純米 無濾過生原酒★★☆
山田錦55%。静岡酵母らしい優しいメロン香。口当たりは非常に柔らかく滑らか。微かなガス感もあり。軽快な甘みと旨み。ジューシーな酸味がフレッシュさを演出。最高に芳醇でうまい。最後はごくわずかな苦味を伴ってスっと捌ける。なんという立体的で躍動感のある酒か。ただ、開栓から数時間後、常温近くで飲んだら今一つフレッシュ感が失われて平板な印象に。これが時間的変化によるものなのか温度的変化によるものなのか、車中だったので確かめようがなかったんだけど、恐らく温度かな?いずれにしろ開栓してすぐは間違いなく ★★★だったんだけど、この味の崩れで★が半分減りました。それでもやっぱり開運は静岡酒の最高峰だな。大好きです。
 
十六代九郎衛門 純米吟醸 播州愛山 生 ver.春★★
55%。 口当たりはエアリーで優しくクリーミー。最初静かに入ってくるが、口に含んだ瞬間に軽やかなバニラ?バナナ?香が鼻腔を抜けていき、この時点で明らかによくある芳醇タイプとは違うことがわかる。とにかくこの最初のアタックがこの酒の最大の特徴か。その後すぐにバランスのいい旨みと酸がやってきて口中がにぎやかになる。若干アルコール感もあり、最後はほんのりと苦みを伴ってきれいに捌ける。ただ、量を飲んでいると中盤以降が少しうるさく感じてくるかも。
 
明鏡止水 酒門の会推奨限定品★☆
ピンクのラベルの印象通り、かなり派手に香って、いわゆるケレン味が強いタイプ。米、水、酵母をオール長野産で揃えたんだって。ふーん。しかし、こういう春酒チックなのはシャープでフレッシュ感も強そうなもんだが、味の輪郭は意外にそうでもなく若干もったりしてる。これは口開けからの時間の問題か。ただ、基本的に濃醇で甘酸っぱいので非常に飲みやすくはある。
 
栄光富士 無濾過生原酒 THE PLATINUM★★
雪女神という聞きなれない米を33%まで磨いたお酒。香りはほのかにフローラルで甘やか。含むと透明感のある上品な甘旨味が入ってきてふわっと広がる。このあたりから酸が顔を出してきてきれいに捌けていく。常温でいただいたこともあり、思いのほか濃さを感じたが、冷やしたらもっと上品なんだろうな。いかにも栄光富士「らしい」味わいです。
 
會津宮泉 純米★★
寫樂の宮泉銘醸が地元向けに作っている銘柄。米は不明で60%磨き。半年熟成してからの出荷らしいんだけど、これはよかった。香りは結構乳酸系で含むと案外甘みは弱い。その甘みが膨張してふくよかな旨みへスムーズにつながり、最後に熟味がふわっと来て軽いコクに変わる。味わいの輪郭が適度な酸によってかたどられている。いいねえ。大変好みです。
 
菊姫 大吟醸 荒走9BY★★
でました17年熟成。菊姫大吟醸自体はじめて飲むんだけどこれはヤバい。とても17年とは思えない美しい熟成。香りはそこそこの熟成香。含むと大吟醸らしくどこまでも上品で最後のキレまで素直なエンベロープを描く。通常野暮ったくなりがちな熟味さえもエレガントさの一端を担っている。アル添であることもこのエレガントさに一役買っている気がする。完璧な古酒。恐らく農口杜氏時代最後の年の菊姫なんだけど、これはマジで貴重すぎる。
 
日下無双 生酛純米60 西都の雫 25BY★☆
協会八号酵母。3年熟成らしいコクと旨み。普通に燗上がりするが冷やでも美味しい。含むと甘すぎず、バランスのいい旨みがやってきて、そこから太めのエンベロープを最後まで保つ。
 
一念不動 特別純米 熟成原酒★☆
夢山水60%。蓬莱泉の関谷醸造がこんな銘柄も出してるのね。熟成感はそれほどでもないが、全体的にまとまりがあって丸い。なるほど、これは確かに蓬莱泉の蔵の味だわ。
 

2017年2月に飲んだ日本酒

2月は初旬にノロにやられたこともあり、いつもほどいろいろ飲めませんでした。そのせいなのか、単にハードルが上がったせいなのか、★★★の酒には出会えなかったです。残念(ちなみに★一つ以下は載せてません)。今回のラインナップ見ると明らかに燗酒志向ですが、冷酒向きの酒も好きなんですよ。ただ、普通のフレッシュ&フルーティな無濾過生原酒では満足できなくなってきているのはあります。やっぱハードル上がってるんだな。
 
春鹿 超辛口★★
ド定番でこれまでも何度か飲んでるんだけど燗したことはなかったので試してみた。いやー、これは大正解。こんなに燗上がりするとは思ってなかった。超辛口といいつつも、しっかり旨みのある酒質なので燗によってそれが増幅。特徴でもある最後のキレは全く失われることなく味全体がアップデートされる。
 
竹鶴 純米★★ / 秘傳 竹鶴★
超メジャー銘柄ながら初飲み。まずは純米を。予想通り好みにばっちりはまってる。完璧に燗向けの酒。神亀とタメをはる重厚さ。熟感を伴うやわらかい甘みから一気に凝縮された旨みが押し寄せる。穏やかな酸が太い骨格を維持しつつバシっとキレ。と思ったら最後に熟成感のある旨みがぽわんと返ってくる。素晴らしい。次は秘傳。こっちは終盤現れる熟成感が更に強くてより骨太。同じ方向性ではあるけど僅差で純米の方が好きかな。今は太すぎる男っぽい酒より柔らかさを備えた優しめな酒が好きな気分なので。しかし秘傳の熟成感はなかなかに強烈で飲む人を選びますね。俺は好きだけど。
 
旭菊 大地 純米26BY★★
いわゆる純米らしく燗上がりしまくるタイプ。地味で特段目立つところはないが、それでいてしっかり存在感はある、まるで昭和のホームドラマに出てくる母親のようなほっとする酒(ちなみにうちの母親はまったく真逆のタイプだった)。2年熟成だが熟香はほとんどなく、優しいアタックですーっと口中に入っていく。たいていの燗酒はここで旨みの主張がくるんだが、この酒はそれが控えめでふわふわしたまま最後の酸に収束していく。ただ、決して軽いわけではない。飲み疲れしない非常にバランスのとれた純米酒
 
鳴海 特別純米 直詰め生★★
初飲み。いいね、濃い目で甘酸フルーティ。分かりやすくて好きだよ。よくあるタイプと言えばよくあるタイプなのでこれといって特筆するところはないけど、美味しいのは間違いない。使用米をメモするの忘れたが、ふさこがねだったかな?
 
夢心 普通酒★★
去年も冷やで飲んでるが、今回は燗にしてみた。いやー、キングオブまろやか。冷やで感じたスムーズな感じが燗ではさらに増幅。ほっこりした甘みが味のメインで酸は控えめなのでキレがよいとは言えないが、甘みのさばけが良いので嫌みは全くない。うまいねえ。クイクイいけてしまう。 アル添にありがちな旨みを薄いベールで包んだようなもどかしさとは無縁で、 ちゃんと全体の味わいが分離せず一体となっている。ただ、その旨みはいわゆる純米酒のもつ力強いものとは別種。悪く言えば芯がなく、味幅というかアタックからリリースまでのエンベロープが単調なのだが、このあたりが良くも悪くも普通酒らしさなのかもしれない。
 
 

やし酒飲み / エイモス・チュツオーラ

 

やし酒飲み (岩波文庫)

やし酒飲み (岩波文庫)

 

 

以前より興味のあったアフリカ文学「やし酒飲み /エイモス・チュツオーラ著」を読んだ。神話的世界観の中で奇想天外、荒唐無稽、支離滅裂な冒険譚が、独特の語り口で淡々と語られる。ここには何の示唆も含蓄も心理描写もない。そもそもそういった深みを求める類の読み物ではないのだが。

一般的には極めて高い評価を得ている小説だが、果たしてこれが文学作品として真っ当に評価できるのか。自由で荒唐無稽なものを面白がる気持ちはわかる。普段の生活がキッチリしていればいるほど、そう感じるのかもしれない。ただ、私にとっては小学生の妄想にしか思えなかった。

確かに現代の西欧文化圏で生活する大人からは出てこないだろう自由奔放な発想は面白い。面白いが、この程度の想像力は子どもなら大体備わっている。それがアフリカ的な価値観を土台にして改めて表現されたにすぎないのではないか。今の私にはこれを深読みすることも、評価すべきポイントを見出すこともできなかった。

登場するグロテスクなクリーチャーや無茶苦茶な理屈は変態的かつ魅力的ではあるが、プロットや心理描写次第でもっと突き抜けられるはずだ。これじゃ物足りない。もっと俺の頭の中をひっかきまわしてくれ!要するに、ただただ純粋に稚拙なのだ。技巧を持った人間があえて既存の完成したものに挑戦したり、壊したりするのとはわけが違う。ピカソやサン・ラは後者で、チュツオーラは前者だ。(どちらが上ということではない。それぞれに良さはある。)純朴であることは素晴らしい。しかし、それ以上の何かがなければ個人的には評価に値しない。純朴さの下に重なる複層的な構造が必要なのである。

Girls Funk Bravo!!!

久しぶりにJ-POP/アイドル系のmix作りました。だいたいここ二年くらいのファンキーな曲でまとめてます。一発録りじゃなくDAW編集mixです。

ちなみに現場復帰する気は全くないです。このレベルのmixをコンスタントにできるならやりたい気もしますが、絶対無理なので。ディグも大変だし。

 

www.mixcloud.com

【FREE DOWNLOAD】

https://www.mediafire.com/?g4c14hba2us38rp

1.菫アイオライト / WHY@DOLL
2.DANCIN' DANCIN' DANCE!! / GEM
3.純情ジレンマ / photograph
4.女はそれを我慢しない / Vanilla Beans
5.すききらいアンチノミー / フィロソフィーのダン
6.恋わずわず / Lyrical School
7.ディスコティークに連れてって / 星野みちる
8.IN THE CITY / 脇田もなり
9.だいすき / J☆Dee'Z
10.とびきりのおしゃれして別れ話を / SHE IS SUMMER
11.さみしいかみさま / DAOKO
12.Vampire / Awesome City Club
13.READY GO! / 東京女子流
14.dance floor / Shiggy Jr.
15.少女たちの終わらない夜 / H△G × ORESAMA
16.Danger / Especia
17.Shooter / 家入レオ
18.Dance Dance Dance / E-girls
19.lucky train! / AIKATSU☆STARS!
20.TRUE LOVE / 篠崎愛
21.piece of life (second piece) / Ryutist
22.きっと、きっとね。 / でんぱ組.inc

2017年1月に飲んだ酒

去年までは飲んだ酒のラベルを写真に撮るだけだったんですが、それだとどうしてもよほど印象に残ったものしか味を思い出せない。結局印象に残らない酒はそれまでの酒だったということで、それもある意味では正しい評価な気もするけど、やっぱりせっかく金と肝臓を浪費してるんだから、もうちょっと何とかしたい。

というわけで、今年から飲んだ酒のインプレッションをメモに残すことにしました。その中から選りすぐったものを月に一回アップしていこうと思います。しかし味を文章化するってのは難しいですね。ようやく少しずつ詳しく書けるようになってきましたが。

 

ちなみに3段階評価で★二つ以上の酒だけ載せることにします。★一つ以下を載せないのは、まあまあ数があるので記事が冗長になるとの判断から。★が少ないものは相対的にメモも簡単な内容で終わってるので、あんまり載せる意味がないというのもあります。あと今の段階ではイマイチなのをdisれるほどの含蓄や経験を持ち合わせてないですし。ではいきます。

 

〆張り鶴 雪 本醸造 ★★
ド定番でわざわざ今飲む酒か?という気もするが、飲んでみるとこれがまた素晴らしい。食わず嫌いや偏見はいけませんね。本醸造だけど嫌なアルコール感は皆無。ぬる燗で甘みが増して本領を発揮する。いい意味でライトなのでいくら飲んでも飽きない。変なケレン味や派手さは全くなくて、ほっこり気持ちが落ち着く酒。俺もいろいろ飲んだ末には、結局こういう方向に収束していくんだろうか。
 
宗玄 純米 山田錦 ★★
ド定番part2。以前も同じスペックを飲んでるが、細かいニュアンスはすっかり忘れてしまったので再トライ。ちなみに石川門使用のバージョンとは全然印象が違う。しかし宗玄ってこんなにフルーティだったっけ。 宗玄といえば骨太で濃いってイメージがあったから燗映えするかと思ったが、そこまででもなく冷酒でも全然うまい。
 
開運 呑み切り一番 26BY ★★
呑み切り一番とは、地元の酒屋さんたちが蔵(土井酒造)に行って、一番いいタンクを選定。そこから瓶詰めしたものだそうで。なかなか面白いことしてますね。 大好きな開運ってだけでわくわく感が強いのに、これはそこからさらに2年熟成ってことで、否が応にも期待は高まる。結論から言うと、やっぱりさすがのクオリティで間違いない味わい。甘さと旨みのバランスよし。酸は弱め。ここまでは通常の開運と同じだが、テクスチュアはより太い。 そして熟成のクセがいいスパイスになっている。ぬる燗でほんのり甘みと旨みが開く。以前飲んでうまかった開運ひやおろしも似たような方向性だが、熟成年数の差だろうか、こちらのほうがより一体感を感じられる。今度は熟成させてないのを飲んでみたい。
 
綿屋 特別純米 原酒 阿波山田 ★★
燗が最高。酸が強めだが濃すぎず淡すぎず、非常に滑らかでまとまりがある。ものすごくうまいのにうまく表現できないもどかしさ…。この銘柄は他のスペックも追うことにします。
 
丹沢山 山廃純米 足柄若水60% 21+22BYブレンド ★★
燗をつけると非常にまろやかで、いわゆるチョコ的な焦げっぽい熟感はないんだけど、間違いなく熟成酒とわかるフニャっとしたクセがある。甘くてふんわり広がるタイプで、酸があまりないので意外にもそこまで複雑ではない。苦味は皆無。欲を言うならもうちょい若いほうがベストバランスかも。
 
自然郷 七(セブン) special ver. ★★★
今月のベスト。通常のセブンを飲んでないのでこのspecial ver. と具体的に何がどう違うのかイマイチわからないが、他ブログの通常セブンの感想を見る限りでは、やはり若干異なる味のようだ。こちらはとにかく柔らかいアタックが特徴的。まるで引っかかりがなく、スムーズに口中に滑り込んで、優しい甘みと旨みがブワっと広がる。この広がり方の幅がすごい。甘みの性質は村祐にも似た上品でシンプルなもの。酸は弱めだが、ごくわずかな苦みがキレにつながっている。これはいつかちゃんと向き合うべき酒だな。半合じゃ真価がわからない。
 
追記:
1週間後に再飲。残念ながらこの7日間でバランスは変わってしまったようだ。若干のアルコール感と後半の旨みが増して、あの上品な儚くほどけるような抜け感が無くなってしまった。口に含む量を極小にすれば無駄な旨みを感じずに済んだが。燗もつけたが、上燗ではあまり印象変わらず、もうちょっと低めの人肌程度では求めていた雰囲気がだいぶ復活する。ただし、いずれの温度でも若干感じるアルコール感は邪魔。
ちなみに、このspecial ver.というのはネットにも全く情報がないので店主に聞いてみたところ、福島の泉屋酒店という店による頒布会用の別誂であることが判明。都内では、まず入手できないようです。
 
東鶴 特別純米 ★★
ちょっとしつこく書いてみましょうかね。まずは常温で。上立ち香はわりとフルーティ、含むとアタックは弱めながら凝縮感のある旨みを感じる。とはいえ火入れなので特段重くはない。程よい酸がしっかりした輪郭をかたどっている。最後に舌の奥で甘みを除いたハチミツのようなコク味がぐっと現れる。ここがこの酒のポイントか。ただ、去年の4月上槽で約10か月経ってるので、もしかしたらこれは旨みが育って熟感が増した結果なのかもしれない。ちなみに後口に苦みや嫌なアルコール感はない。
ここまで読むと燗上がりしそうな雰囲気がぷんぷんするだろうが、熱燗ではそこまででもなかった。前半の印象はそのままに、最後のコクが何かの枠を取り払われたかのように横へ広がる。キレが失われたとも言えるが、食中酒とするならこちらの燗のほうが肴の旨みとの相乗効果を感じられてベター。燗冷ましは酸が出てきて若干バランスが悪くなるか。ぬる燗にするとアタックと前半の凝縮感が和らぎ、最後のコク味も若干のキレを残す。うん、この温度帯が最も好みだな。